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翌日、祐巳の教室には人だかりができていた。
皆、チラチラと祐巳を見てはヒソヒソと話し、時折黄色い声があがっている。
「蔦子、何あれ?」
「まさか祐巳さん噂聞いてないの?」
「うわさって?」
「昨日の事に決まってるじゃない。祥子さまを振った謎の転校生。
しかも、その転校生は祥子さまの幼馴染だって事で皆、興味津々なのよ。」
「うげっ。昨日の事なのにもう皆しってるの?しかも幼馴染ってことまで」
「そりゃそうよ。何せ相手はあの薔薇さま方。外堀を埋めるために積極的に流した可能 性は十分ありうるわ。」
そうだった。相手はあの祥子を妹にした人だ・・・。一筋縄じゃいかないくらい分かってもよかったのに・・・。
「ま、頑張って。」
薄情な蔦子は笑ってそういった。・・・絶対たのしんでる。
そして昼休み。反響はすごかった。
一時間毎に見物人は増えていった。特に体育の授業の後は凄かったらしい。
クラスメイトが気を利かせてくれて、見物人の相手をしてくれたので、今のところ直接の被害はなかったのだが。
ランチをどこで食べるか考えていると横から声がかかった。
「祐巳さん。こっち」
返事をする前に手を引っ張られる。
後ろからまた、黄色い声があがっていた。
着いた所は講堂の裏手。銀杏の中に一本だけ桜の木が混ざって生えている、目立たない場所だった。
ここまで走ってきたため、肩で息をしている祐巳に向かってその人・・・藤堂志摩子はにっこり笑って言った。
「一緒にお昼、食べましょう」