お、お待たせしてすみません!というか申し訳ありません!
書いてはいるのですが、リアルで忙しかったり話しがずれたりしていて……。
待ってくださっている方にはほんとすみません!
おわびに血迷った別作品も載せようかな…あはは、は、は……(笑えない!
あと……ほんとに聖×蓉子が書けません…!蓉子がいつデレるのか分からないんです!(末期
あああああ、ほんとごめんなさい。
祐巳の章 【No:2692】(再会編) 【No:2694】(過去編)
蓉子の章 【No:2687】(始り編)
祥子の章 【No:2680】(再会編) 【No:2684】(過去編)
乃梨子の章 【No:2672】(始り編) 【No:2697】(現世編)
志摩子の章 【】(再会編)
由乃の章 【No:2696】(前世編)
瞳子の章 【No:2702】(始り編)
可南子の章 【】
本編 【No:2663】→【No:2664】→【No:2665】→【No:2666】→【No:2668】→【No:2669】→【No:2673】
→【No:2674】→【No:2675】→(【No:2676】)→【No:2679】→【No:2682】→【No:2683】→
【No:2686】→【No:2695】→【No:2701】→【No:2704】→【No:2707】→【ここ】
■■ SIDE 祐巳
私は、どことなく心地よい気分のまま、またどこかを彷徨っていた。
自分という定義すらあやふやな今の私に、何かを考えるだなんて事は出来ない。
それは、【私】が分からないから。
私がどういう奴で、私はどういった人生を歩んできたのか、思い出せない。
思い出そうとすら思わないのはきっと、【今】という現状に甘んじているから。
この世という縛りから解き放たれたような開放感、我慢しないですむ気楽な気分。
私は、【なに】だっただろうか。
人か鳥か、はたまたとこかで虫でもしていたのか。
どんな生き方だったのかなんて関係ない。今が、私は気にいっているから。
でも、ちいさな虚無感。
私の中で【私】を構成していた何かが無い。そんな、違和感。
「起きてください」
■■ SIDE 瞳子
隣の乃梨子さんがとてつもなく無能、というか使えないので、困っていた。
悪魔である【今の私】には夢魔というものを【害】として認識しずらい。
私達がいた空間には常に溢れていたし、そもそも悪魔と親しい感情だし。
だから【悪魔】は輪廻が壊れそうだというのに黙認しているのだ。
【悪魔】の大抵は世界が嫌いか、また怖がっているから。
精神病棟みたいなものだと思ってくれれば丁度いいのかもしれない。
「さて、どうしましょうか」
「頑張れドリル」
「口を塞がないと風穴があきますわよ」
とても他人事……を言っているが、乃梨子さんは夢魔から目を反らさない。
何かを考えているのだろうか。それならありがたいのだが。
「………ねぇドリル、」
「キュィィィィィン……!」
「え!?なんかの機動音が聞こえる!?」
「ただの擬音ですわ」
ふざけて擬音を口にしただけなのに、乃梨子さんは私の髪を凝視した。
………なんだか色々複雑である。この市松人形。
「へぇ……瞳子さ、これなら声優とかもいけるんじゃない?」
「当然ですわ。私に不可能という文字は似合いませんもの。それより…」
なんですの?
私は乃梨子さんが見ていた方を見やる。
しかし【私】には巨大な夢魔が堕ちてきているようにしか見えない。
普通(?)に戻った乃梨子さんが、苦々しそうにとある部分を指す。
でもやっぱり、【私】には見えない。
「【瞳子】には分かんないかな?……あれ、なんか弱っちくなってるんだけど」
「はぁ?」
なにを言ってるんですの、この市松人形は……。
大体夢魔に弱いとか強いとかってあるんですの?意味分かりませんわよ。
乃梨子さんは困ったように私を見る。
「そんで……なんか祐巳お姉さまの気配がするんだよね……」
「―――!?」
夢魔の中からお姉さまの気配がする。
それはつまり、【そういう事】であって【ああいう期待】とはまた違うわけで……。
私は夢魔に向かって飛んでいった。【私】になら、夢魔への抵抗力があるから……。
■■ SIDE 可南子
「起きてください、祐巳さま」
私は祐巳さまの力を道しるべに、夢魔の中まで意識を飛ばした。
存在が霧状になっていたらアウトだけど、糸のように絡まっているだけだから助かった。
もはや祐巳さまは身体を保っていることが出来なくなり、身体が透けてしまっている。
でも、まだ【ここ】に【いる】のだ。
望みは、十分にある。
だれ……?私を呼ぶの、だれ……?
意識が夢魔と一体化してしまっているからか、祐巳さまは自我がない。
いや、【記憶】がないという方が正しいか。
「私は可南子です。貴女の妹です」
いもうと……?
「そうです。背の高い、貴女の恋人です」
こいびと……
『ちょっと可南子さん!嘘仰い!』
「あら?」
電波妨害がかかった。
私は目をあけて【声】の人物を確認しようとするが、目の前にはスケスケの祐巳さましかいない。
もう一度目を閉じて祐巳さまの意識を感じようとすると、邪魔がはいる。
「………瞳子さん?邪魔なのだけど」
『どさくさに紛れてお姉さまを洗脳する人に委ねられますかっ』
「あら、こんな私でも【友達】なのでしょう?」
『前言の撤回を申請しますわ!』
どうやら瞳子は直接夢魔に近づいているようだった。
しかしどうするつもりだったのか、瞳子は私に噛み付くだけで行動は起さない。
もしかしたら祐巳さまの居場所が分からないのかもしれない。
「まぁいいわ。瞳子さん、そこから上に3m進んで」
『分かりましたわ』
「で、そこを拠点に周囲30cmから消滅させてください」
『?…もしかして、夢魔をつけたまま切り離すんですの?』
「話しが早くて助かるわ。ああでも、」
『?』
「もし失敗すると、祐巳さまも千切れるから心してやりなさい」
『―――!?』
祐巳さまのために友達でもない人に従う瞳子に嫉妬して、釘を刺す。
極度の緊張に陥った様子に満足し、私は目の前の祐巳さまに集中する。
夢魔から切り離した直後、意識をもちらにもどさせる必要がある。
私の力を際限なく流し込んでいるとはいえ、やはり穴の開いた器は長くもたない。
「瞳子さん」
『もぅ、なんですの!?』
「貴女が悪魔でいれくれて助かったわ。それじゃぁ」
祐巳さまの精神の保護は任せる。
そして自由になるのを感じ取って直ぐに糸を手繰り寄せる。
「健闘を祈るわ」
手繰り寄せた糸から釣れたのは、はたして。
■■ SIDE 乃梨子
瞳子が本当に夢魔に向かって突撃してしまった。
付いて行っても迷惑をかけるだけだというのは分かっているので、私は離れる。
一度ミカエルさまの所にでも戻るか。
そう思い低空で飛行していると、もの凄い速さで黒塗りの車が走っていく。
人を轢く事が目的で運転しているような車である。
とにかく今は関係ないので、私が遠ざかろうとすると……
「乃梨子ちゃん!」
「はい?」
黒塗りが私の所に突っ込んできた。