【2909】 似て非なる  (クロス 2009-03-30 16:40:30)


乃梨子「はあ。休日明けの学校ってどこか憂鬱よね」

乃梨子「でもまあ、志摩子さんに出会えるからokと思える私は明らかに勝ち組ね」

乃梨子「あー早く志摩子さんに会いてー」

乃梨子「おっ、瞳子だ」


乃梨子「おーい、瞳子。ごきげんよう」

瞳子「ごきげんよう、乃梨子ちゃん……じゃなくて乃梨子」

乃梨子「?」

瞳子「今日も清々しい朝だね」

乃梨子「ん、まあ」

瞳子「ん? どうしたの? 私の顔に何かついてる?」

乃梨子「いや、そうじゃなくて」

瞳子「じゃあ、早く教室行こ。遅れちゃうよ」

乃梨子「……祐巳さま?」

瞳子 ぎくっ

瞳子「何言ってるの! 私があんなお天気な人……グスッ なわけないでしょ!」

乃梨子「そ、そうなんだけど… 今日の瞳子、なんだか表情豊かだし、一人称も『私』になってるよ」

瞳子「えっ、うそ! ……じゃなくて! わた…瞳子は瞳子なの!」

乃梨子「いや、だから」

瞳子「もう、乃梨子ちゃんなんか知らない! 先行っちゃうから」だっだっだっ

乃梨子「あ……」

乃梨子「行っちゃったよ」

乃梨子「瞳子、本当どうしちゃったんだろ?」

瞳子「・・・」だっだっだっ

乃梨子「あっ、戻って来た」

瞳子「乃梨子ちゃん、私の下駄箱って何処?」

乃梨子「・・・」


瞳子「…でね。その時にさ…」

美幸「ふふふ、なんか今日の瞳子さん、おもしろいわね」

敦子「なんだか外見そのままで中身が変わったような」

瞳子「えーなにそれ。そんなことないよ。それでさ…」

可南子「瞳子さん。そんなところで話されると通行の邪魔です」

瞳子「……可南子ちゃ…さん」

美幸 敦子(あー、また瞳子さんと可南子さんの衝突がまた……)

瞳子「うん、ごめんね。気づかなかったよ」

美幸 敦子(えっ!?)

可南子「!? ……わ、分かればいいです」

瞳子「注意ありがとね」

可南子「は、はあ」

瞳子「あっそうだ! 可南子ちゃ…さん。放課後、薔薇の館行く?」

可南子「い、行きますけど……何か?」

瞳子「ううん。聞いただけ」

可南子「そ、そうですか ……そ、それでは失礼します」たったったっ

瞳子「うん。また薔薇の館でね」

瞳子「それでね、話の続きなんだけど……」

美幸 敦子「・・・」

可南子「・・・」


祥子 令 由乃 志摩子 乃梨子 可南子「・・・」

祐巳「・・・」カキカキ

瞳子「うーん、これは……こうだったよね…」カキカキ

祥子「……祐巳」

祐巳 瞳子「はい、何でしょう? お姉さま」

祥子「・・・」

瞳子「あっ間違えた! 祥子お姉さま」

祥子「・・・」

祐巳「瞳子ちゃん。呼ばれたのは私よ。瞳子ちゃんじゃないよ」

瞳子「あっそうか! つい間違えてしまいました、祐巳さま」

祐巳「間違えは誰にもあることだよ。次は気をつけてね、瞳子ちゃん」

瞳子「はい」

祐巳「よろしい。 それで、お姉さま、どうしましたか?」

祥子「いつから?」

祐巳「はい?」

祥子「いつから入れ替わったのと聞いてるのよ?」

祐巳「はあ。おっしゃってる意味がわかりません」

令「だから、祐巳ちゃんと瞳子ちゃんの人格と言うか中身がいつ入れ替わったの聞いてるの?」

祐巳「中身が入れ替わる? 何をいってるのですか? そんなことありませんよ」

瞳子「そ、そそそそうですわ」

由乃「瞳子ちゃんはともかく、祐巳さんはわかりすぎ」

祐巳「だから、何が」

乃梨子「あーもう、ばれてるの! 祐巳さまの中が瞳子で、瞳子の中が祐巳さまだということが!」

祐巳「くっ……で、でもそんな証拠が何処にあるんですか?」

可南子「祐巳さま、お茶です」

瞳子「わーありがとう、可南子ちゃん」

祐巳「・・・」

祥子「決まりね」

祐巳「これは瞳子ちゃんが間違えただけで」

瞳子「ぎゃっ!?」

聖「あれ〜? 瞳子ちゃんじゃん」

瞳子「もう! 急に抱きつかないでください! 聖さま!」ばたばた

聖「おっかしな〜 祐巳ちゃんのオーラを感じたんだけど」

瞳子「何ですか! そのオーラって!」ばたばた

志摩子「お姉さまが祐巳さんを間違えるわけないわよ」

祐巳「……こ、これは……そう、たまたまですわ。だから」

祥子「いい加減にしなさい! さっさと白状してちょうだい」

祐巳「だから何を白状すれば」

乃梨子「何度言うけど」

聖「はいはい、とりあえずストップ。それじゃあ、こうしない。祐巳ちゃんには祐巳ちゃんならではのことを、瞳子ちゃんには瞳子ちゃんならではのことをやらせてみれば」

祥子「それいいわね。それでは、祐巳にはお汁粉を一気飲み、瞳子ちゃんには……そうね、紅茶を作ってもらおうかしら」

祐巳「そんなの」

祥子「祐巳は以前やってみせたし、瞳子ちゃんの紅茶なら私は間違えないわよ。それとも何? できないのかしら?」

祐巳「むっ、そんなこと朝飯前です」

由乃「はい、お汁粉」

祐巳「……こ、これができれば、私と瞳子ちゃんが入れ替わってないということでいいですのね?」

祥子「ええ、いいわよ。約束するわ」

祐巳「じゃあ、いきます」くい

ごくごく

祐巳(甘ったるいですわ。しかもドロドロしてて飲みにくいですわ)

ごくごく

祐巳(だけど! 瞳子と祐巳さまのことをばらさないためにもここはなんとか……)

ごくごく

祐巳(ああ、気持ち悪くなってきましたわ)

ごくごく

祐巳(でも! でも! ここは瞳子の未来の大女優にかけても…)

ごくごく

祐巳(あ、あと少し…)

ごくごく

祐巳(うう)

ごく…

祐巳(!!)

祐巳「やった!やっと飲み終わりましたわ!」

祐巳「皆さん、見ててくれ」

祥子「こくっ これは祐巳の紅茶ね。瞳子ちゃんのじゃないわ」

瞳子「あれ?」

祐巳「・・・」

祥子「これで祐巳と瞳子ちゃんが入れ替わったことでいいわね」

瞳子「うう。で、でもしょうがないですね。私は外見は瞳子ちゃんですけど、中身が祐巳です」

瞳子「で、こちらの祐巳が中身が瞳子ちゃんです」

令「まあはじめからわかってたけどね」

聖「これでめでたしめでたし」

瞳子「ふう、残念だったね、瞳子ちゃん。ばれちゃったよ」

祐巳「……祐巳さまの」

瞳子「あれっ? どうしたの、瞳子ちゃん?」

祐巳「祐巳さまのばかーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!1」


一つ戻る   一つ進む