【2688】 この想いだけは真実  (沙耶 2008-07-04 23:18:17)


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「それにしても、吃驚しちゃった。」
まさか志摩子に拉致されるとは思ってなかったからなぁ。
「ごめんなさいね。先程蔦子さんから、新聞部が動き出したって聞いたものだから。」
苦笑しながらの志摩子の言葉に祐巳は驚いた。
「リリアンの新聞部はちょっと特殊だから。」
特殊な新聞部ってなんだ?
「そのうちに判るわ。」
今声に出してなかったよね!?
すると志摩子はクスクスと笑い出した。
「祐巳さんの顔に書いてあったわ」
「はぅぅ・・・」
しまいにはお腹を抱えて笑い出した。
「い・・・いつもこんな所で食べてるの?」
話題を変える事にしてみた。
志摩子は笑いながらも、
「フフフ・・季節限定よ。春と秋の天気の好い日。」
「夏は?」
「この桜の木に毛虫が湧くからちょっと嫌ね。でも、あと少ししたらギンナンが落ちるからそれはちょっと楽しみ。」
「ギンナン?」
「知らない?銀杏の木になる・・・そうね、形はちょっとサクランボに似ているかしら。茶碗蒸しなどに入っているのだけれど。」
「食べた事は無いなぁ。あ、でも聞いた事はあるかも。匂いが凄いんでしょう?」
たしか、祥子が嫌いだっていってた。
「そうね、でもギンナンって踏んでグチャグチャにならなければ、それほど臭わないわよ。だから皆が通る銀杏並木は悲惨なの」
「志摩子、もしかしてその潰れてないギンナンもってかえる?」
「あたり。秋になったらご馳走するわ。」
志摩子は幸せそうに笑った。 

「志摩子、ありがとう。昨日から助けてもらいっぱなしみたい」
新聞部がどんな人たちかは知らないけれど。
「ふふふ。私が祐巳さんとお話してみたかったの。お近づきになれてよかったわ。」

二人は空を見上げた。
澄んだ空に、雲がゆっくりと流れていく。


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