【2854】 暴走!暴走!大暴走!  (パレスチナ自治区 2009-02-27 00:02:17)


ごきげんよう。
今回は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」とのクロスオーバーです。

某県の片田舎にある小笠原グループの科学研究所。
この場所で今正に科学の歴史に革命の1ページが刻まれていた。
「ふふ、ついに…ついに完成したわ…」
「はい、祥子お嬢様。長かったですね」
「ええ…長かった…とっても長かった」
祥子の目にはうっすらとした涙と充ち溢れんばかりの歓喜が宿っていた。
「これさえあれば私の野望が達成されるわ…ふふふふ……」
邪悪な笑みを浮かべる祥子…その美しい顔は機械油によって汚れていて、怪しさが増長されていた。
そんな祥子に研究員たちは怯えていた。
「祥子様、実験はどうしますか?」
「もちろん私が行うわ」
「ですが失敗したときどうなさるおつもりで?」
「実験には失敗が付き物よ。それにね世界で一番最初にタイムトラベルするのはこの私よ!」
「そうですか、わかりました」
そう!小笠原科学研究所で開発されていたものは「タイムマシン」である。
その名も「ユミリアン」。
「ほんとーにネーミングセンスが無いですよ、祥子様は…」(小声で…)
「なにかおっしゃいまして?」
「いいえ!なにも!」
「まあいいです。ふふふ…これさえあれば…これさえあれば!」
「それで祥子様、祥子様の野望ってどんな事なのでしょうか?」
「よくぞ聞いてくれましたね!それは…」

「いろんな時代の祐巳に会うことよ!!」

「「「……」」」
研究員たちは呆然としている。無理もないだろう、なぜなら彼らは「ユミリアン」を開発するためにここ数か月、いやそれ以上も外に出させてもらえてないのだから。
中には他の一流企業から引き抜かれてここに来た人もいる。
それなのにただの私利私欲のために働かされていたなんて、涙も出てくるだろう。
「それで……祐巳様にお会いしてどうなさるおつもりで?」
「そうね…いくつか考えてあるのだけれど……」

祥子が「ユミリアン」を使ってしたいことは……
1、幼稚園児のちょっと舌足らずの祐巳(もちろん幼稚舎の制服を装備)に「お姉さま」と呼んでもらう
2、小学生の真っ赤なランドセルを背負った祐巳に「お姉さま」と呼んでもらう
3、ちょっと大人になってスーツを着たちょっとカッコイイ祐巳のネクタイをなおしてあげる
以上の三つである。

「3は少し待てば出来るけど1と2は「ユミリアン」を使わないと出来ないわ。何としても達成しなくては!」
「祥子様?」
「いいえなんでもないわ。とりあえず秘密にしておくわ」
「そうですか。どうせロクでもないことなんだろうな……」(後半小声)
「なにかおっしゃいまして?」
「いいえ!なにも!」
「まあいいわ。では早速実験してくるわw」
「はい祥子様。その前に注意事項があるのですが」
「なにかしら?」
「まずはじめに自分の都合のいいように歴史を変えないでください。次に過去に行くにしても未来に行くとしてもなるべく人との接触は避けてください。特にご自分との接触は絶対に避けてください。最悪の場合、タイムパラドックスを引き起こし銀河系の破滅の引き金になりかねませんから」
「わかったわ、そんなこと百も承知よ。それにこの小笠原祥子がそんなへまをすると思って?」
「……いいえ」
「ふふ、では行ってくるわ!」
「はい、いってらっしゃいませ」


実験は公道ではなく高速を使うことにした。
公道では人が飛び出してくる可能性が高いからだ。
そして時間帯は深夜だ。車が比較的少ないから。
料金所のゲートを通過しいざキックダウン!スピードを上げて本線へ!
しかし一つ誤算があった。それはこの日は連休の初日であること。
遠出をする家族連れの車が思いのほか多く、速度を140キロまで上げることが出来ない。
「お父様にお願いして高速を小笠原のものにしておくのを忘れたわ」などと激しく我儘なことを考えながら糸を縫うようにして周りの車を抜いていく。
時々他の車に接触しそうになったりもした。
その度にクラクションを鳴らされるが、「小さな頃の祐巳を攫ってきて自分で育てるのもいいわね」なんて完全に犯罪なことを考えていたため全く気にしていなかった。

しばらくするとようやく周りが開けてきた。
「やっと道が空いたわ。祐巳!今行くわ!」
スピードを上げようとしたその時……

「前の車!路側帯に車を止めなさい!!」

速度違反で捕まりました……

しかし!私は小笠原祥子!!
小笠原グループのプリンセス!!!
こんなことでは挫けない!!!!


あとがきという名の言い訳
毎回一部の人にしかわからなそうなネタばかりでごめんなさい。
自治区としては大好きな小説と大好きな映画をコラボできたので満足しています。
完全に自己満足です、ごめんなさい。
祥子だったらやりそうかな…と思って書いてみました。
作中で祥子は速度違反で捕まっていますが、いくら高速道路でも140キロも出したら捕まります。せいぜい100キロぐらいが限度です。
これから免許を取る人も、もう持っている人も絶対にまねをしないでください。
よい子のみんなもまねしちゃいけません。


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