【2853】 祐巳をベースに黒シアさんの陰謀いつもの可愛い声で  (bqex 2009-02-26 16:37:02)


またARIAネタです。
何故にまたこんなキーワードと出会ってしまったのか……

 火星に集うゴンドラ漕ぎたちが今日も天使のような無垢な笑顔でため息橋をくぐりぬけていく。
 汚れを知らない心身を包むのはウンディーネの制服。
 スカートの裾は乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくりと漕ぐのがここでのたしなみ。
 ネオヴェネツィア、ここは乙女たちの水路。

 水先案内店の社長は青い目の猫である。
 乃梨子の勤めるMARIAカンパニーの祐巳社長もタヌキのようなお姿だが、立派な猫である。
 今、その祐巳社長は絶賛ピンチ中である。
 乃梨子が目を離した隙に水路から海の方に向って流されてしまったのである。
乃梨子「祐巳社長ー!!」
祐巳「ぷいにゅー!」
 乃梨子は祐巳を助けるべく必死にゴンドラを漕いでいるが、流れが速くて追いつけない。このまま海に出てしまってはもう助けようがなくなる。
 乃梨子は焦っていた。
祐巳「ぷいにゅー!」
乃梨子「追いつけない!……こうなったら!!」
 乃梨子は後ろ向きに、だが、今までよりはずっと速くゴンドラを漕ぎ始めた。
乃梨子「祐巳社長!今助けますからねーっ!」
祐巳「ぷいにゅー!」
 誤って身につけた逆漕ぎだったが、スピードには自信があった。だから必ず祐巳に追いつけるハズ……だが、世の中そんなに甘くはなかった。
 祐巳はどんどん離れていく。
乃梨子「ああっ!海に出ちゃう!」
 その時乃梨子の前にゴンドラに乗った一人の女性が現れた。
 三大妖精の一人、ロサ・ギガンティアこと志摩子である。
乃梨子「志摩子さーん!」
祐巳「ぷいにゅー!」
志摩子の位置なら祐巳を助けられる。乃梨子がそう思った瞬間、志摩子は聞いてきた。
志摩子「……猫、好き?」
乃梨子「は?あ、はい!」
志摩子「でも、営業していないアクア・アルタの間はどうするの?あなたのいなくなったあとは?一時の同情で助けるなんて却って残酷だと思うわ」
乃梨子「は、はあ?何を言ってるんですか?今はとにかく祐巳社長を助けてくださいよ〜」
祐巳「ぷいにゅー!」
 祐巳は志摩子の横を流されていった。
乃梨子「わーっ!華麗にスルーしないでくださいよ!助けられなくなるじゃないですかっ!!」
志摩子「でも、この子は覚えている……ロサ・ギガンティアの手の温もりを……」
 志摩子は明後日の方向を向いてとてもいい表情をしている。
乃梨子「女優モードはいいから助けてください!志摩子さん!」
祐巳「ぷいにゅー!」
乃梨子「し〜ま〜こ〜さ〜ん!!」
 その時、赤い何かが3倍の速さで乃梨子の脇を通っていった。
 姫屋の赤い彗星、三大妖精ロサ・キネンシスこと祥子である。
祥子「祐巳!」
祐巳「ぷいにゅー!」
 祥子は巧みなオールさばきで祐巳を救出した。
乃梨子「良かった!!さすが祥子さま」
 祥子はキッと志摩子の方を向いた。
祥子「……志摩子」
志摩子「なんでしょう?」
祥子「今、私を試したでしょう?本当は出番のない私がここまで祐巳を助けに来られるか、あなた私を試したでしょう!」
乃梨子(ええっ!確かにここ、祥子さまの出番なかったけど、まさか……)
 志摩子はにっこりと祥子に微笑みいつもの可愛い声でこう言った。
志摩子「あらあら、もうこんな時間。私、仕事に戻らなくては……ごきげんよう」
 志摩子は悠然と去って行った。
乃梨子「志摩子さんって、すごい……」
祥子「志摩子っ!!棒読みなセリフ、禁止!!」
祐巳「ぷいにゅー!」


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