【2638】 可愛い姐さん  (通行人A 2008-06-06 21:12:49)


精霊物語


気象精霊記及び気象精霊ぷらくてぃかとのクロスです。
 【No:2637】の続き


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第1章   ようこそ精霊界へ





第2話    入学





飛んでいくと大きな建物があった。
その建物に入り、ある部屋の前まで来た。
ミリィさんはノックをして、

ミリィ「イツミ師範、少々よろしいですか?」

?「どうぞ」

中から女性の声がした。

ミリィ・祐巳「失礼します。」

部屋に入ると、12歳くらいの少女が居た。

ミリィ「祐巳さん、この人がイツミ・ハマリヤド・アマテル師範。」

祐巳「こんなに小さい子が?」

ミリィ「祐巳さん、さっきも言ったように、
    形態年齢は気の持ちようなの
    イツミ師範はこう見えても
    御歳3200歳を超える大精霊なんだよ。」

言葉も出ないって言うのはこういう事を言うのだろう。
私が呆気にとられている間にミリィさんがさっき話したことを説明した。

イツミ「祐巳さん、だっけ?
    その話に間違ってるところはない?」

祐巳「え、あ、はい」

そういうとイツミ師範は電子手帳のようなものを取り出した。

イツミ「ちょっとこれを見てくれる?」

そう言って差し出した電子手帳のようなものには、
緑の点が2つ、赤い点が1つ映っていた

イツミ「この光っている点は精霊の反応を示しているの。
    赤いのが私、緑のがミリィね。
    それで、この赤みがかった緑が・・・」

そう言ってイツミ師範は私を見た。

祐巳「私ですか?」

イツミ「ええ、あなたの反応を見る限り嘘は言ってないみたいだけれど
    何らかの原因で体が精霊に変化してしまったみたいね。」

ミリィ「そんな事ありえるんですか?」

イツミ「今まで、精霊が人間に接触したことなんてないから、
    何とも言えないけれど、
    それだったら背が縮んだ説明も付くわ。
    祐巳さんの元の年齢は18歳なのよね?」

祐巳「はい」

イツミ「精霊界の1年は800日、
    地上の2年ちょっとにあたるから、
    もしあなたが精霊として産まれたら
    8歳くらいのはずよ。」

ミリィ「でも、どうして精霊になってしまったんでしょう?」

イツミ「そこがサッパリなのよね・・・」

私を含め、3人とも沈黙してしまった。
その静寂を打ち破ったのは、

?「ミ〜リ〜ィちゃ〜ん」

そう叫びながら、豪華なドレスを着た女性が
ミリィさんに抱きついた。

ミリィ「ティ、ティタニアさま?」

イツミ「はあぁぁ〜」

イツミ師範はそれを見て大きな溜め息をついた。
私が、イツミ師範に

祐巳「この方はどなたですか?」

イツミ「ああ、彼女はティタニア・ディアナ・アーベルク
    こんなのでも一応、妖精界の女王よ」

祐巳「そんな偉い人が何でここに?」

イツミ「彼女はこの王立学園の学園長でもあるのよ。
    でもこれはある意味タイミングがよかったかな?」

祐巳「え?」

イツミ「ねぇ祐巳さん、この学園に入学する気はない?」

祐巳「はい?」

イツミ「精霊になってしまった以上、
    未成年は学校には通わないといけないの、
    それで、どこか別の学校に行く当てもないでしょう?
    それに王立学園は自治権を認められているから、
    元人間だって事で、軍関係者に研究されたりする事も無いでしょう。」

祐巳「でも私、お金持っていませんから
   学費とか払えませんよ?」

イツミ「精霊界では成人前の精霊は学費免除だから大丈夫よ。」

祐巳「そうなんですか?」

イツミ「ティタニア、ミリィで遊んでないでちょっといいかしら?」

ティタニア「イツミ殿?何でしょうか?」

イツミ師範が説明を終えると、

ティタニア「それはかまいませんが、
      一応、身分証のような物を持っていませんか?」

祐巳「あ、はい。」

そう言って制服から学生証を取り出す。

イツミ師範とティタニア様はしばらく学生証を見ていたが、
何だか難しい顔をして、

イツミ「ねえ、祐巳さん、ここに書いてあるのって西暦よね?」

祐巳「ここですか?
   そうですけど、どうかしたんですか?」

イツミ「あのね、非常に言いにくいのだけれど、
    今、西暦1840年なの」

祐巳「会話の流れ的に地上の、なんですよね?」

イツミ「ええ、時空系の暴走だから、
    空間だけではなく、時間も歪んだのだと思うけれど
    時間を早めたり、遅くしたりする術は存在するけれど
    過去や未来に行く術は聞いたこと無いわ。」

祐巳「えっと、つまり仮に人間に戻る方法がわかっても、
   時間移動の方法がわからなかったら
   160年精霊として暮らすって事ですか?」

イツミ「そういう事になるわね。」

祐巳「精霊は数千年も生きられるみたいですし、
   それにいざとなったら、
   元の姿の形態年齢を維持したまま、
   地上に戻れますよね?」

イツミ「ええ、大丈夫よ」

祐巳「それなら問題ないです。」

イツミ「そう、ならいいわ。
    ミリィ、あなたの服上下1組持ってきてくれる?
    こっちで暮らす為の日用品の買出しに行くのに
    この格好じゃあ行けないでしょう」

ミリィ「わかりました。」

そう言ってミリィさんは部屋を飛び出していった。

祐巳「あの、私お金持ってないんですけれど。」

ティタニア「それなら、私が払ってあげるわ。
      毎月イツミ殿に渡すから、
      それでもし足りないようなら
      アルバイトすればいいわ。」

祐巳「そんな、そこまでしてもらえません。」

イツミ「いいじゃない、
    もし心苦しいなら卒業して、
    就職してから返せばいいのだし」

祐巳「そういうことなら、お願いします。」

タイミングよくそこにミリィさんが戻ってきた。




【No:2640】へ続く


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