【2916】 衝撃の  (クロス 2009-04-01 12:56:05)


聖「ねえねえ、祐巳ちゃん。怖い話してあげようか?」

祐巳「急になんですか? 私は怖い話とか苦手なので遠慮します」

聖「そんなこと言わないでさ〜 聞いてよ、祐巳ちゃん」

祐巳「嫌です!」

聖「それは月も星も見えない暗い夜のことだった」

祐巳「だから嫌ですったら! 本当に聞きたくありません!」

聖「まあまあ」

聖「そんな夜、一人の少女が学校に忘れ物を取りに来ました」

聖「夜の学校は日が出てるうちと違って、人の気配はしなくとも何か不可思議なものが出てきそうな雰囲気でした」

聖「祐巳ちゃん同様、怖いものが嫌いな少女は何もでないこと祈って歩き続けました」

聖「そのせいもあってか、忘れ物のある教室まで何事なくたどり着けました」

聖「そして、忘れ物を持ったことを確認してすぐさま帰ろうとしたそのとき!」

祐巳「ごくっ」

聖「聞いてしまったのです」

聖「この世のものとは思えない『てけてけ』という音を・・・」

祐巳「ひい」

聖「少女逃げました」

聖「それはもう全身の力を振り絞って」

祐巳「どきどき」

聖「しかし、『てけてけ』という音が小さくなるとごろか」

聖「ますます、大きくなりました」

祐巳「何で!?」

聖「それに驚き、少女は焦って転んでしまいました」

祐巳「えっ!!」

聖「少女はもうだめだと思い、目を強く閉じながら必死に神様にお祈りしました」

聖「『てけてけてけてけ』」

聖「『てけてけてけてけてけてけ』」

聖「『てけてけてけてけてけてけてけてけてけ!!』」

祐巳「ああ」

聖「『てけてけてけてけてけてけてけ』」

聖「『てけてけてけてけ』」

聖「『てけてけ』」

聖「・・・・・・」

祐巳「あれっ?」

聖「『てけてけ』という音はなぜか小さくなり、そのまま聞こえなくなりました」

聖「少女はそっと目を開けると・・・」

祐巳「!」

聖「やっぱり何もいませんでした」

祐巳「ふう」

聖「少女は安心してふっと天井を見ると・・・」

祐巳「えっ!?」


聖「『てけてけてけてけてけてけてけ!!!』」

祐巳「きゃーーーーーーーー!!!!」

聖「はい、おしまい」

聖「祐巳ちゃん、どうだった?」

祐巳「きゃーーーーーーーーー!!!!」

聖「祐巳ちゃん!?」

祐巳「きゃーーーーーーーーー!!!!」

聖「祐巳ちゃん、落ち着いて!!」

祐巳「きゃーーーーーーーーー!!!!」

聖「ほら、お菓子だよ〜」

祐巳「わーい、お菓子だ〜」むしゃむしゃ

祐巳「ん〜 おいしい!! 聖様、ありがとうございます!!」

聖「いえいえ、祐巳ちゃんが元気になって何よりだよ〜」

祐巳「ははは、お騒がせさせてすみません」

聖「いいよいいよ。気にしてないし」

祐巳「でも・・・あれっ? 何で私が誤ってるんだろう?」

祐巳「あ、そうだ! 元はといえば聖様が怖い話をするからいけないんじゃないですか!!」

聖「あーあ、気づいちゃったか」

祐巳「もう! 夜眠れなくなったら、聖様のせいですからね!!」

聖「祐巳ちゃん」だきっ

祐巳「ぎゃっ!?」

聖「そのときは私が一緒に寝てあげる」

祐巳「聖様・・・」

聖「祐巳ちゃん、いえ、祐巳・・・」

祐巳「・・・聖様、実は私…」


だんだんだんだん ばたんっ

祐巳「遅れてすみません!! そして、ごきげんよう、聖様、……私?」

聖「ゆ、祐巳ちゃん!?」

聖「じゃあ、こっちの祐巳ちゃんは?」

祐巳「・・・」

祐巳「ふふふ」ばりっ ばりばりばりばり

蓉子「実は蓉子でしたー」

聖「なーんだ、蓉子だったんだ。すっかりだまされちゃったよ〜」

蓉子「聖もまだまだね」

聖 蓉子 祐巳「はははははは」


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