【2822】 イエロークリスマス  (まめとりもち 2009-01-22 22:34:45)


まえがき:
 先日投稿した作品の続編を期待されていた方々……。申し訳ありません。
 続編用のキー確保をするためにリロードを繰り返している内に、なんか別のネタが、ドンドン頭に溜まっていってしまって…。
 ストレス解消に1本だけ投稿することにしました。
 (もの凄く、時期はずれなネタの電波を受信してしまいました)
 
 
------- 以下、本文です --------





 
 クリスマス…
 それは、イエズスさまの生誕祭…。
 
 クリスマス…
 それは、恋人達の甘き記念日…。
 
 此処にもまた…
 新たな世界に旅立とうとする若者達が居る。
 
 これは、そんな2人が迎えた…
 ある聖夜の物語(エピソード)…………。
 
 

 クリスマスパーティの帰り道。他のメンバーと別れ、お姉さまと一緒に歩く雪道…。
 うっすらと積もった雪が辺りを白く覆い、街は闇の中で静かに聖夜を迎える。
 
 隣を歩くお姉さまの息が、夜の闇の中に溶けていく様子を見つめながら、今年1年を振り返る…。
 
 春 …………… 夏 …………… 秋 ……………。
 
 共に過した日々…。共に笑い合ったあのとき…。
 
 思い出の中のお姉さま姿を…………。
 
 そして雪の中に凛として在る、今のお姉さまのその姿を…………。
 
 
 そんな姿を見つめていると、自然に声が出てしまった。
 「雪が綺麗ですね。お姉さま…」
 私の自慢のお姉さま…。
 時々ちょっと無茶をするけど、やさしくて、正義感が強くて、そして大好きなお姉さま………。
 昔は体が弱かったそうであるが、今では学園の殆どの生徒が、そのことを忘れてしまう程の凛々しい薔薇さまになってる。
 帰宅時間の遅くなった妹を心配して、家まで送るその姿は、昨年の黄薔薇さまである令さまと比較しても見劣りしないだろう。
 
 この人が姉で、本当に良かった……。
 この人の妹で、本当に幸せだった……。
 マリアさま……、どうかこの幸せな時が、少しでも長く続きますように……。
 
 そんな私の様子に、気付いたのかもしれない。何時の間にか、お姉さまが心配そうな顔をしていた。
 
 お姉さまの表情が語りかけてくる…。
 (菜々…。どうしたの?)
 迷惑なのは分かっています…。でも…………………。
 
 「今夜は……、今夜は帰りたくないです!」
 思わず私の口から本音が漏れてしまった……。
 ちょっと困った顔になるお姉さま……。
 
 「……帰らないと駄目ですか?」
 私は、上目遣いにお姉さまを見上げて、お願いをしてみた。
 「ご家族の方に『ちゃんと送り届けます』って約束してるからねえ…。今回は諦めなさい菜々…」
 やっぱり………。お姉さまは、一度決めたことを安易に曲げることはしない。
 お姉さまの大好きな性格……。今晩だけは恨めしく思う……。
 
 
 そんな遣り取りをしていられる時間は、次第に無くなっていく……。
 もうすぐ、タイムリミットの刻限がやってくる……。
 
 
 
 
 
 
 「さあ、菜々乗って!」
 「乗らないとダメですか?」
 「当り前じゃない! この日の為にがんばって免許取ったんだから!!」
 凄く良い笑顔のお姉さま……。
 今日だけは、本当に憎たらしく思えます!

 「でもお姉さま……。今は雪が降ってますよ?」
 「そうね…。クリスマスの夜は大切な人とドライブ……。『雪景色の中なら最高に盛り上がる』ってこの本にも書いてあるし!!」
 なんて運がいいのかしら?なんて……。 青信号の灯ったお姉さまに、期待した私が馬鹿でした……。
 しかも、それ○明書房の本じゃないですか!? そんな本の内容を信じちゃダメですお姉さま!!
 「さあ、菜々! 風になるわよ!!」
 イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 イエズスさま、マリアさま……。
 
 風になるのはかまいません……。
 
 どうか、お星さまになるのだけは、許してください……。
 
 
Fin


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