目的は聖と蓉子をいちゃつかせよう!、です。
なんかヤングガン・カルナバルに再度はまったのでコラボしました。
暴力的表現満載なおかつ卑猥な表現ありかと思います。
「■■」はちょっとまずいっしょ?って所はご指摘くださいませ。
「もぅ話しの構成がだめ」って時は削除でお願いいたします。
■■ 福沢祐巳の場合
私の母親が傭兵だったとか、そんな話しを信じる人はきっと少数派だと思う。
というか私だって信じたくない。
だけどそれは本当で、私は傭兵だった母に戦闘技術を習っていた。
今となってはそれで生きているのだからいいが、当時にしたら恐怖の連続だったと思い起こした。
しかし今母とは似ても似付かぬこのなりで、母の故郷(だと思う場所)で生きているのだった。
「はぁ……」
面倒だ。どうして今さら高校生などしなくてはならないのだろうか。
私が生きている世界では【学歴】なんてものは必要ない。
それどころか戸籍すらいらない。元をただせば、私はただの不法在留者だし。
そんなとりとめも無い事をつらつら考えながら、私は目の前にある像を見ていた。
マリア様。
そんなものが助けてくれるだなんて信じるのは、きっと今が幸福な人間だけだろう。
本当に奈落の底にいる奴は、どんな汚い手段も問わずに這い上がろうとするはずだ。
この身でそれを実感している私はまた、小さな溜息を吐いた。
「お待ちください」
「誰」
私はつい【女学生】、それも血統書がつく【お嬢様学校の生徒】である事を忘れてしまった。
無意識にのびた手の先には、スカートに隠れて常時銃が装備されている。
暗殺者は常に周りを警戒しなければならないのだ。
……………今、学校だからって生徒に背後を取られたけどさ。
「ん………?」
振り返った先には、私がとった警戒態勢で目を丸くしている綺麗な女子生徒がいた。
黒髪を真っ直ぐに伸ばしたその人を、私はどこかで見た事がある気がした。
「あ、あら、聖さまじゃなかったのね、ごめんなさい」
「……いいえ、こちらも驚かせてしまったようで。申し訳ありませんでした」
彼女は頬をちょっと赤く染めて、目を反らした。
その間に姿勢をただし、スカートで銃を自然に避けた形で払った。
仕事中ならいざ知らず、日常でこんな体勢だと馬鹿だと思われかねない。
「それで聞きたいのだけど……って、あら?」
「?」
不自然なところで言葉を遮られ、私は小さく首をかしげる。
すると彼女はするりと私の間合いに入り込んだ。
ぎょ!っとしたものの、間合いに入ったからって突然殴り倒すわけにもいかない。
まるで縛られたように化石化して、彼女の一挙一動を見つめた。
「タイが曲がっていてよ」
「はい?」
引き分け?
日常的にあまり使われない言語、というか名詞で錯誤したじゃないか。
それに気付いたのは彼女が私の胸元で手を止めたときだった。
首でも絞められて(意識を)落とされるかとも思ったが、流石に一般人はしないか。
さっと結び終わると、彼女は手を離して微笑んだ。
「身だしなみはきちんとね」
「あ、はい」
別にスカートを履いていないからって出血多量で死んだりはしないけどね……とか思いながら、
とりあえずここは頷いておこうと思った。目の前にいるのは一応先輩であるのだし。多分。
そのまま流れ的に去るのかと思ったが、彼女は私の顔を見てまた微笑んだ。
「綺麗なのは髪だけじゃなくて、瞳もそうだったのね」
無造作に肩に掛かっている髪を一撫でし、そして去っていった。
私の父親はロシア人。
会った事はなのだけれど、その遺伝子は髪に、そして瞳に受け継がれていた。
ブロンドの髪。そして色素の薄い瞳は、日本人ではないグレーをしている。
沢山の傷跡があるけれど、本当は肌だって色素がほとんどない。
だから何だと言われてもどうしようもないが、こうして褒められるのはやっぱり嬉しかった。
■ ■ ■
その時、男は焦りに焦っていた。
そもそもこんな計画が成功するだなんて思ってなかったし、失敗だって考慮していた。
だけどこんな状況に陥って初めて、楽観視していた自分に腹が立つ。
失敗したら逃げてやりなおせばいい?馬鹿か俺は!
失敗はイコールで死だ!それ以外にこの世界にはあるはずがない!
ズガガガガガガガガッ
マシンガンを炸裂させる音が聞こえてきた。
その音が五月蝿いまでに聞こえるという事は、もう後悔している時間すらないという事。
俺は今までにないくらいに【死】というものを直面させられ、思わずあとづ去った。
くそ!クソクソクソクソクソクソ!!こんなところで死んでたまるか!
ガンッ
「ひぃ!?」
突然この部屋のドアが蹴り破られ、男はしりもちをついた。
どれだけ非道を重ねても、相手は抵抗する術すら知らない一般人がカモ。
そんな男が【暗殺者】なんてものに敵うはずもない。
男は見た。
自分を殺すその、相手を。
「お、女……?」
どこぞの制服を着た、まだ可愛らしいという表現が似合う少女。
そんな少女がサブマシンガンをもって男を見下ろしていた。
「貴方が堂本宗告?」
少女は可愛らしい顔をなんの表情も浮かべずに男を見下ろした。
男は答えない。頷けば殺される。しかし首を横に振ることもままならない。
それというのも、男の命はこの少女が握っているのだから。
「そ。答えないならいいや。白猫に聞くから」
「あ、ああ、ああああああああああああ!!」
「ごきげんよう」
ズガガガガガガガガッ
暫くしてからら少女は去り、残されたのはもはや人では無くなったものが1つ。
恐怖により錯乱した男が最後に聞いたのは、少女の素っ気無い一言と、沢山の銃声だった。
■ ■ ■
「ちょっと祐巳さん、お話を伺ってもよろしいかしら?」
「はい?」
祐巳は突然話しかけてきた級友らしき眼鏡の少女を見やった。
頭の中は今日の仕事の内容が渦巻いていて、授業だって上の空だった。
だから休み時間だって事すら知らなかった祐巳にとって、級友の一言は驚きに値したのだ。
「ああ、えっと……」
「もぅ。転校初日に自己紹介したでしょう?蔦子よ、つーたーこ」
「ああそう、あの蔦子さんだ」
「なによ【あの】って……何かしたかしら」
「【決定的瞬間は見逃さない、自称カメラマン】」
「自称なんかじゃないわよ。失礼ねぇ」
「普通のカメラマンは盗撮紛いの事はしないと思うけどね……」
眼鏡の少女、蔦子さんは呆れた顔をしながらも持っていた封筒を私の机においた。
まだ教科書などが開かれっぱなしの机で、私はそれを見つめる。
「それについて、ちょっとお願いした事があるのよ」
「うん、いいよ」
「とりあえず見てから頷いてよね」
別に蔦子さんからなら【果たし状】でも【恋文】でもウェルカムだけどな?
中から出てきたのは写真で、文面なんてなかったけど。
その写真はマリア様の前で彼女にタイを直してもらっているものだった。
……本当に決定的瞬間は見逃さないのね……情報屋として子飼いにしたいくらいの才能だわ。
「へぇ〜、綺麗にとれてるねぇ。でもお願いって?」
「それ、文化祭でパネル展示させて欲しいの」
「どうぞ?」
封筒に写真を戻し、蔦子さんに返す。
しかし途中で掌の壁を作られてしまい、無言で受け取らない、つまりは「あげるわ」といわれた。
綺麗な写真だし、とっておいても損はないと思ったので受け取る。
「で、まだ話しは終わりじゃないわ」
「うん」
「その写真について、祥子さまに許可を貰って欲しいのよ」
「うん」
「じゃぁよろしく」
「うん……ってちょっと待ってよ。肝心な所が見えてこない」
「なにかしら」
「祥子さまって誰」
それから私は、彼女に会いにいく為に【なんとかの館】に行くはめになった。
前置きからして断るつもりがなかったものの、面倒である事は変わり無かった。
ちなみに上記の台詞を吐いて、蔦子さんに散々呆れられたのは余談である。まる。
■ ■ ■
「はい、福沢祐巳」
『私だ。堂本宗告暗殺についての報告はどうした』
「あーうん。それ、ね?」
『なんだ?もしかして取り逃がしたとか言うつもりじゃないだろうな?』
「ううん、それはないよ。ただターゲットの顔が分からなかった」
『………………』
「とりあえず皆殺しにしたし、問題はないと思うけど……」
『……こんの馬鹿者!ちゃんと事前に顔写真は送っただろうが!』
「ごめん。見ようと思って開いて携帯落としてデータ飛んじゃった」
『………………』
「ごめん。すみません」
■ ■ ■
「この子を……祐巳を私の妹にします!」
「………えっと、すみません。何の話ですか?」
ああ、いけないいけない。
私の中ではついていけない事態に対し、今夜の仕事のおさらいで一杯だった。
放課後になったら白猫から迎えが来てくれて、銃を装備するとか。
しかし何故彼女…えっと、祥子さまから、【妹】なんて言葉が発せられるのだろうか。
妹なんて簡単に作れるものではない。
祥子さまのお母様とお父様に頼んで頑張ってもらわないと。
「本気なの?祥子」
「ええ、本気ですわお姉さま。祐巳は私の妹です」
「……あのね祥子、妹はそんな簡単に決められるものじゃないのよ?」
「ではどうやってお決めになるのですか!」
バン!
目の前の机を叩く音が(頭の仕事内容に影響されて)銃声に聞こえた。
無意識に身体を固まらせると、祥子さまは蓉子さまに食って掛かった。
全然話しについていけない。
「あら、いいじゃない藁しべ長者。楽しそうで」
どうしよう。意味が分からない。
助けて蔦子さ……っておおぅ。カメラなんて構えてますかコノヤロー。
「いいですわ。では今ここで祐巳を私のスールにします」
え?スルー?それって今の状況の事ですよね?
気がつけば祥子さまが私に向かってロザリオを向けていた。
なんでだ。
それは祥子さまのもので、なんで私にかけようとするんだ。
「祐巳、じっとして」
「おまちください」
今度はえっと……藤堂志摩子さんって人が突然会話に入ってきた。
志摩子さんは私と祥子さまの間に入り、ロザリオから守ってくれた。
……ロザリオは噛み付かないけど。
「皆さん大切な事を忘れています。祐巳さんの気持ちです」
なんていうかその、存在を忘れられていますけど……?
祥子さまは【仕方ないから聞いてあげるわ】なんて顔でこっちを向く。
「祐巳。私のスールになる事に異存はあって?」
「はぁ、スールですか……」
だから……
「そもそも、スールが一体何を指しているのかすら、私には分かりません」
■ ■ ■
「はぁ。疲れた……」
私は自分の自宅に帰ってくると、血に濡れた制服をゴミ袋に入れた。
ブレザーとかだったら使える部分がリサイクルできるのに、ワンピース形だと辛い。
全部まる洗いしないといけないというのは数もいるし大変なのだ。
下着姿でベットに寝転ぶと、今日一日の出来事が思い出される。
『はぁ……携帯は一度修理に出しなさい。後はこっちでするから』
『スールっていうのはね、姉妹になってお姉さまに導いてもらう制度なの』
はぁ……姉妹、かぁ……。
祐巳はぼんやりとしながら立ち上がり、クローゼットを開ける。
この改造クローゼットには中に更にクローゼットがあり、武器はそこに隠してある。
そこはもし敵がここに入り込んでこようものならプラスチック爆弾で部屋を爆破させる事になっている。
検挙される証拠なんてものは絶対に残してはならないからだ。っと、話しが逸れた。
クローゼットのクローゼット、武器庫に手を伸ばし、弾薬を取り出す。
普段から持っている銃の銃弾を補充しておこうと思ったのだ。
『では、私は祥子さまの【妹】にはなれません』
『どうしてって…聞く権利くらいはあるわよね』
『それは―――』
―――私が殺し屋だから。
『……今の私には、姉が必要ないからです』
面倒な事になった。
シンデレラをやるつもりも、妹になるつもりも、今の私には毛頭ない。
暗殺のために放課後は空けておきたいし、誰かに深く追求されたくもない。
「お姉さま、かぁ……」
私にはきっと、生涯一切無縁のものなのだろうな。