【2918】 何ということでしょう  (クロス 2009-04-03 12:20:12)


【No:2909】の続き

乃梨子「はあ。休日明けの次の日の学校ってどこか憂鬱よね」

乃梨子「でもまあ、お姉さまに出会えるからokと思える私は明らかに勝ち組よね」

乃梨子「あー早くお姉さまに会いてー」

乃梨子「おっ、志摩子さんだ」


乃梨子「おーい、志摩子さん。ごきげんよう」

志摩子「……」

志摩子「ごきげんよう、乃梨子」

乃梨子「今日もいい天気だね」

志摩子「ええ、そうね。マリア様の心の表れかしら」

乃梨子「ふふふ、そうかもね」

乃梨子「ところで、志摩子さん」

志摩子「何かしら、乃梨子?」

乃梨子「私、乃梨子ちゃんに見える?」

志摩子「えっ?」

乃梨子「実は中身が違ってたりして」

志摩子「乃梨子、何を言ってるの?」

乃梨子「だから… じゃーん! 私は乃梨子ちゃんであって本当は福沢祐巳でしたー!!」

志摩子「……わけがわからないわ」

乃梨子「あれっ? だから、今日は瞳子ちゃんじゃなくて乃梨子ちゃん…って、志摩子さん!?」

志摩子「さあ。行くわよ、乃梨子」

乃梨子「えっ!? 行くってどこに?」

志摩子「昨日話したこともう忘れたの?」

乃梨子「昨日?」

志摩子「……本当に忘れたの?」

乃梨子「だって、私、乃梨子ちゃんじゃないし…」

志摩子「……」

志摩子「ふう、私とキスしたいといったじゃない」

乃梨子「キ、キキキキキス!?」

志摩子「そうよ」

乃梨子「で、ででででも!! 私は福沢祐巳だから…」

志摩子「聞こえないわ。早く行くわよ」

乃梨子「ほ、本当に祐巳だよ!! 乃梨子ちゃんじゃないってば!!」

志摩子「乃梨子は冗談が下手ね」

乃梨子「冗談じゃないよ!! 本気だよ!!」

志摩子「そういうことは後で付き合うわ、祐巳さ…あら、失礼。乃梨子」

乃梨子「あっ!! 今私の名前呼んだ!!」

志摩子「呼んでないわよ」

乃梨子「いいや、呼んだ!! 志摩子さん、実はすべてわかってるでしょう?」

志摩子「ほら、もう時間がないのだから」

乃梨子「志摩子さん!!」

志摩子「……」

志摩子「こんなおいしいチャンス、逃がすものですか」

乃梨子「!?」

志摩子「こうなれば、無理やりにでも」

乃梨子「し、志摩子さん? や、やめて…」

志摩子「……」

志摩子「乃梨子、安心して。キスはうそだから」

乃梨子「そ、そうなの? なーんだてっきり私は本気で」

志摩子「キスなんて序の口ですもの」

乃梨子「!?」

志摩子「さあ、行くわよ! の・り・こ」

乃梨子「い、いやーーーーーーーー!!」



由乃「お待たせ、令ちゃん」

令「遅いわよ、由乃」

由乃「だって、髪をセットするのに時間かかるんだもん」

令「その髪型だったら、そんなにかからないでしょ?」

由乃「え?」

令「どうしたの、由乃?」

由乃「何で、令ちゃんが髪のセットにどれくらい時間が掛かるか知ってるの?」

令「私だって、それくらい知ってるわよ」

由乃「でも…」

令「ほら、先行くわよ」

由乃「え? 待ってよ、令ちゃん!」



可南子「乃梨子さん、プリントです」

乃梨子「ありがとう」

可南子「? 乃梨子さん、何かあったのですか?」

乃梨子「え? どうして?」

可南子「なんとなく今日の乃梨子さん、つやつやしてますし」

乃梨子「そうかしら?」

可南子「そうですよ。何かいいことでも?」

乃梨子「ふふ、なんだか幸せなことって人に言いたくなるわよね。実はね…」

がらっ

瞳子「私!! 私の体を返しなさい!!」

可南子「ゆ、祐巳さま、ごきげんよう。どうかなさったんですか?」

瞳子「祐巳さまじゃないわよ!! 私は二条乃梨子よ!!」

可南子「え? じゃあ、今乃梨子さんの中にいるのは誰なんですか?」

乃梨子「乃梨子、私よ」

瞳子「……も、もしかして、お姉さま!?」

乃梨子「正解よ」

瞳子「お姉さまが私なんて……」ひゅー ばたんっ

乃梨子「あら、乃梨子、大丈夫?」

瞳子「お姉さまが私… お姉さまが私の体を…」

乃梨子「気絶しちゃったわね」

可南子「白薔薇様! じゃあ、私の祐巳さまは?」

乃梨子「……可南子ちゃんのじゃないけれど、今は私のからだよ」



桂「? 志摩子さん、どうしたの? なんか元気ないじゃん?」

志摩子「……」

志摩子「あっ、桂さん、ごきげんよ〜」

桂「ご、ごきげんよう」

志摩子「ねえ、桂さん」

桂「な、何かしら?」

志摩子「キスって何?」

桂「は?」



祐巳「どうしよう? 私、祐巳ちゃんの体になっちゃった」

祐巳「このままだと祥子に殺されちゃう…」

祐巳「いや、由乃にか? 由乃、祐巳ちゃんのこと好きだし…」

祐巳「……」

祐巳「私は私らしく生きよう!!」←何かを悟った

祐巳「それにしても…」

祐巳「祐巳ちゃんの体って柔らかいんだね…」

祐巳「いつも聖さまが抱きしめるのはわかる気がする」

祐巳「……」

祐巳「はっ!!」

祐巳「私は祐巳ちゃん!! 祐巳ちゃんは私!!」

祐巳「つまり、お風呂とか入らないと…」ひゅー ばたんっ

祐巳母「ゆ、祐巳ちゃん、大丈夫?」

祐巳父「ここ数日の祐巳ちゃん、急に鼻血を出して、倒れるね」

祐巳母「救急車呼んだほうがいいかしら?」

祐巳父「考えとかないとな…」

祐麒「……」

祐麒「祐巳ちゃんも誰かと替わったらしいな」

祐麒「僕とユキチのように…」

祐麒「ふふ、ふふふふふ」

祐巳母父「……」

祐巳母「祐麒の様子もここ数日おかしいわね」

祐巳父「考えとかないとな…」

祐巳母父「……」


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