【2976】 ごはん三杯はいけるコンビ前途洋洋  (かいず 2009-06-25 01:23:30)


注意事項です

原作の素晴らしいイメージが、著しく崩れております。
広い心で読んでいただけると、ありがたいです。
 






由乃「どうもー、由乃でーす」

祐巳「祐巳でーす」

由乃・祐巳「「二人合わせて、ふくざわしまズでーす!!」」



☆ ふくざわしまズ ☆(結成2年目)・リリアン女学園所属



由乃「はい、今日もイケイケ青信号。アクセル全開で頑張っていこうかなーなんて思いますけれど。最近はどう?祐巳さん」

祐巳「由乃さーん。最近の私はもうバテバテ。毎日暑いよね。すぐにバテちゃうの」

由乃「あー、そうね。まぁ季節も春から梅雨に突入しつつあるしね。今日も蒸し暑いよね」

祐巳「そうなのよ、もうおツユの季節だから。もう身体が火照っちゃって、火照っちゃって・・・」

由乃「何でいきなり身体が火照る話になるのよ!あと丁寧なのはいいけれど、梅雨に『お』をつけるのは止めようね。なんとなくエロいからね」

祐巳「えっ、なんで?」

由乃「なんでって・・・。私にそれを語らせたら3時間くらい語るわよ。あと、泣かすからね。必ず祐巳さんを泣かすからね」

祐巳「ああん。私また、由乃さんに泣かされちゃうんだ。うへへへへ・・・」

由乃「ちょっ!まっ・・・!あのね、祐巳さん。アリもしない桃色な妄想を口走らないでよ・・・。あーごめん、祐巳さん。忘れて。話が進まなくなるから、この話は忘れて」

祐巳「はいはい、忘れます忘れます。由乃さんの胸の中で何もかも忘れさせてね。その薄い胸の中でね」

由乃「誰が薄い胸よ!大体、祐巳さんとそんなにサイズは変わらないじゃないの!」

祐巳「まぁ、そんな下ネタはおいといて。最近、暑くてね。ほんと参っちゃう」

由乃「ぐっ、都合が悪くなると話を変えて・・・。まぁ、いいわ。そうね、ほんと教室なんてクーラーもないし大変よね」

祐巳「だよねぇ。だからみんな暑いよー、死んじゃうーって顔してぐったりしてるよね」

由乃「でも、祐巳さん。暑い暑いとか言っている割には、あなた結構涼しそうな顔をしてるじゃない?」

祐巳「ああ、それはね。さっきの授業が体育で水泳だったのよ」

由乃「そうそう、そうでした!私も祐巳さんと同じクラスなんですけど、さっきまでプールで水泳だったんですよ。いいよねー、涼しいよねープール」

祐巳「うん!私、こう見えても水泳が得意でね。この時期の水泳の授業が凄く楽しみなんだ」

由乃「へぇー、意外。祐巳さんって、体育会系の人だったのね」

祐巳「しかも、プールで泳ぐと気持ちいいし、涼しいしさ」

由乃「うんうん」

祐巳「あまりに楽しみにしすぎて、家から制服の下に水着まで着てきたもの」

由乃「ちょっと!マジで?小学生じゃないんだから!ていうか、祐巳さん。体育の授業は4時間目だったから朝から制服の下はずっと水着?」

祐巳「そうなのよ由乃さん。だからなんだか落ち着かなくてさ。変に興奮して余計に暑くなった気がしたよ」

由乃「なに興奮して暑くなってんのよ。あのねぇ、祐巳さんもリリアンの紅薔薇様になる人なんだからさ、ちゃんとしなくちゃ駄目よ」

祐巳「そうだよね。反省しています」

由乃「そうそう、分かってくれればいいのよ」

祐巳「うん。うっかり着替えの下着を持ってくるの忘れちゃってさ。今はもう制服の下は何にも着て無いんだよね・・・。お蔭でまた興奮して暑くなってるしさ、反省しています」

由乃「ふ、ふくざわー!何で着替え持ってきてないのよ!それに暑い暑いって言っている割には、なに涼しそうな顔して凄いこと喋ってんのよ!」

祐巳「涼しそうな顔じゃないよ。熱く火照った顔だよ。福沢は」

由乃「やかましい!祐巳さん、冗談じゃなくて本当に制服の下は何にも着てないの?」

祐巳「見る?」

由乃「み、見ないわよ!まったく、こっちの方が熱く・・いや暑くなるっての」

祐巳「由乃さん、そんなに興奮しないでよ。ますます暑くなっちゃうよ」

由乃「誰のせいよ!誰の!まったく、色々な意味で興奮させられるじゃないの」

祐巳「ん?何か言った?」

由乃「別に何も!ああもう、また話が逸れた。まぁ、暑い暑いってグダグダ言っていても仕方が無いし。この暑さをなんとか解消しようじゃないの」

祐巳「賛成!私、思ったんだけれど。こういう時は、避暑地へ旅行とかいいんだよね」

由乃「旅行かー。いいけれど、今すぐにはできないよねぇ。でも行きたいねー」

祐巳「そう言えば、私、海外旅行は修学旅行で行ったイタリアが初めてだったんだけれど」

由乃「へぇー、そうなの」

祐巳「旅先のホテルでは由乃さんとはずっと同じ部屋で、二人きりだったよね」

由乃「そうね。祐巳さんには色々とお世話になったわ」

祐巳「私、旅行初日の由乃さんと二人きりで過ごした夜に体験したんだけれど・・・。由乃さんのって、凄く可愛いの」

由乃「ちょっ!祐巳さん?!」

祐巳「少しだけ小さめだけれどー、でもとっても可愛くてー。触った感じもフワフワしていたし。いいニオイもするんだよね」

由乃「や、ちょ!祐巳さん!こんな人前で何を発表してんのよ!」

祐巳「ほんと、あれは可愛かったなぁ。由乃さんのハンドタオル」

由乃「は?」

祐巳「いや、由乃さんが子供の頃から愛用してるハンドタオル。あれ、可愛かったなぁと思って」

由乃「あ、ああ。ハンドタオル・・・。ハンドタオルね」

祐巳「あれぇ、何だと思ったの?」

由乃「う、うるさい!まったく祐巳さんったら、何を言い出すかと思いきや」

祐巳「由乃さん、どう?暑くなった?」

由乃「次から次へと興奮させられたら暑くもなるわよ!あ、興奮っていっても、変な意味じゃないからね!まったく、さっきから祐巳さん変だよ」

祐巳「ふっふっふ、由乃さん。それは違うわ。私は由乃さんに涼しくなって貰おうと思って、わざとこういうことをしてるの」

由乃「えっ?それどういう意味なの?」

祐巳「ほら、昔から暑い時には熱い飲み物を飲めっていうでしょ?体内に熱いものを取り入れたら、体温と気温の温度差で涼しく感じるというアレなのよ」

由乃「だから、私が熱く(暑く)なるようにしたってわけ?それなら、最初から熱い飲み物を飲ませなさいよ!」

祐巳「あ、それは気付かなかった」

由乃「気付きなさいよ!まったくもう」

祐巳「ごめんね、由乃さん。じゃあ、お詫びに私が暖かい飲み物を用意するよ。・・・・・はい由乃さん、どうぞ」

由乃「あら、祐巳さんありがとう。これは何かしら」

祐巳「アツアツの缶入りおしるこです」

由乃「また、なんという飲み物のチョイス」

祐巳「えー、美味しいのに」

由乃「祐巳さんって、これ本当に好きねぇ。しかし、よくこの時期に自販機でもあたたかーい部門に入ってる缶入りおしるこが売っていたものよね」

祐巳「うん。ミルクホールで買ってきたの。別名、ミルクの穴。あそこ何でもそろうよね」

由乃「ミルクの穴って何よ。言葉の響きが、なんかいかがわしいわよ」

祐巳「うーん、由乃さんにはまだ早かったかなぁ。缶入りおしるこの味が分かるには・・・。それじゃあ、別のものを用意するわ。紅茶でいいかな?いつものやつ」

由乃「なんか腹立つわね、でもいいわ。祐巳さんはフリーダムな人だから、ここは由乃が大人にならなくちゃ。祐巳さんが紅茶入れてくれるの?ありがとう」

祐巳「はい由乃さん、どうぞ。熱いから気をつけてね」

由乃「ちょっと祐巳さん・・・。なんで紅茶を口に含んで、私に口を突き出しているの?目までつむって」

祐巳「いや、口移しで飲んでもらおうかと思って」

由乃「なんでよ!なんで口移しなのよ!普通に飲めばいいじゃない!恥ずかしいじゃないの!」

祐巳「それはね由乃さん。これは由乃さんと私がより涼しくなるためなんだよ。こうして口移しでアツアツの紅茶を飲めば、普通に飲むよりも身体が熱く火照るじゃない?」

由乃「祐巳さん、あなた身体が火照るの好きねぇ。祐巳さんの場合は、もう火照る必要はないんじゃないかしら」

祐巳「さぁ、由乃さん。せっかくの紅茶が冷めちゃうよ。それとも、由乃さんは私の口移しで紅茶を飲むのが嫌かな?あ、そっか・・・そうだよね。女の子同士なんだもん。嫌なのは当然だよね。ごめんね、由乃さん・・・私ったら馬鹿だよね」

由乃「そ、そんな顔しないでよ、祐巳さん。い、嫌なわけないじゃない。口移し上等じゃない。私達、親友でしょ?突然のことだから、ちょっとビックリしただけよ」

祐巳「そっか、良かった。私、由乃さんに嫌われちゃったかと思った」

由乃「馬鹿なこと言わないでよ。祐巳さんとは一生、ソウルメイト。心の友よ」

祐巳「私もだよ、由乃さん!私のものは私のもの。由乃さんは私のもの。じゃあ私の愛がたっぷりつまったアツアツの紅茶、飲んでね」

由乃「なんだか納得いかない感じだけど、分かったわ。どんど来なさい!」


二人はギュッと抱きしめ合う。
祐巳からの口移しでアツアツの紅茶を飲む由乃。


由乃「プハァ・・・。紅茶、ごちそう様でした。何だか凄く甘かったわ」

祐巳「砂糖は入れなかったけれど、舌を入れたからかもしれないね。濃厚にね」

由乃「サラッとそんなこと言わないの!まったくもう、祐巳さんったら時々突拍子もないことするわね」

祐巳「えへへ、ごめんね。由乃さん」

由乃「でも祐巳さん、これは逆効果だったわよ。こんな照れることさせるから、身体が火照り過ぎて制服の下も汗だくだわ」

祐巳「ほんと?でも大丈夫だよ、すぐに涼しくなるから」

由乃「何で?」

祐巳「だって、さっきからずっと私達のことをお姉さまが見てるから」

由乃「凍え死ぬわよ!もういいわ」

由乃・祐巳「「ありがとうございましたー!!」」
        ・
        ・
        ・ 
        ・
        ・



「こんな感じで書いてみたんだけれど、どうかしら?」

「どうかしらと・・・」
「言われても・・・」

某月某日、ここは薔薇の館である。
今年の「紅薔薇さま・黄薔薇さまを送る会」の出し物を決めるため、二年生チームの三人が集まっていた。
私と祐巳さんは、志摩子さんから渡された台本を読むうちに変な汗がとめどなく出てきた。
なんだこれ、本当に身体が火照るわ。
去年は聖さまに騙されていたとはいえ、送る会で出し物をして凄く盛り上がった。
私の手品もうまいこといって、気持ちよかったし。
志摩子さんの踊りも素敵だったし。
祐巳さんの安来節も最高だった。
そのことから今年も何かやろうよという話になって、だったら私が何か考えたいと張り切っていた志摩子さんに一任していたのだが・・・。
まさかこのような漫才の企画を持ってくるとは。
志摩子さん、おそるべしである。

「えーと、志摩子さん?色々と突っ込みどころが満載なんだけど・・・」

台本を食い入る様に読んでいた私は、おそるおそる話しかける。
祐巳さんにいたっては、百面相である。いや、千面相くらいにはなっているかもしれない。
赤くなったり青くなったり。
エレクトリカルなパレードのようで、カラフルで楽しい。
いや、そんなことを言っている場合ではないよ。

「そうかしら?紅薔薇さまや黄薔薇さまも喜んでいただけると思うけれど」

「「いや、それはないから!!」」



結局、志摩子さんが企画した「ふくざわしまズ」(なんつーコンビ名だ)の漫才は、2対1の多数決によりお蔵入りとなった。
その後の私達は、薔薇の館の仕事や日々の生活でゴタゴタしているうちに、代わりの出し物を考えるのをすっかりと忘れてしまった。
送る会の当日は三人ともに焦りまくりであったが、瞳子ちゃんや乃梨子ちゃんの機転のお蔭で送る会は大成功のうちに終えた。

正直な話、祐巳さんとの漫才は面白そうだと思ったが、あのネタを祥子さまの目の前でやる度胸は私にはない。
もちろん、抱きしめ合って口移しで紅茶を飲むシーンなんかは本当にするわけではなく、マネでやるだけなんだけれど。
マネでやっただけだとしても、漫才のオチと同じように私は凍えて死んでしまうかもしれない。
令ちゃんにも目の毒だしね。
やらなかったのは正解だったと思う。


ただ、せっかく志摩子さんが一生懸命にネタを考えてくれたのに「嫌だ」の一言で全てをなかったことにするのは、
私達の熱い友情からありえなかった。
多数決でネタをやらないことが決まって、しょんぼりとしていた志摩子さんの顔を見た私と祐巳さんは、
特別に志摩子さんの前で一回限定で「ふくざわしまズ」を結成して、ネタを披露した。
台本を見ながらやってみたのだが、結構面白くて、私はノリノリだった。
祐巳さんも照れていたけれど、楽しんでいたと思う。

抱きしめ合って、私が祐巳さんの口移しで紅茶を飲むシーンは、最高に照れた。
そのシーンを飲むフリでやったのか、もしくは実際に紅茶を淹れて本当にやってしまったのかはその場にいた三人だけの秘密だ。


ただ、三人ともに妙に身体が熱く火照ってしまったということだけは付け加えておこう。





一つ戻る   一つ進む