【2751】 思いこんでる  (通行人A 2008-09-09 04:01:45)


マリア様のなく頃に
〜償始め編〜


『ひぐらしのなく頃に』のクロスシリーズです。


この作品は若干ダークが入っています


第1部【No:2715】→【No:2720】の続編です。


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〜時始め編〜連載中


第1部【No:2477】→【No:2479】→【No:2481】→【No:2482】→【No:2484】
  →【No:2487】→【No:2488】→【No:2490】→【No:2492】→【No:2499】
  →【No:2503】→【No:2505】→【No:2506】→【No:2507】


第2部【No:2527】→【No:2544】→【No:2578】→【No:2578】→【No:2587】
  →【No:2643】→【No:2648】


第3部【No:2656】→【No:2670】→【No:2735】


企画SS
 【No:2598】


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〜狂始め編〜完結


第1部【No:2670】→【No:2698】→【No:2711】→【No:2713】→【No:2714】


エピローグ【No:2715】


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今回の作品は途中で視点が梨花→乃梨子→志摩子→祐巳に切り替わります


第1部   戸惑い





第1章   廻る世界





第2話   世界





入学式も身体測定も前とまったく同じだった。
そして今も前の世界とまったく同じ授業を聞きながら私は思う
この世界はいろいろおかしい
こんな世界今まで無かった。
その最たるものが年齢だ、
数百・数千といった数多の世界を渡っているので
ごく偶に産まれた家が違っていたり、
鬼や吸血鬼といった怪物が出たり、魔法などがあっても驚く事は無い。
羽入のような神の存在も現に居るわけだし。
実際、分校時代の担任の知恵の関係で吸血鬼に出会った経験すらある。
だが年齢だけは変わったことが1度も無かった。
にもかかわらず、私の席の2つ前とその隣には
お姉さまの親友の志摩子さまと由乃さまがいて
親友の乃梨子が居なかった。
そしてこの世界では薔薇の称号の意味もだいぶ違うようだ。






入学式の日祐巳さまと別れた後、
前回とだいぶ違うので念のために確認したら
1年生のところに私の名前が無かった。
職員室に行くと確認する前に先生の口から
私が2年に転入する生徒であることを知った。
まぁ元々1年の1月までの知識があるので、
少し勉強すればついていけると思った。
転入先のクラスは祐巳さまのクラスだった。
さっき会っただけにとても気まずい。
予想通り祐巳さまに屋上まで呼び出された。






お姉ちゃんに人前でお姉ちゃんって呼ぶなって怒られてしまった。
“今は”お姉ちゃんは藤堂で私は福沢なのだから
お姉ちゃんと呼ぶのが不自然なのはわかっている、
ましてやお姉ちゃんは御三家筆頭藤堂家の次期頭首にして、
去年1年にして『薔薇』の称号を得た才媛なのだ。
私の存在はお姉ちゃんを妬む人たちが陰口を叩くちょうどいいネタになる。
だからなのか、お姉ちゃんは私にそばに居ていいとはいうが、
私を妹として認めてくれない。
それでも私はお姉ちゃんを凄いと思うし誇りに思う、
でもね、でもね、私は凄くなくていいから昔のお姉ちゃんでいてほしい、
私はお姉ちゃんの笑顔が好きだったのに
お姉ちゃんと再会してから1ヶ月も経つがクスリとも笑わない。
私が福沢家に居た10年の間に何があったの?
何がお姉ちゃんをここまで壊したの?
私の所為なら謝るから、
誰かの所為なら私は絶対許さない!!
だから待っていてね、私がお姉ちゃんを壊した原因を突き止めて、
お姉ちゃんに償わせてみせるから、
それがたとえ御三家だとしても必ず
そしたら、また笑ってくれるよね
またお姉ちゃんって呼ばせてくれるよね?
それまでお姉ちゃんって呼ぶの心の中だけに留めておくから、
終わったらたくさん褒めて。
ね?お姉ちゃん






昔から志摩子は少し自分を下にみる傾向がある。
だからおそらく志摩子は誤解しているだろう。
だが私は訂正するつもりはない。
あの子が笑っていられるならもしそれで嫌われても構わない。
私は『薔薇』ということもあってそれなりに人気があることを自覚しているが
同時に私の事を疎ましく思っている人が多いのも自覚している。
だから私は人前でお姉ちゃんと呼ぶなと怒った。
私を疎ましく思っている連中は私に正面から挑むほどバカではない。
そうなるとあの子が狙われる。
あの純粋で穢れを知らないあの子には笑顔のままでいてほしい。
笑い方すら忘れた私にとって理想の存在であるあの子には・・・
そのために私は今まで頑張ってきたのだ。
あの子が笑っていられるならどんなことでもしてみせる。
私は志摩子が笑って生活しているってわかるだけで幸せなのだから・・・


そんな事を教室で考えていると、
蔦子さんに後ろから小声で呼ばれて我に返る。
いつの間にか先生が来ていて話をしていた。
どうやら転校生について紹介しているようだ。
その少女を見て驚いた。
その少女はさっき桜の木の下でよく分からない事で怒鳴っていた少女だった。
彼女と会話した内容から察するに彼女は1年生だと思ったのだが・・・
もし違っても、実際違うのだが、彼女はあの時『外部受験』だと言った。
少なくとも彼女が受けたであろうものは編入試験なのだから、
外部受験などという単語が出るわけが無い。
ましてやあの興奮状態の中即答したのだ。
嘘などつけるわけが無い。
私は式が終わるとその子を呼び出し屋上に向かった。
その時、少女(二条乃梨子というらしい)は
『ああ、やっぱり』といった表情をした。





【No:2771】へ続く




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