※このSSは、【No:263】及び【No:264】から懲りずに繋がっています。先にそちらを読む事をお薦めします。
・・・ってゆーか読まないと意味が解かりませんのであしからず。
尚、一部スポーツ選手の方々がこのSSを読まれる場合を想定して、最初に謝っときます。
このSSには、作者の都合の良いように、一部スポーツ選手の能力をエロい事に使う表現が含まれています。ホントにすいません。
「私はそんな事のためにこのスポーツをやってるんじゃない!!」といった苦情は一切受け付けられませんので、ご了承下さい。
マリア様のお膝元、リリアン女学園の薔薇の館では、今日も山百合会が仕事に明け暮れていた。
コンコン
ふいに、ビスケット扉を叩く者がいた。
「軍団長、少しよろしいですか?」
扉を開けて入ってきたのは、見覚えの無い生徒だった。恐らくは志摩子率いる第二次おっぱい十字軍の軍団員なのであろう。
「何か問題でも?」
団員に目を向けたのは、志摩子と志摩子に(てゆーか志摩子のおっぱいに)忠誠を誓う乃梨子だけだった。
様々な事情で十字軍の軍門に下ったとはいえ、白薔薇家以外の山百合会幹部は、基本的に十字軍の活動を黙認してはいるが、決して自ら参加する事は無いという立場を取っていた。その理由は様々である。ある者は妹のおっぱい以外は眼中に無かったり、またある者は自らのおっぱいにトラウマを植え付けられていたり。さらにある者は、妹の容赦無い凶器攻撃に怯えていたりした。
「ターゲットを横取りされました」
そう告げる団員に、志摩子の表情が消えた。
「・・・・・・どういう事?」
静かに詰問してくる志摩子に気おされながらも、団員は報告を続けた。
「一般生徒の目撃証言ですが、我々よりも先にターゲットに接触した者がいます、それも十字軍の扮装で」
「内部分裂?」
「いえ、それはありません。仮に我々の先手を取った者達をニセモノと呼ばせてもらいますが、ニセモノがターゲットに接触していた時、我々は全員が、そのターゲットを襲撃するべく集合していましたから」
志摩子が令を振り返る
「令さま?」
その横で由乃がポットを手に取ってたりした。
「ち、違う!だいたい私達「初代十字軍」は志摩子に身元を特定されたうえに、次に活動したら警察行きだって釘刺されてるじゃない!」
「・・・・・・そうでしたね」
由乃がポットを降ろし、志摩子が考え込むと、団員が何かまだ言いたそうにしている。
「他にも何か?」
「はい。これも一般の生徒の目撃証言ですが、ニセモノの奴等、ターゲットのおっぱいを堪能した後、そのターゲットのおっぱいを称えるシュプレヒコールを挙げたそうです」
志摩子は嫌な予感にとらわれながら、団員に続きをうながす。
「・・・それで?」
「それで・・・やたらと自分のおっぱいを褒め称えられたターゲットは、何か自分のおっぱいに変な自信を持ってしまったようで・・・」
「つまり、我々の目的と真逆の結果を引き出したと?」
「・・・はい」
志摩子はそれを聞き、ある予測を立てた。もしニセモノの噂が広まってしまえば、襲われた者は「見事なおっぱいの持ち主」と認識され、ある種羨望の的になりかねない。それは今後、第二次十字軍が襲ったターゲットにもその誤解を植え付けてしまうという事だった。これは、おっぱいに無理矢理頬擦りする事で、ターゲットにトラウマを植え付けるという事を目的とする第二次十字軍にとっては致命的であった。
「事を急ぐ必要があるわね・・・ 判りました。この後すぐに次のターゲットを急襲しましょう。ターゲットは・・・」
志摩子はある一年生の名を口にした。その子の父親もまた、自分の娘のおっぱいにトラウマを植え付け、男性恐怖症にしようと目論む第二次十字軍のスポンサーであった。
「何ですかあなた達!」
夕闇の迫るリリアンの銀杏並木に、ターゲットの悲鳴が響き渡った。
だが、第二次十字軍はそれにかまわず、機械的な動きでターゲットを包囲していった。
志摩子は覆面の布越しに、無感動にそれを見つめていた。
「待ちなさい!」
ターゲットを挟んで第二次十字軍の反対側に、新たな白覆面の集団が現れた。
新たな一団は、ターゲットを庇うように、ターゲットとされた生徒と第二次十字軍との間に割って入った。
第二次十字軍の団員は慌てたが、志摩子は落ち着き払ってこう言った。
「やはり来ましたね、令さま」
「!・・・やっぱり見抜かれてたのね」
そう。新たな一団の先頭には、令がいたのだ。
「確信はありませんでしたけどね・・・ 団員の報告を受けた時点で、この活動に直接係わっていたのは第二次十字軍と山百合会だけ。もし山百合会に裏切り者がいるとしたら、あの場でターゲットの名を口にすれば、邪魔しに現れると予想しました」
「まんまとおびき出されたって訳か・・・」
「令さま。警察行きにも怯まず、活動を再開した理由は何ですか?」
「私には私の理念があるのよ」
強く迷いの無い口調で言い切る令に、志摩子は溜息をつく。
「そうですか・・・交渉の余地は無さそうですね。でも令さま、この人数差をどうするつもりですか?」
志摩子の余裕は、単純な人数差だった。第二次十字軍は志摩子と乃梨子を含めて十人。
対する令達は五人だけであった。
「舐めないでよね。こう見えても少数精鋭よ?」
だが、令も余裕を見せる。
「それも“私達”の初代十字軍の中で生き残った、とびきりのね」
元々、十字軍は運動部中心の変態集団であった。その中でも選りすぐりのへんた・・・いや、アスリートと言う事なのだろう。
だが、志摩子もまた、慌てる素振りを見せない。
「・・・・・・別に、令さま達に勝つ必要はありません。令さま達の足止めさえできれば、後はターゲットを襲うだけですから。最初から引き分け狙いの人間を振り払うのは、結構大変ですよ?こちらも運動部から人選しましたから」
「・・・・・・逃がしてみせるわ」
志摩子の言葉に、令の顔に初めて動揺が浮かぶ。実際、体力まかせにしがみつかれるだけでも、十分に足止めとなるだろう。その場合、人数差はかなりの脅威だ。
「乃梨子」
志摩子の声に、乃梨子が令のほうへと一歩出る。その手には、体力不足を補うための警棒が握られていた。
令達は無言で構えを取るが、ターゲットを庇っているため、迂闊に動けなかった。
だがその時、令の後ろから声をかける者がいた。
「お待ちなさい!」
声の主は祥子だった。その後ろには、祐巳と由乃もいる。
「令、この子の事はまかせなさい」
三人は、ターゲットを第二次十字軍から庇うように立ち塞がる。
祥子の手にはバラ鞭が、由乃の手には、どこから手に入れたのか、釘バット(推定釘数五十本)が握られていた。
第二次十字軍がわずかに身を引く。ついでに令も、由乃から微妙に距離を取った。釘はシャレにならないから。
「祥子・・・助かるわ」
令が思わず感謝すると、祥子は強い笑みを浮かべながらこう言った。
「由乃ちゃんに感謝しなさい。薔薇の館で、あなたの嘘を見破ったのだから」
令はその事に感謝しようと、由乃の方に顔を向けたが、由乃が「てめぇ、やっぱりヤってやがったな?」と、冷え切った眼光で語りかけてきたので、思わず目をそらした。
「幸子さま、裏切るんですか?もう祐巳さんを拘束してくれる人がいなくなりますよ?」
志摩子は祥子に揺さぶりをかけてみるが、祥子は自信満々に言い返した。
「フッ・・・・・・元々あなた達の理念には賛成できなかったのよ。それに良く考えたら、祐巳のおっぱいはいつでも実力で堪能できるわ!」
お姉さま堂々のセクハラ宣言に、祐巳はもう帰ろうかと思ったが、体力的にも精神的にも祥子から逃れられないのは身に染みて判っていたので、そっと涙をこらえるにとどめた。
由乃が「大丈夫?祐巳さん」と心配してくれたが、「・・・あんまり」と、思わず本音の漏れる祐巳だった。
「由乃さん?あんまり反抗的だと、またおっぱいを蹂躙される事になるわよ?」
志摩子は由乃にも揺さぶりをかける。
「あの程度で私の心は折れたりしないわ!」
由乃は叫んだが、志摩子の「じゃあ、制圧後は優先的に再教育してあげるわね?」とのセリフに、少しだけ腰が引けていた。
「祐巳さん?」
志摩子は一応問いかけてみるが、祐巳は悲しそうに「いろんな意味でお姉さまには逆らえないから・・・」と呟き、ヘッピリ腰でターゲットの前に立ち塞がった。
「乃梨子ちゃん。こちらに戻ってくる気は無いの?」
今度は逆に、祥子が問いかける。
「私は常に志摩子さんの味方です」
乃梨子は警棒を握りなおしながら言うが、祥子の揺さぶりは強力だった。
「私達なら、乃梨子ちゃんに新たなステージを用意できるわよ?」
「新たなステージ?」
問い返す乃梨子に、祥子の唇はトドメの一撃を放つ。
「志摩子を無理矢理押さえつけて、泣きそうな顔の志摩子のおっぱいを、思う存分蹂躙できるわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
乃梨子は無言で回れ右をした。
「・・・・・・・・・・・・乃梨子あなた・・・」
さすがに志摩子も動揺する。彼女は見誤っていたのだ、自分の妹がどこまでおっぱいに取り憑かれた変態に成り下がっていたかを。
「姉の間違いを正すのも妹の役目。志摩子さん、アナタは私が止める!」
「・・・・・・・・・寝返ったうえに都合の良い理屈こね始めやがった」
由乃は思わず自分の持っている凶器を乃梨子の後頭部に叩き付けたい衝動にかられたが、今は一人でも味方が欲しい状況なので、かろうじて思いとどまった。
「仕方ないわね・・・行きなさい、十字軍達」
志摩子の号令で、十字軍がいっせいに動き出す。同時に祥子達と初代十字軍も動き出していた。
「祐巳!その子を安全な場所まで連れて行って!」
祥子の命令に、祐巳は内心、この変態同士の戦いに巻き込まれないで済みそうな事をマリア様に全力で感謝しながら、ターゲットを先導して逃げ出した。
これで九対八の戦いとなった。そして、祥子と由乃が各々の武器を手に、第二次十字軍の団員の動きをマンツーマンで止めている。これで第二次十字軍は残り七人で、令達初代の五人を相手にする事となる。
その時、初代十字軍の中から、一人が飛び出した。第二次十字軍からも一人、迎撃のために一人飛び出してくる。
「まずは卓球部の精鋭が相手よ」
令の言葉に、志摩子はいささか拍子抜けする。
「卓球が戦闘の役に立つんですか?」
志摩子の呆れた声に、令は不敵な声で応じる。
「卓球はスピードのスポーツよ」
令の言葉に呼応するかの如く、初代十字軍卓球部員は恐ろしいまでのスピードで、迎撃にでた第二次十字軍団員の懐へと飛び込んだ。
「卓球のサーブの初速はおよそ時速120km/h。卓球はわずか3mのコートの中で、それに反応してレシーブするのよ」
令の解説どおり、逃げる団員に、卓球部はピタリとついて行く素晴らしいフットワークを見せる。
「そしてサーブの瞬間、ボールとラケットの接触時間はわずか1000分の1秒。その瞬間にスイングの方向や角度を決めるべく、彼女の鍛え抜かれた手は超高速で自在に振りぬかれる」
十分に間合いを詰めた卓球部員の手が、消えたかの如き速さで降りぬかれた。
しゅばっ!! (ぷるん!) 「あんっ!」
団員の乳首をかすめながら。
さすがの団員も、超高速で責めてくる手に、成すすべも無くおっぱいを振るわせる。
しゅばっ!! (ぷるん!) 「あんっ!」
しゅばばっ!! (ぷるるん!) 「ああんっ!」
しゅばばばばばっ!! (ぷるるるるるんっ!) 「あああああんっ!!」
超高速の魔手に、最初の団員が果てた。
志摩子はその光景に青ざめる。彼女はやっと気付いたのだ、令達「初代十字軍」が、第二次十字軍を倒す気なのではなく、昇天させる気なのだと。
そして、初代十字軍から、次の刺客が飛び出した。
「彼女はフェンシング部」
令が調子に乗って、また解説をする。
「アンガルド(基本姿勢の事)・・・」
フェンシング部が呟きながら、団員の一人に狙いを定める。
「全身を使って、高速で飛び込んでくる彼女の“突き”をかわすのは至難の技よ?」
フェンシング部が令の言葉どおりに、高速で団員に襲い掛かる。
「クードラ!(突きの攻撃の後、基本姿勢に戻る事)」
ひゅん! (ぷにっ!) 「いやんっ!」
フェンシング部の指先が、団員の乳房を的確につつく。
ひゅひゅひゅんっ!! (ぷにぷにぷにっ!!) 「いやぁぁぁんっ!」
繰り返されるクードラの快感に、団員の足が振るえ出した。そしてフェンシング部はトドメの突きを繰り出す。
「フレーッシュ!!(捨て身攻撃の事)」
ひゅばっ! (ぼよよよ〜ん!) 「いやぁぁ・・・ああんっ!!」
こうして、フェンシング部により、二人目の団員が果てた。
「こんなお馬鹿な攻撃に沈むなんて・・・」
志摩子は呆然と呟いた。そして気付けば、祥子と由乃も団員を制圧していた。こちらは武器でド突きまわして。
「じゃあ、私は二人まとめてお相手しましょうか・・・」
そう言いながら、初代十字軍から三人目がユラリと歩み出る。
「舐めるな!!」
そう叫びながら、二人の団員が飛び出す。
「彼女は合気道部員」
令の解説は益々絶好調だった。
「打撃もいけるけど、組まれたら終わりよ?」
最初に飛び掛ってきた団員の手を片手取りで絡め取り、動きを封じたまま、次の団員に対しても余裕を持って構える。
「彼女、二人掛け(一人で二人を相手にする事)もこなす有段者だから」
何故か令が得意そうに言っている。
二人目がつかみ掛かるが、左手で最初の団員を封じたまま、右半身(体の右側を前にし、相手に対して正面ではなく斜めに構える事)の合気道部員に右手一本でいなされ、逆に隅落とし(投げ技の一種)を喰らい、二人まとめて倒されてしまった。
そして、投げと同時に間接を決めたのを良いことに、二人まとめて揉みまくる。
『やっ!いやぁぁぁぁぁぁん!ダメぇぇぇ!!』
動きを封じられて揉まれるという、ある種SMの緊縛プレイにも似た刺激に、二人同時に果ててしまった。
「誰か一人でも道連れに・・・・・・」
悲壮な覚悟で飛び出してくる団員も、あっという間に初代の精鋭に後ろを取られる。
そして始まる濃厚な揉み技。指の一本一本が独立した生き物のように動く手で、片手で一つづつ乳を揉みしだいている。
もにゅ!もにゅ!もにゅん! 「ダメ・・・やめて!・・・・・・んあっ!!」
わずか数秒で、彼女はナニかを搾り取られてしまった。
「・・・・・・彼女は何部です?」
思わず志摩子が令に問いかける。
「酪農研究会」
「・・・は?」
令の答えに、志摩子は間の抜けた声をあげてしまった。
「ホルスタインのおっぱいを揉み(?)まくるためだけに酪農研究会に入った彼女の指は、ヘタな搾乳機よりも良い仕事するわよ?」
この時、志摩子は初めて恐怖した。恐ろしい変態集団を敵に回してしまったという事実に。
「そして私も・・・だてにおっぱい十字軍じゃないのよ!」
令はそう叫ぶと、志摩子を除いた最後の団員に襲い掛かる。剣道仕込みの踏み込みで一気に相手の懐に飛び込むと、そのまま超高速の頬擦りを始めた。
スリスリスリスリスリ!! (ぷにょぷにょぷにょぷにょっ!!) 「ああっ!すっご〜い!!」
こうして、志摩子以外の第二次十字軍は全滅した。
「・・・・・・こんなアホな終わりかたって・・・・・・・・・・・・・・・・・」
志摩子はガックリと膝を付き、自らの敗北を思い知っていた。
「フッ・・・おっぱいのためなら、どんな奇跡だって起こしてみせる。それがおっぱい十字軍なのよ」
令は、何かが致命的に間違った決めゼリフを言いながら、ヤケにえらそうに志摩子を見下ろしていた。
「ところで令」
勝利(?)を噛み締めている令に、祥子が問いかけてくる。
「何で警察行きを覚悟してまで、おっぱい十字軍を再結成したの?」
この時令は、確実に調子に乗っていた。だから正直に答えてしまったのだ。
「誰かの命令でおっぱいを触るなんて邪道!真のおっぱい好きは、自分が触りたいおっぱいに、触りたい時に触りたいだけ触る!そのためなら、その後の人生かけても惜しくないわ!!」
そう、答えてしまったのだ。自分の真後ろに、釘バットを握り締めてたたずむ由乃がいるにもかかわらず。
「ふうん、そうなんだ?」
とても優しい微笑みで、由乃が近付いてくる。
「ちょ!・・・待って由乃待って!リリアンの生徒を護るためとか志摩子の暴走を食い止めるためとか、色々言い訳も考えて・・・・・・・いや!言い訳じゃなくて・・・あの・・・えっと・・・・・やっぱりおっぱいは好き!・・・・・・・・・じゃなくてその」
恐怖に支配された令は、本音と建前を同時に語り出してしまい、自らの人生にピリオドを打とうとしていた。
「とりあえず殴るね?」
ステキな笑顔の由乃に、令は懇願する。
「いやぁぁ!!釘は!釘はシャレにならないから!!」
「・・・じゃあ、柄のトコでメッタ打ちね♪」
まるで「今日はピクニックね♪」くらいの明るさで言いながら、由乃はバットを振りかぶった。
こうしておっぱい十字軍は、その活動にピリオドを打つ事になった。
ちなみにこの後、「志摩子さんを無理矢理押さえつけるのは何時ですか?」と、わくわくしながら聞いてきた乃梨子も、令以外の初代十字軍と共に、祥子のバラ鞭で令の後を追う事になった。