「ふう、やっぱりお姉さまは見落としとかないねえ」
「ま、そりゃそうよね」
「やれやれ。え、○▽♯♪×□」
「何よ、いったい。祐巳さん」
「な、ななななな」
「菜々はいないわよ」
「なに、これ」
「何よ。ああ、こんなとこにあったのね」
「って由乃さんのなの?このわら?人形?」
「そうよ。呪いのわら人形」
「何でそんなものを。ま、まさか、瞳子を?」
「なんでよ。そんなことする理由ないじゃない」
「いや、選挙とか、ぼそぼそ」
「これは令ちゃん用なのよ」
「ええ、とうとうロザリオ返しに飽き足らず」
「だから、違うって。こう使うのよ」
「なにしてるの、これ」
「見てわからない?人形がお菓子を作ってるのよ。こうしておくと、令ちゃんがお菓子を持ってくるの」
「………」
「それから、忘れ物したときにはこのわたしの部屋の模型にこう品物を書いて、人形を置いておくと」
「………令さまが取ってくると」
「そう。分かってるじゃない」
「それって」
「ただ、欠陥品なのよ、これ。令ちゃんがみてないと効果がないんだもの」
「それって、………」
「ねえ、由乃さん」
「なに、志摩子さん」
「その人形、令さまも由乃さんを呼びたくて置いてあったのではないかしら」
「さあ。でもこんなのを持って外には出たくないわよね」