ごきげんよう、お姉さま方。
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「恵、さっきの一年生どう思う?」
「何?瞳気になるの?」
「うん。恵の『毒舌』をスルーした子って、初めてじゃない?」
「本当に小等部だと思ったんですもの、仕方ありませんわ。それに『嫌味』ならまだしも『毒舌』とは何ですの?只のジャブじゃない、あんなの。まだ泣かせてませんし。」
「ま、確かに。で、どうする?」
「どうするって何よ。」
「妹にするかどうかってこと。」
「嫌よ。子守してるみたいだもの。」
「そんな事言っていいのかな〜。」
「今の内に素直になることを覚えないと、将来行き遅れるよ〜。」
「ッ...余計なお世話よ!そういう瞳はどうなのよ!」
「私は猫好きじゃなきゃヤダ。」
「...あなた...」
「当たり前じゃない。猫好きは『猫に始まり猫に終わる』よ。基本中の基本。」
「そんな事ばかり言うから、いつまで経ってもお姉さまが居ないのよ。」
「恵よりマシ。貴女なんて憧れの沙織さまから申し出の時に、一人テンパって沙織さまを泣かせた上に、UFOマニアの夏美に取られるのよ。あの時はあなたの憂さ晴らしで被害者が多くて大変だったわ。お陰で後始末が...」
「うるさいわね『猫娘』」
「本当の事じゃない『毒舌姫』」
「......」
「......」
「部活に行こっか。」
「そうね。不毛な争いをしても時間の無駄ですし。」
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『美術部』
ガラガラ
「遅い!2人共!!」
2人を一喝するこの少女は3年松組の天羽 舞(あまはね まい)
美術部部長、と言っても3人しかいない。
「今年誰一人入部しなければ廃部だというのに貴女達2人は...」
「部長のせいじゃないですか。来る日も来る日も同人誌ばかり手伝わせるから居なくなるんですよ。」
「同感です。そんな事ばかりしてるから『腐女子』って呼ばれるんですよ。お陰美術部は『腐女子の館』扱いされる始末。」
「それに今度の勧誘までに発表する絵は出来たんですか?何でしたっけ?」
「『17歳という奇跡に笑って欲しくて』よ。それにこれは今朝仕上がったわ!」
「また泊まり込んだですか?バレますよ?その内。」
「部長も歳なのに無理なさるから、肌がUターンいたしますわよ?」
「うるさい!ほっとけ!貴女達はどうなのよ!」
「私は出来てますよ?『ランチとツンデレ』」
ピクッ
「(無視無視)私は『子供達のワルツ』ですわ。」
「子守は嫌だったんじゃなかったの?」
「猫の世話よりマシですわ!」
***
続きます。