ごきげんよう。【No:2831】の関連作です。続きではありません。
相変わらずオリキャラメインです。
出雲が完結していないのに新シリーズ(かもしれません)。
なお、このお話から本家の方も含めて百合度が強くなっていきますのでご注意願います。
このシリーズ(かもしれません)は、マリみてには欠かせない(少なくとも作者はそう思っています)リリアン報道陣にスポットを当てていこうと思っています。
今回の主人公もある日突然性転換してしまった不幸な(本人はそう思ってはいないかもしれません)男の子です。
出雲みたいな子も一人いればもう一人くらい…Gは一匹いれば30匹、一時期志摩子さんだって一人いれば30人…なんて言われていましたから…
性転換した子をリリアンに通わせるお話…本当はこういうお話にしたかったというのがこれです(出雲の性格では無理だったのです)。
前置きが長くなってすみませんでした。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
さわやかな朝の挨拶が…(省略)。
温室育ちの純粋培養お嬢様が箱入りで出荷される、という仕組みがいまだに残っている貴重な学園である。
桜咲く四月。
真新しい制服に身を包んだうら若き乙女たちが、これから始まる学園生活に思いを馳せながら高い門をくぐりぬけていく。
暖かい春の日差し、さわやかなそよ風、美しく咲き誇る桜、全てがそんな彼女たちを祝福している。
そんな美しい光景の中、うすら笑いを浮かべながら異様なオーラを発している者が一人…
「ついに来ましたよ、リリアン女学院。あー楽しみだなー…うふふふ…」
私の名前は『霧島雪美』。
去年の夏、ある朝起きたら突然女の子になっていました。びっくりでした。
まあ、前々から女の子みたいだとは言われていましたが、まさか本当に女の子になってしまうとは夢にも思わなかったです。
男の子だった時の名前は漢字の表記は今と同じで読み方が『ゆきよし』でした。
生まれた時、雪のように白くて美しかったからこの名前にしたらしいです。男の子につける名前じゃないと思うんですが、今となってはそれが幸いしたと思います。
女の子のような外見のおかげで、今では腐女子になってしまった姉『加奈美』によく女装をさせられていたので女の子になってみたいと思っていましたから不思議とこの緊急事態をすんなり受け入れることができました。
性転換してしまった去年の夏、両親の仕事の都合で海外へ…なんて話もあって学校へ通うにしても特に問題はなかったのですが、東京のリリアン女大に進学していた姉の下宿先に私も居候させてもらうことにしました。
腐女子でレズビアンな姉は少し偏屈なところまであるのですが、いつも遊んでくれる優しい姉なのでまた一緒に生活できることになって嬉しかったです。
女の子になってからの半年ほどの間、姉と一緒に秋葉原に行って遊んだりしながら自宅で受験勉強をして、無事この春、リリアン女学院への入学を果たすことができました。
リリアンは姉とその恋人『平山恵那』さんの勧めで受験しました。
姉も恵那さんもリリアンは大学からで高等部には通っていませんでした。
リリアンの高等部には他の学校には無い、特殊な制度があるとかで、それを探ってきてほしいと言われています。
たぶん、その情報を使って同人誌でも作るんじゃないでしょうか。
「これがお姉ちゃんの言っていたマリア像ですね〜。さすがに神々しいです…うん?」
人だかりができています。みんなマリア様に向かってお祈りをしてるんですね。
うん、いいですよ、お嬢様学校っぽくて。
それじゃあ私もみんなに習ってお祈りしちゃいましょうか。
『マリア様、私のようなイレギュラーを迎え入れてくださりましてありがとうございます♪私、すっごく幸せで〜す♪これからよろしくお願いしま〜す♪』
うふふ、ちょっと不謹慎だったかもしれませんね〜。ですけど今のは本音ですから、ウソではありませんからばちは当たらない筈です。
「??」
なんだか周りが騒がしいですね。
振り返ってみると周りにいる子たちはなぜか頬を染めて私の事を見ています。
もしかして…耳を澄まして彼女たちが呟いているのを聞きとってみると…
やっぱり…いや〜可愛いっていうのは罪ですよね〜。みなさん口々に「なんて可憐な人なんでしょ…」とか「あの美しい方は何組なのでしょう…同じクラスになりたいです…」とか
「あんなに熱心にお祈りされて、きっと素敵なことをお祈りされているんですわ…」とか。
あ〜あ、私のお祈りの内容がばれちゃったらみんななんて思うんでしょうね。
ごめんなさいね〜、みなさん♪
昇降口前のクラス発表を見て自分のクラスに向かいます。
「桃組、桃組と…あ、ここだ」
教室に入るとまあ当然女の子しかいません。なんて素敵な環境なんでしょう…
野郎が一人もいないなんて…あ、私は元だけど野郎だ。でも今は穢れ無き?乙女だから問題無しです。
出席番号は12番です。ここだ、っておや?前の席の人金髪なんですけど染めてんですかね?
「え〜っとごきげんよう。私霧島雪美です」
前の席の金髪さんに話しかけてみました。
「え?ああ、ごきげんよう。ボクはユセスレイア・カリンニコフだよ、よろしくね」
え〜!?外人さんですか?さすがお嬢様学校!しかもこの人日本語ペラペラですよって外人さんだからって日本の高校に入ってきてるんですから当然かもしれませんね。
「?どうかしたの?」
「え、ええ。あの、ユセスレイアさんがあまりに綺麗だからその…」
「ありがとう、君だって美人じゃない」
「え?」
やばいです。恥ずかしいです。面と向かってなんて事をのたまっているんですかこの方は…
今まで結構な回数可愛いとか美人だとか言われてきたけど、こんな本物の美少女に言われたらやばいですよ…
「ふふ、君っておもしろいね。仲良くしてね。ボクの事はユセスって呼んでほしい」
「は、はい…」
なんてことだ…さっきまであんなに余裕かましていたのに…不覚ですよ。
「雪美さ〜ん!」
?!誰ですか?私は新参者ですからここに私を知っている人はいない筈なんですが…
私を呼んだ子を見てみると…
「ああ!」
「ごきげんよう、雪美さんお久しぶりですね。あの時は本当に助かりました」
「あ、ええ…」
「雪美さん、美影さんとは知り合いなんだ」
「はい、まあ」
嬉しそうに私に声をかけてきたのは、経観塚美影さん。
ちょっと前に秋葉原に行った時に彼女はチンピラにからまれていまして、その時に恐怖のせいで泣きそうだった彼女を助けてあげました。
まさかその時の子が目の前にいる子だなんて、運命っていうのは確実に存在していますね。
「雪美さんと同じクラスなんて嬉しいです。は〜、マリア様ありがとうございます…」
「あはは…」
「雪美さん、モテモテだね。羨ましいよ」
「そうですか…」
はあ、美影さんたら大げさですよ。まあ、知り合いといいますか自分を慕ってくれている方が同じクラスというのは何かといいと思いますし、美影さん、かなり可愛い人ですから気分もいいですね。
「そろそろ先生が来る時間だから席についていようか」
「そうですね、お話はあとでも出来ますしね」
いきなり二人の友人なんて最高に幸先がいいですね〜
入学式も無事に終わりましたし、もう放課後です。
ユセスさんは同じ学校に通うお姉さんに会うためにさっさと行ってしまいました。
さて、私はどうしましょうかね〜。
「はあ、あの福沢祐巳様と同じ桃組なんて幸せですわ〜」
「そうですね〜」
ん〜?彼女たちは誰の事を言っているんだろう?
このクラスに『福沢祐巳』なんて名前の人はいない筈なんですが…ちょっと聞いてみましょうか…
「あの〜」
「あ!雪美さん私たちにどのような御用件で?!」
なんでそんなに驚かれているんだろう?確かにいきなり話しかけられたら驚くのも無理はないですけど、この驚き方は異常ですよ。しかも妙にかしこまっていますし。
「あ、いきなり話しかけてごめんなさいです」
「い、いいえ。そのことに驚いたわけではなくてですね、あ…あの…貴女のような綺麗な方に話しかけていただけたことに…」
「そんな、どうしてそんなことを?」
「だって、貴女は私たちとは次元が違う美しさですから私たちのことなんて眼中に無いかと…」
次元が違うって、彼女たちだって十分可愛いのに。て言いますかそんなことを気にしているなんて…萌えちゃいますよ〜♪
「あの、お二人はそうおっしゃいますけどお二人だって食べちゃいたいくらい可愛いですよ」
「「ええ?」」
あ、やばいです。ドン引かれてしまったようです。純粋培養のお嬢様には通用しない言葉をチョイスしてしまったようです。これからは気をつけないといけませんね。
「ごめんなさいね、言葉の綾ってやつですから気にしないでください」
「そうですか…」
はあ、ちょっと警戒されてますね…
「あの、福沢さんって誰ですか?」
「知らないんですか?!」
「はい、私は新参者ですからね〜」
「そうですか、それはお可哀そうに。では私たちが祐巳様についてたっぷりとお教えして差し上げますわ」
「え?」
ぬかった。あまり興味がないのに…
それから延々1時間ほど『祐巳様』の話を聞かされた。
「それで祐巳様のお写真がこれです」
「では、拝借させていただきます……??」
??なんだ?この狸みたいな女の人は…確かに愛嬌があって可愛い気もするが…
どうだろう…はっきりいって彼女たちがこれほど熱狂するのが…うーん…
まあ、人柄が優れている人なんでしょう。
確かこの人が『紅薔薇様』をやっていた頃は…
「私は志摩子様の方が好きです」
「志摩子様はご存じなんですね」
「はい、といいますか会ったことがあるんですよ」
「「ええー??!」」
うわ、劈くような悲鳴です。
仕方ないと思いますがね。だって『薔薇様』といえばリリアンに通う子たちにとって神のような存在らしいですからね。
ちなみに志摩子様はうちによくいらっしゃるんですよ、お姉ちゃんと同じ大学で同じ学部で凄く仲がいいですから。
私にも優しく接してくださいますからすごく好きな人なんですよね。
「志摩子様はリリアン女大に通う姉の友達なんです。だから私も時々お会いするんですよ」
「なんて羨ましい…」
「私もお会いしてみたいです…」
ふふ、なんだか恋する乙女モードに入っていますね。可愛いですよ。
あれ?薔薇様ってもう一人いるんですよね?
「あの、もうお一方は?」
「…由乃様ですか?」
あれ?なんだか微妙な顔をしていますが…
「あのお方はとても怖いです」
「そうです。あのお方を敵に回すと…ああ!恐ろしいです」
「………」
どうやらかなりやばい人らしい。
彼女たちとの会話を終えて帰路に就く。
明日からの学園生活が楽しみですね〜。
うふふ、笑いが止まりません…
『マリア様、本当にありがとうございます♪』
あとがき
出雲が10本に達しましたのでちょっと一休みです。
リリアン報道陣とか言って出てきていませんが、次回以降出てくるはずです。
まだ今回では雪美の本性はあまり出てきていませんね。これも次回以降。
出雲の方と並行して続けていきたいです。
此処まで読んでくださってありがとうございました。
またよろしくお願いいたします。