海風さまの作品の影響から過去作より電波を受信して、勝手に過去の作品を復刻させました。
該当作の各作者さま、申し訳ありません。
【No:2520】【No:2528】【No:2529】【No:2534】【No:2536】【No:2538】の続きもしくは同系統といえなくもありません。
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事件というものは、忘れた頃に新たな波紋をもたらすものである。
「はあ……」
今年二年目になる英語教師は、生徒から集めた英語の小テストを片手に溜息を吐いた。
プリントを握る手は汗で滲み、まだ若いその顔からは死相のようなものが浮かんでいる。その原因は他ならぬ英語の小テストであり、それを作ったのは誰でもないこの教師本人である。
「どうしてこんな事になったのだろうか」
教師は哀愁たっぷりに呟いた。
トラブルを起こさない為に、小テストの問題は細心の注意を払えと去年散々学んだのではないのか。それとも、去年とは相手が違うと気を抜いていたのは、はたまた一年という時間が危機感を鈍らせたのか。
散々不毛に悩んだ挙句、その英語教師は、久々に放送でひとりの生徒を呼んでから、机の上に突っ伏した。
●問4 次の文を訳せ
I like a locomotives.
『凸の好物は黄薔薇さまです』
『凸は黄薔薇さまが(玩具として)好きです』
『凸は黄薔薇さまが(ペットとして)お気に入りです』
「菜々ーーーっ!」
由乃は、薔薇の館の階段を駆け上がると、真っ先に妹の菜々を見つけ出しては叫びあげた。
「どうしましたか、お姉さま」
「何よ、これは!……菜々。あんたの仕業でしょ!」
教師から強だ――ありがたく借りた該当箇所のコピーで菜々の手元に叩きつける。
「菜々のクラスでの英語の小テストのことよ!」
「英語の……ああ、あれですか」
と、思い出すと菜々は声を抑えながら思い出し笑いに耽る。それを見て由乃は、「やっぱり菜々か」と確信を覚えるも、
「…………ぷっ!」
由乃の差し出したコピーを読むと、とつじょ菜々は押さえてた笑みを爆発させ。
「みんなこんな事書いてたんですか。的を得てますねお姉さま」
と、声を出して笑いながら言う菜々。その言い様は、内容から由乃をおちょくってるようにしか聞こえない。
「――って、あんたが指図したんでしょうが!」
「私が?」
「そうよ!」
「違います」
「えっ?」
うそっ?
目を丸くする由乃、菜々はにやにやとしながら続けた。
「私が広めたのは、こっちのほうです」
そして、菜々は問題の箇所の少し下。由乃が全く見ていなかった箇所を指した。
『私は暴走機関車だ』
『私は毎日青信号の暴走機関車だ』
『私は毎日凸に乗せられて青信号を突き進む自称暴走機関車だ』
「で、私のはこれです」
さらに下を指した菜々は言った。
『機関車のような私です。by.Yoshino』
「……誰が暴走機関車だゴラァ!!」
その日、薔薇の館からは(椅子を投げるなりで)ガタンゴトンと音が鳴ったそうな。