長編書いてる時にKeyのネタを見るとつい思考が脱線します。
そしてやっぱり進まない……
祐巳編 【】 弐 【】
蓉子編 【】 弐 【】
祥子編 【No:2680】 弐 【No:2684】
乃梨子編 【No:2672】 弐 【】
由乃編 【】
本編 【No:2663】→【No:2664】→【No:2665】→【No:2666】→【No:2668】→【No:2669】→【No:2673】
→【No:2674】→【No:2675】→(【No:2676】)→【No:2679】→【No:2682】→【No:2683】→
【】
■■ SIDE ポポ
世界が壊れそうなのは、世界の自業自得だと言っても過言ではない。
というか天使である私達には世界を助ける義理の一片だってありはしない。
というか世界が嫌い。
自分で破滅までの道を辿ってたら世話無いわよ。
祐巳がいつまで経っても解説とかそういうのをしないから、私がやろうと思う。
夢魔が憎悪の塊である事を前提で、とりあえず話そう。
人間というものは【自らが醜い】という事を無意識的に拒絶してしまう節がある。
化粧なんかがその代表だろう。
自然美、というものを悉く否定する人間は、【中身】すらも綺麗であろうとする。
誰かを憎んで、こんなの私じゃないと否定して、悲しんで、私は悲しくないと否定する。
私としては【汚い感情】だと思う事が【汚い思い】なのだと思うけど。
人間だって自然の一部なのに。
人工的なんて言葉を使って、自然から超越したとでも思っているのだろうか。
馬鹿らしい。というか阿呆らしくて笑える。はっはっは。
どれだけ人間が【人工的】であろうと、全ては自然の掟に縛られ続ける【世界】の一部よ。
穿き違えちゃいけないの。ちゃんと分かって生きてるのかしら。
私は今、祐巳の視界から世界を捉えている。
数多く集まった天使達が傅いて行く様を見ながら思うのだ。
【世界】が【夢魔】に襲われて滅びるのもまた、【世界】の摂理なのではいのかと。
そもそも無理があったのだ。
【世界】が安定を求めるのは分かる。でも、不安定なままで進めばよかったのだ。
【■■が■■■た世界は最初からやり直す】だなんて、馬鹿。
【決められた未来】で【滅ぶ】という夢を見すぎた世界は短い運命を辿る。
というか、やり直した時間を合計したら寿命を越えてるから。絶対。
「アウリエル7代目さま、前方より本体の一部が来ました」
「分かった」
「アウリエル7代目さま、雑魚が世界各国で増えています」
「全員、人間の援護に当たって」
「アウリエル7代目さまはいかがなさるのです?」
「私はコレを消すわ」
祐巳はまるでブラックホールのようなものに視線をやる。
天使達は祐巳に絶大の信頼を置いている為、黙って場所を離れる。
その中の独りが祐巳に話しかけてきた。
「米国の大統領が核投下を提案していますが」
「死にたいのなら、殺したいのなら、と伝えなさい」
「分かりました」
なんか【私】という【理性的存在】がいなからか知らないけど、怖いわよ祐巳……
そろそろ私を融解して一体になっちゃいなさいな。私の存在を無視しないで。
なぜだか祐巳の中にいるのに別の意志があって私の存在が違和感ありまくりなんだけど。
「………ちょっとポポ、何を独りで話しているの?」
いいじゃない。暇なんだし。
というかそろそろ私と融解なさいよ。キモチワルイわ。
「やだ」
……強情。意地っ張り。祐巳のツンデレ。
「最後の何?」
しらない。
祐巳は溜息を吐きながら肩を竦める。
他の天使には祐巳がテレパシーかなんかで通信を取っているとでも思っているだろうか。
実は他の人格と話していると知ったらドン引きよね。二重人格発覚!。
でもまぁいいか。なんでも。
「ポポ」
なによ。
「……ごめんね」
いいわよ。
世話の焼ける奴だけど、あんたは私だものね。
視界の端にはアレが顔を覗かせている。
黒い、まるで今の祐巳の心みたいに黒い物体が降りてくる。
「…………誰が黒いって?」
さてさて、祐巳はどう【これ】と戦うつもりなのか。
とりあえずは祐巳の友達などに助けを乞うておいてよかったわね。
「え?」
あら、口が滑った。
■■ SIDE 祥子
さて、どうするか。
人の記憶と取り戻すには2つの方法がある。
自然と思い出すのを待つか、ショック療法をやってみるか。
でも自然と思い出すのを期待して幾許かの時が過ぎたが、今だ戻らない。
なら私がとれる最善の方法は、ショック療法の実戦。
殴るか、連れ回すか。
「あら祥子ちゃん、今日も来てくれ―――」
「失礼します」
ゴンっ!
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
駄目か。
膝を叩く時に使う木製のハンマーでは役者不足、と。
頭を押さえて目尻に涙をためる蓉子さまを見てこれからどうするかを考えた。
とりあえず連れ回してみるか。
■■ SIDE ポポ
夢魔の何がやっかいかって言うと、これが【人間の憎悪】から生まれたって事。
触ったら最後、その憎悪の塊が入ってくるので致命的。
それで何人かの天使が精神崩壊で死んでる。
人間が死ぬのは【殺されるイメージ】を想像して夢魔が忠実に行ってしまうから。
殺されないって高をくくってれば精神崩壊で済むものだったりする。
でも【未知の物体】が襲ってきたら普通は身構えるものだし、致し方ないけど。
祐巳、触れたら死ぬわよ。
「知ってるよ……いくら私でもそんな自殺行為はしたくない」
そう?ならいいけど。
でも祐巳ならやりそうで怖いじゃない。
憎悪の塊だって元は人間の正負の感情なんだからなんとかできるはずーとか。
「一々助けてたら世界滅んじゃうから」
………そうよね。分かってるならいいのよ、別に。
なんか頭の端で引っかかってるけど、いいのよね別に。
「?」
夢魔がなんか降りてくる。
そういえばホワイトホールってあるのかしら。
ああそうだ。ねぇ祐巳、私が邪魔ならまた分離しない?
「?なんで?」
手は多い方がいいでしょ?
雑魚は任せていいからちょっと私を開放しなさい。
「いいけど……」
私は祐巳から自立した。
思惑があったわけじゃないけれど、確かめたい事ができたし。
本体とか戦闘は全部他人任せで私は飛んでいく。
ふっふっふ。
まぁ補佐は任せなさいな。
前前から気になってたんだけど、なんで私がタヌキなのよ?
■■ SIDE 乃梨子
あああああ、夢魔が多すぎて独りでは対処できません。
降って来るわ降って来るわで、力を放出させながら戦うわけだから存在が消えそうです。
それは嘘ですが、疲れました。
うちのお姉さまは本体のところに行ってしまっていますし、どうしましょうか。
「の、乃梨子、夢魔が……」
「今行く!」
一部の学校に残っていた人の退路の確保とか、道行く人の捕獲とか。
リリアンは広いから独りじゃ対処できません。
お姉さまも気がかりです。祥子はどうしたのやら。
と、そんな時。
私は立ったまま幻覚を見ているのかと思った。
あの特徴的な髪型。
この世界ではまだ会っていない、前世の親友。
「と……」
そいつは笑った。
【私】という存在を認識した上で、笑った。
私は呟くように名前を言う。
親しんだ、彼女に。
「ドリル……」
「違いますわっ!」
素で間違えた。