【279】 パンツ時々すごい  (いぬいぬ 2005-07-30 22:53:21)


「し、志摩子さんそれ・・・」
「どうしたの?乃梨子」
不思議そうにたずねてくる志摩子を前に、二条乃梨子は固まっていた。
場所は小寓寺の一室。乃梨子は志摩子の家にお泊まりに来ているのだ。
あくまでもメインは志摩子さんとのお泊り会だったが、そこは仏像マニアの乃梨子。小寓寺に所蔵されている仏像を見せてもらう事になったのである。
いつもただ見せてもらうばかりでは申し訳ないと、乃梨子は志摩子が本堂を掃除すると言うので、それを手伝う事にした。そして当然、掃除をすれば体は汚れる。しかし、まだ風呂の時間には早いため、とりあえず二人とも服を着替えようという事になったのだが、乃梨子はそこで、衝撃的なモノを見つけてしまった。
「えっと・・・その・・・・・・下着なんだけど」
「ああ、これ?」
志摩子はなんでもないように言うが、乃梨子はまさか志摩子がそんなモノを身に着けているとは夢にも思わなかったので、衝撃でうまく喋れなくなっていた。
「それ・・・Tバック?」
そう、志摩子はTバックのパンツをはいていたのだ。
「・・・そういう名前なの?この下着」
「知らなかったの?!」
「ええ。母が、着物の時は、この方が下着のラインが見えずに済むからって・・・」
まさか自分の娘にTバックを進めるとは、志摩子の母恐るべし!
「いや、確かにそうなんだけど・・・」
「何か変かしら?」
「・・・・・・いや、私は着物なんか着た事ないから、初めて見たもんで・・・・・・き、気にしないで!志摩子さん」
「そお?」
はじめは衝撃を受けた乃梨子だったが、「コレはアリ」と判断し、放置する事を決定した。
(まあ、志摩子さんのこんな姿を堪能できるのは、私くらいだしね)
恐るべし、白薔薇の蕾!




後日、リリアン女学園の放課後、志摩子は乃梨子に切り出した。
「乃梨子。このあいだのTバックの事なんだけど・・・」
「ああ、アレ。アレがどうしたの?」
「私、知らなかったんだけど・・・アレって、男性には何かいやらしいイメージを持たれてるらしいのよ」
「(ちっ・・・・・・気付いちゃったか)ふぅん。そうなんだ」
「だから、もうアレをはくのはやめようと思うの」
「(あ〜あ、もう志摩子さんの艶かしいTバック姿は拝めないのか)そうなんだ・・・」
一度、Tバックについて知らんぷりした身としては、コレ以上の反応はおかしいだろう。乃梨子はそう判断し、あくまでも表面上は無反応を装った。内心は残念で仕方なかったが。
「それでね?乃梨子」
「うん?」
どうやら志摩子は、この話題について、まだ何か語る事があるらしい。
「伝統的なものでもあるし・・・」
「・・・・・・(伝統?)」
「もう、着物の時は下着をはかない事にしたの」
「(!!ノ・ノ・ノ・ノーパン?!)・・・・・・・・・・・・そ、そうなんだ」
乃梨子は思わず想像していた。志摩子の・・・・・・
「乃梨子、どう思う?」
極度の興奮状態にあった乃梨子だったが、とっさにこう切り返した。
「良いと思うよ」
さわやかな笑顔で、無意味に親指を立ててみせながら。

志摩子はTバックなんかよりも、自分の妹の病気の進行具合を心配するべきかも知れない。


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