この世界は腐っている……
須らく是正されねばならない
その為に悪の秘密結社「リリアン」
そして悪の総帥にして支配者「エリコ・ロサ・フェティダ」
そう、この物語は悪の組織が世界征服をする…のは時間が掛かるので、
武蔵野市を征服する、名付けて市街征服をする過程の序盤のイントロを描いた物語である。
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「ハーイル ロサ・フェティダ!」
「だぁ〜」
満面の笑みで右手を挙げ敬礼をするレイとやる気が無さそうなヨシノ
対照的な二人が整列する目先には一段高くなった台座の上にマントと黄金に輝くカチューシャでいかにも悪役の雰囲気を醸し出そうとしている総帥エリコの姿があった。
「由乃ちゃん、気合が入ってないわよ。
それでもリリアン幹部のつもり?」
「エリコさま幹部って言ってもレイちゃんと私だけじゃないですか」
リリアンの構成員は総帥エリコと幹部兼戦闘員のレイとヨシノの三人だけである。
少数精鋭ってレベルじゃねーぞ!
「ふっ、ヨシノちゃん今日の任務はその事と関係が有るのよ、はい指令書」
レイが受け取った指令書をヨシノも覗き見ると…
------市外征服計画書"ER15"号------
発:エリコ・ロサ・フェティダ
宛:レイ,ヨシノ
指令:リリアン構成員の増員を許可する、なお採用する人員は現地調達をすべし。
------了------
指令書を読んだレイが恐る恐る手を挙げて質問した。
「あの、現地調達とは誘拐しろとのことでしょうか?」
「レイ悪の組織の基本は誘拐でしょ?
テレビを見て御覧なさい、先達はみな誘拐をしているのよ」
エリコの返答を聞いて暗くなっているレイの横でヨシノは喜んでいた、勿論エリコにそれを悟られないように内心で。
自分に部下ができると思っているのだろう。
「レイちゃん!落ち込んでいる暇なんて無いの行くわよ!」
「ヨシノォ〜」
レイはヨシノに引きずられ秘密基地を後にした、
一応レイはナンバー2の地位にあるはずなのだが…そのことが本人にとっては逆に不幸でもある。
上と下の板ばさみ状態まさに悲劇の中間管理職の典型だ。
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ところ変わってここは某女学園
そして二人は女学園高等部の制服を着ていた、潜入するための変装のはずだが異様に似合っているのはなぜだろう?
「ヨシノォ本当にやるの?なんか卒業式やってるよ、べっ別の日にしようよ!うん」
「レイちゃん私の調査によるとこの女学園には不思議な習慣があるらしいのよ」
「……」
「なんでもロザリオを首に掛けられたら掛けた人を姉のように慕い支えるんだって」
「……」
「やっぱり部下からは慕われたほうがいいじゃない?さらに支えてくれるなんて最高じゃない、レイちゃんもそう思うでしょ?」
「うん、すごく思う。慕われたいし支えて欲しいよ……」
などと話しながらひと気の無い学園内を歩いていたら、突然レイがヨシノの腕を掴み低木の茂みに隠れた。
「なにすん――「シッ!静かに敵に気づかれる」――?」
「ほら、体育館の横に居る二人をみて」
「あっ、あいつ等は官憲の水野博士と変態佐藤教授じゃない」
「変態って…ただ作るロボットが全部美少女なだけでしょ」
「いやレイちゃん、絶対に変態よ!前に闘った時に何で美少女ロボなんですかって訊いたもん」
「訊いたんだ……」
「『趣味だけどなにか?』ですって!!」
「そっそうなんだ、なんかとは紙一重って言うからね」
「でも何でこんな所に奴等が?敵も人員を増やすため?」
「さぁ? ヨシノそんな事どうでも良いからここから離れようよ」
「そうね、任務を優先しましょ」
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きっかけはホンの気まぐれでした。
その日はちょうど高等部の卒業式が行われていたので卒業する方々を一目見ようと友達の誘いに乗ったことでした。
実際に行ってみると私達のほかにも中等部の生徒は数多くいました。
私はそんな中等部の生徒の輪から少し離れて前を通り過ぎる高等部の方々をぼんやりと眺めている時です。
あの三つ編みを揺らしながら隣を歩く生徒と会話する姿とその意思の強そうな瞳に釘付けになりました。
そして私は自然とあの人に向かって歩みだしていました。
私があの人の前に立ちはだかるようになってやっと相手も私に気が付いてくれて、
じっと私の目を見つめてお互い少しの間時間が止まったように見つめあいました。
「あんた名前は」
「有馬菜々です」
「ふーん、レイちゃん取り押さえて!」
名前を聞いてきたかと思うと突然隣の生徒に声をかけ私は後ろから羽交い絞めにされてしまいました、
剣道をやっているので自信が有ったのですが声をかけられた生徒は文字通り目にも留まらぬ速さでまったく対応できず。
そしてあの方は笑みを浮かべながら優しく首にロザリオをかけてくださいました。
これが私とお姉さまの一生忘れないであろう出会いでもありスールになった記念すべきひと時の出来事です。
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あれはホンの出来心だった。
レイちゃんと一緒に高等部の生徒にまぎれて逃げようとしていた時、
なぜ水野博士と変態佐藤教授がこの女学園にいるのかレイちゃんと話していたら、
私の進行を妨げるように前に立ちはだかってきたのだ。
そしてあろうことか私に向かって生意気にもガンを飛ばしてくる、
勿論私も対抗して相手の目を見てガンを飛ばしてやった。
しかしガンを飛ばして睨み付けてやっても全然怯まない、しかもなんだかエリコさまに似ている気がするのだ、凸をオープンにして嫌味っぽい表情をすればエリコさまそっくりな気がする。
その時ふと思ったこのエリコさま似の子を部下にしたら?
驚くエリコさま、悔しがるエリコさま、そうだこの子を部下にしてエリコさまを驚かせ悔しがらせよう。
「あんた名前は?」
「有馬菜々です」
「ふーん、レイちゃん取り押さえて!」
驚いた声までエリコさまに似てるじゃないと言うかそっくり。
これならエリコさまに部下だと紹介して驚かせることも夢じゃないわ。
そして私はエリコさまが驚いたら笑ってやろうと思いながら、レイちゃんに羽交い絞めにされている子にロザリオを首にかけてやった。
「菜々ついて来なさい」
「はい!お姉さま」
どうやら儀式は成功のようだ。
私のことを義姉と呼んでくる菜々をエリコさまに紹介するため私達は歩き始めた。
■■
私は途方にくれています。
ヨシノに命令されると勝手に動くこの体が恨めしい。
菜々ちゃんと名乗った子とヨシノは二人とも笑顔で校門から行ってしまった。
私もついて行くべきなのだろうが何故か二人の間に入るのを躊躇ってしまい、悩んでいるうちに視界から二人は消えていた。
とりあえず隣にあったマリア様にお祈りをしてしました。
家内安全をマリア様にお願いするのは変でしょうか?
そして、また途方にくれる事に戻りました。
■おわり■
__________
あとがき
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私には独自に作品を作る能力はないようですね。
この作品は『エクセル・サーガ』のパク…もといオマージュです。
エクセル・サーガなんてマイナーなマンガを選んだ理由?それはね…
縦ロールキャラが出てくるんですよ!それに惹かれて読み始めたんだ。
PS.「たてろーる」を変換すると「瞳子」が候補に出て来てびっくりだ(笑