【2661】 亀裂が  (通行人A 2008-06-24 04:08:48)


宇宙人もみてる


ケロロのクロスです。
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企画SS
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今回の作品は途中で視点が乃梨子→とばり→乃梨子に切り替わります。





22.騙し合い





女の子「ああ、もしやあなたが、
    祐巳姉さんの妹の二条乃梨子さんですの?」

乃梨子「祐巳姉さん?
    あなた、いったい・・・」

女の子「わたくしとした事が・・・、
    これは、これは大変失礼いたしました。
    わたくし、祐巳姉さんの従姉妹の祝部とばりと申します。
    どうぞ、よしなに」

志摩子「祐巳の友達の藤堂志摩子です。」

乃梨子「どうも、二条乃梨子です。
    こちらこそよろしく。」

祝部というのは、お姉さまの母方の姓らしい。

とばり「すみません、ちょっと失礼します。」

そう言って、とばりさんは少し慌てて席を外した。
私も部屋に荷物を置きに行こうと、席を立った。



向かう途中に洗面所の前に差し掛かると、
中からとばりさんの声がした。
中にはとばりさんしか居ない。
独り言を言っているように見えるが会話が成立している。
落ち着いた声と少し言葉遣いが悪い声の2つが話し合っている。
落ち着いた声は少し言葉遣いが悪い声の事をひばりと呼び、
少し言葉遣いが悪い声は落ち着いた声をとばりと呼んでいた。
おそらく何も知らない人が声だけ聞けば、
2人の人間が会話していると答えるだろう。






とばり「ちょっとひばり、どういうつもりですか?
    いきなり出てこようとして」

ひばり「こういうのは最初が肝心だろうが、
    誰が祐巳の妹分かはっきりとだなぁ」

とばり「何言っているのですか、
    今はこちらの方が分が悪いのですから
    わざわざ正面からぶつかる必要はないわ。
    隙を見て奪えばいいのだもの」

ひばり「私はそういった小細工はあまり好きじゃないんだけどな。
    まぁ、主人格のとばりに従うのが私たちのルールだものね。」

とばり「行ったわね。」

ひばり「行ったって?」

とばり「乃梨子さんですわ。
    さっきからそこで立ち聞きしていたのですわ。
    もしかして気付いていなかったのですの?」

ひばり「ちょっと、それいいのか?」

とばり「問題ありませんわ。
    もし文句があるなら、飛び込んでくるはずですもの
    それがないって事は
    お互い承知の騙し合いの知恵比べで勝負するってことですわ」

ひばり「そうか?
    なんか違う気がするけど。」

とばり「そんなことありませんわ」

ひばり「まぁ、いいけどね」






乃梨子「ふーん、そういう人だったんだ。」

廊下で話を聞いていてとばりさんの本性を知った。
彼女の言うように真正面から対立するのは得策ではない。
ただでさえ今対立してる人が多いのだ。
その時、洗面所に居るとばりさんと目が合った。
とばりさんは私と目が合うと、
ニヤッと笑ったように見えた。
お互い敵と分かっていての騙し合いになりそうだ。
なんともお姉さまが好きそうな勝負だ
お姉さまを渡すものかと
その時私は強く決心した。




【No:2671】へ続く


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