精霊物語
気象精霊記及び気象精霊ぷらくてぃかとのクロスです。
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この作品は視点がゴロンタ→祐巳→ゴロンタ→祐巳に切り替わります。
第1章 ようこそ精霊界へ
第1話 暴走
ボクの名前はファム・ムミーア・ザップ
ここでは『ゴロンタ』、『メリーさん』、『ランチ』などと呼ばれている、
ヤマネコ型の猫神(リンクス)族で
気象制御管理室・第四惑星局・東亜支局に所属する、風の上級精霊だ。
相棒の上級天使ライチ・ニュート・チャンのミスに巻き込まれて、
地上のリリアン女学園に飛ばされてしまった。
運の悪いことに、カラスにまで襲われた。
そんなところを、聖という女性に助けられた。
応急処置をしてもらったが、
怪我を早く治す為に回復霊術(リカバリー)を行なった。
それがまずかった。
そのせいで、精霊界に帰る為の霊力を使い果たしてしまった。
霊力は自然に回復するがそれは微々たる物だ、
てっとり早く回復するには、
お茶やお酒などの飲み物を通して霊力を回復するのだが、
佐藤聖やその後輩らしい祐巳は食べ物はくれるが飲み物はくれない。
前に、別の生徒に声をかけたら、怖がられて逃げられた。
どうやら地上の猫は喋れないらしい。
こういう時、ミリィやユメミのように、
亜空間ポケットにお酒を入れておけばよかったと悔やむ。
佐藤聖たちに言おうとも考えたが、
それで逃げられたらボクはもう食事を取ることが出来なくなる。
なので、自然に回復を待っていたら2年の歳月が過ぎた。
佐藤聖は卒業し、福沢祐巳は最上級生となった。
ボクは今日、この地上を去ることにした。
どうせ怖がられても、
これでお別れなので問題ない。
最後にお礼を言って帰ろうと思う。
そう考えているとちょうど祐巳が来た。
放課後、私がゴロンタの所に行くと、
ゴロンタが2本足で立っていた。
ゴロンタ「祐巳〜」
そう言って前足を振って話し掛けて来た。
私はベンチに座り、隣にゴロンタを座らせた。
祐巳「ゴロンタ喋れるようになったの?」
ゴロンタ「元から喋れるニャ
それより祐巳、リアクションおかしくないかニャ」
祐巳「そう?」
ゴロンタ「普通逃げるとか怖がるとかするニャ」
祐巳「ゴロンタは私が逃げたり怖がったりするような事するつもりなの?」
ゴロンタ「そんな事しないニャ、
ボクはただお礼が言いたかったのですニャ。」
祐巳「お礼?」
ゴロンタは自分の素性を含め大体の事を教えてくれた。
祐巳「それで、もう帰るの?」
ゴロンタ「そうだニャ」
祐巳「ねぇ、帰るために使う霊術、見せてもらってもいい?」
ゴロンタ「別に問題ないけれど、
使うのは時空系の術だから、
つまらないと思うニャ」
祐巳「いいから、いいから」
ゴロンタ「それじゃあ、
祐巳、今まで色々とご馳走になったニャ
聖にもよろしく伝えてほしいニャ」
祐巳「伝えとくね」
ゴロンタ「ニャ、ニャ?」
祐巳「どうしたの?」
ゴロンタ「久しぶりに霊力を使ったせいか制御が出来ないニャ」
祐巳「え?」
私が聞き返した瞬間
ドーーーン!!!!
という轟音と同時に私の意識が無くなった。
轟音が収まり、
目を開けるとボクの目に映ったのは、
変わらぬリリアンの風景だった。
ただ、ベンチに座っていた祐巳の姿だけは消え、
ボクの霊力は空に戻っていた。
?「君、君大丈夫?」
誰かが私の頬をペチペチ叩く。
祐巳「ん、んん?」
?「あ、気が付いた?」
私が目を覚ますと、
そこは森のようなところで、
目の前には大きくてとても綺麗な湖が広がっていた。
?「お〜い、大丈夫?」
そう言って、私の顔の前で少女が手を振った。
その少女は、神社の巫女服に似ていたが、
下は緋袴ではなく、赤いプリーツスカートを着ている、
7〜8歳くらいの女の子だった。
祐巳「あ、うん、大丈夫」
そう言って立ち上がると、違和感がある。
制服がぶかぶかで、その少女と目線の高さが同じだった。
私はスカートを引きずって、湖を覗き込んだ。
そこに映ったのは7〜8歳くらいの私だった。
祐巳「ええええぇぇぇ〜〜〜!!!」
私は叫んだ。
?「な、何?どうしたの?」
祐巳「せ、背が縮んでる」
?「?
だったら形態年齢を上がるように意識すればいいんじゃない?」
祐巳「何?形態年齢って」
?「あなた、本当に大丈夫?
私たち精霊はある程度育ったら
気の持ちようで若返ったり老けたりするじゃない。」
祐巳「精霊?私は人間よ。」
?「何言ってるの?ここは精霊界よ。
人間が来れる訳ないじゃない。」
祐巳「ここが精霊界?
そういえばゴロンタは?」
?「ゴロンタ?」
私はゴロンタの事や意識が覚める前にあった事を話した。
?「いまいち信じられないけれどわかった。
とりあえずここの説明をするね。
ここは精霊界の妖精界で、
王立学園という精霊育成の為の全寮制の学校よ」
祐巳「精霊界の妖精界って?」
?「ああ、地上でいうと
精霊界を第四惑星局地上風に言うと地球でいいのかな?
妖精界は国?になるの」
祐巳「へ〜」
?「私じゃどう対処すればいいかわからないからイツミ師匠に相談しよう」
祐巳「イツミ師範?」
?「私が所属している修行場を担当している師匠、
地上でいう担任の先生にあたるのかな?」
祐巳「へ〜」
?「そういえば自己紹介がまだでしたね。
私はミリィ・ヤクモよろしくね。」
祐巳「私は福沢祐巳、よろしくね」
ミリィ「えっと、空って飛べないんだよね?」
祐巳「うん、私の知る限り人は空を飛べないよ。」
ミリィ「じゃあつかまって」
私はミリィにつかまった。
【No:2638】へ続く