【3035】 ある晴れた日の午後に振り返ってみると間違いなく破局  (弥生 2009-08-19 12:34:33)


ごきげんよう、お姉さま方。読み切りです。
***
「ねえねん聞いた?祐巳さん。」
「何の事?真実さん。」
「お御堂の裏にある杉の木何だけど、ある晴れた日の午後にその杉の木に触りながら振り返ると、」
「ふ、振り返ると?」
「出るらしいのよ。」
「嫌、嫌、そんな話しないで。」
「そんな顔しないで、祐巳さん。この話にはまだ続きがあるの。」
「つ、続きって...」
「スールが居ない人だったら、これからのスールが出るらしくて、スールが居る人だったら、」
「だったら...。」ギュッ
「今のスールが出ると」
「出ると...」ゴクリ
「必ず破局するらしいのよ。」
「イヤーッ!」
「祐巳さん声が大きいって!」
「だって...」
「今までに『これ』を試して破局した人は多いらしいわ。それで私も試してみようと思うの。」
「や、やめなよ、真実さん。」
「新聞部の意地にかけて調査するわ!蔦子さんにも協力を依頼してるのよ。」
「そ、そうなの?」
「そ・こ・で、うふっ」
「何か嫌な予感がするんだけど。」
「祐巳さんにも一肌脱いで欲しくて。」
「怖いから嫌。」
「大丈夫よ。痛くないし、昼間だから怖くないから。」
「それなら真実さんがやればいいじゃない。」
「私はダメよ。日出美と破局したくないし取材で忙しいし。」
「本音が出てるわよ。」
「もちろん。それに紅薔薇様ともあろう御方が、子羊達の破局を黙認すると?」
「ッ...!」
「交渉成立、ご協力感謝しまーす。ではお昼休みにお御堂で待ってるわ。」
「やられた。」
***
「待ってたわ、祐巳さん。」
「蔦子さんは?」
「蔦子さんにはもうスタンバってもらってるから、後は祐巳さんだけ。」
「そうなんだ...」
***
「こんな感じ?真実さん?」
「そう、そんな感じ。後はゆっくり振り返るだけ。」
「瞳子が出てきたらどうしょう...」
ドキドキ...ドキドキ...クルッ「えっ!?」
「ヤッホー祐巳ちゃん。」
「何で聖様がここに?」
「いやー、ゴロンタについてきたら、祐巳ちゃん達が居たから何やってのかなって」
「聖様、これはカクカクシカジカで。」
「ああ、これね。」
「何か知ってるんですか?聖様。」
「私が詩織と別れた時に流したデマ。新聞部は知ってる筈だけど?」
ギクッ
「真実さん?」
「ごめんなさい、祐巳さん。知ってたけど、記事が無くてドッキリを...」
「私は無実よ。」
「ごめんなさ〜い。」


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