※今回は「マリア様がみてる リトル ホラーズ」のネタバレがあります。
もしも桂さんが勇者だったら
最初から【No:3054】
->セーブしたところから【No:3060】【No:3063】【No:3070】
【ここまでのあらすじ】
桂は勇者として、蔦子、真美、ちさととともにリリアンを救うため山百合会と戦う事になった。
レベルアップのためクラブハウスを攻略する事になった四人。漫画研究部部員Aとの戦闘になり、勝利するも真美が戦闘不能に陥った。桂、ちさとが真美を連れてお聖堂に向かっている間に蔦子が謎の別行動。果たして……?
《現在の状況》(レベルアップしました)
名前:○○桂
レベル:4/クラス:シーフ
HP:31/MP:21/筋力:4/器用:5/敏捷:4/精神:3/知力:3
スキル:ディテクト(SL1)情報収集成功率UP/アヴォイドダンス(SL1)回避率UP/ポイズン(SL1)毒を与える
NEW!シックスセンス(消費MP0、SL1)エリア探知可能。達成値+SL
名前:武嶋蔦子
レベル:4/クラス:メイジ
HP:18/MP:34/筋力:1/器用:1/敏捷:2/精神:7/知力:8
スキル:ウィンドスラッシュ(SL1)風属性攻撃魔法/ブラスト(SL1)魔法を範囲攻撃に変える/マジックサークル(SL1)魔法効果を増大
NEW!ファイアウェポン(消費MP6、SL1)武器攻撃を火属性にし、攻撃力を+SLする
装備:使い捨てカメラ(光属性魔法+1)
名前:山口真美
レベル:4/クラス:プリースト
HP:26/MP:26/筋力:2/器用:3/敏捷:2/精神:7/知力:5
スキル:ヒール(SL1)HP回復/プロテクト(SL2)ダメージを減らす
NEW!キュア(消費MP2、SL1)単体の対象の状態異常(毒、混乱、魅了、麻痺)を解除できる。SLは1より上昇させられない
名前:田沼ちさと
レベル:4/クラス:スレイヤー
HP:39/MP:13/筋力:8/器用:5/敏捷:3/精神:2/知力:1
スキル:コンバットマスター(SL1)命中率UP
LEVELUP!スマッシュ(消費MP4、SL3)白兵攻撃スキル
装備:50cm定規(攻撃力+2)
所持金:0G
アイテム:焼きそばパン(HP30回復)×4、コーヒー牛乳(MP30回復)×4、黄色の鍵、白薔薇のシール(5枚)
週が明けて、勇者としての活動日がやってきた。
「さて、今日は装備品でも揃えましょうか」
ミルクホールに四人で集まるとまずちさとがそう言った。
「装備品? ああ、その定規とか?」
桂が聞いた。
「ええ。前回売れば1000G相当のアイテムをゲットしていたから確か所持金が1100Gあるじゃない。これだけあったらちょっとした装備品が買えるわ」
「蔦子さんは攻撃に魔法が使えるけど、私たちが攻撃するときは武器を使うのよ。今までは素手だったけど、これでちょっとはマシになるかも」
並薔薇ポイントを使わないと攻撃をあてられない真美が言う。
「さて、アイテムを……って、桂さん、響レイネの夏コミグッズ(売れば1000G)が見当たらないんだけど?」
ちさとの言葉に冒頭の《現在の状況》をもう一度見てみる。
「あれ? Gが0になってる!」
桂は焦る。
「何が前回と……あっ! 蔦子さん、なんで使い捨てカメラなんて装備してるわけ!?」
真美が気づいた。
「しかも、光属性魔法なんて持ってないじゃない」
ちさとが詰め寄る。
「みんな、考えてよ。カメラと言えば武嶋蔦子、武嶋蔦子と言えばカメラなのに、今までカメラを持っていない異常事態だったのよ。それが今回解消されたのよ」
蔦子は平然と答える。
「ぜんっぜん意味わかんないんですけど!! 前回お聖堂に来ないでこんな事してたわけ!? みんなで手に入れたドロップ品だったのに!」
「ちょっと、レベル4なのにいまだに武器なしの方が異常事態だと思わない!?」
ちさとと真美が蔦子を責める。
「でも、ドロップ品を放っておいたのは桂さんよ。文句があるなら桂さんに言ってよ」
「な、何、責任転嫁してるわけっ!? 仲間を助けるのは常識でしょう? 自分勝手な行動を棚に上げて何を言い出すのよっ!?」
桂も蔦子さんを攻撃した。
「光属性魔法はレベル6じゃないと習得出来ないのよ。その代わり『ファイアウェポン』(火属性攻撃上昇魔法)とったから」
「よくないわよ! 敵が水属性だったらいいけど、火属性や風属性だったらどうするわけ?」
真美が責める。
「ちょ、ちょっと待った。属性って何?」
「ああっ、桂さんもこんな時に説明を求めないでっ!」
「何をもめているの?」
声がして振り向くと、演劇部の高城典さんがそこにいた。
「典さん」
「よかった。聞いてちょうだい」
ちさとは蔦子が独断で役に立たないカメラを買って装備している事を訴えた。
「あなた達、そんな事やってる場合?」
冷ややかに典さんは言った。
「まったく。しっかりしてよ。桂さんはともかく、あなた達、全員レベル1からやり直して普通の後輩に苦戦してたと思ったら今度は仲間割れ? そんなことじゃあ卒業したって山百合会を倒せないわよ」
「やり直し?」
桂は聞いた。
「ええ。蔦子さん、真美さん、ちさとさんは私たちの学年では『三大シーフ』と呼ばれるほどの凄腕のシーフで、たしか、レベル40前後はあったはず」
典さんが三人を見回して言う。
「ちょ、ちょっと! 何なの? それ?」
三人は一斉に視線をそらした。
そういえば三人とも妙にシーフのスキルに詳しかった。
「だから、勇者の桂さんがシーフだから、この三人に任せておけば大丈夫だと思ったのに……これじゃあ、私の瞳子ちゃんはいつ、救われるのよっ!」
典さんは瞳子ちゃんのファンらしい。
「あなたたちがそうやってもめている間に山百合会は動き出したのよ」
典さんの言葉に桂はドキリとした。
「勇者パーティーがこんなにモタモタしてたら、私の瞳子ちゃんが完全に取りこまれてしまうじゃない!」
典さんは瞳子ちゃんの熱狂的な信奉者らしい。
「取り込まれるって……じゃあ、今なら間に合うの?」
桂は聞いた。
「間に合うも、間に合わないも。レベル差がありすぎて太刀打ちできないでしょう? あなた達には」
たしかに、レベル97とレベル4では桂が考えてもかなり違うと思う。
「三人とも桂さんをパワーレべリングするぐらいはやってほしかったわ」
「パワーレベリング?」
桂は首をかしげる。
「強い仲間が弱い仲間を連れて強い敵を倒すの。そうすることで経験値とドロップ品を大量に手に入れて通常より早く成長させる事よ。レベル40時代ならともかく、今の三人じゃ……いや、待って。すればいいのよ。パワーレベリング!」
典さんは何か思いついたように言う。
「私がパーティーに加わって、経験値の高い強敵と当たるのよ。そして、ある程度レベルを上げたら今度は私を倒せばいい」
「ええっ!? いいの、典さん?」
桂は恐る恐る聞いた。
「そうすることで瞳子ちゃん救出が可能なら、私は何でもするわ」
典さんは松平病らしい。
「で、強敵って?」
「細川可南子さんよ。紅薔薇さまの元妹候補で現在はバスケ部部員。でも、素質は高くて現在レベル50はあるわ」
「無理!」
桂は思わず叫んだ。
「そうね……じゃあ、もう一人助っ人を入れる?」
「助っ人?」
五人はクラブハウスに向かった。
「入るときにはトラップ探知……あそこに地雷が!」
桂はトラップ探知に成功した。
【地雷】
このトラップは対象と接触すると発動する。
回避に失敗すると対象はダメージを受ける。
1回発動するとその後は発動しない。
「桂さん、地雷を発見したのはいいけれど、『リムーブドトラップ』(トラップ解除スキル)ないんじゃない?」
ちさとが呟く。
「は?」
「トラップを発見する事は出来ても、それを解除する事は出来ないって事よ」
真美がささやく。
「あの、えーと」
「つまり、この場合誰かがトラップをわざと発動させて、素早く回避する以外にないって事」
蔦子が言う。
「ええっ!」
「そして、今一番敏捷値が高いのは……」
三人が一斉に桂を見た。
「私っ!?」
そおれっと三人は桂を押し出した。
「あ、待って……」
「ひいいっ!」
典さんが何か言いかけたが、桂は地雷にまっしぐらに向かって行った。そして、結果は。
「あ、ファンブル(自動失敗)だ」
「なんですってえええっ!!」
桂のHP:31→28
「まあ、3Pで済んでよかったじゃない」
「よくないわよっ!」
「そうよ。私、ガンマンのスキル持ってるから、トラップが発見されている場合なら射撃攻撃で地雷の破壊が出来たのに」
典さんが言った。三人が固まった。
「典さんって、ガンマンだったの?」
桂は聞いた。
「ええ。ガンマンからクラスチェンジして、今はサモナーでレベル39」
「サモナー?」
「いろいろと召喚して戦うクラス。そういうクラスもあるのよ」
真美が補足する。
「クラスっていったいどれぐらいあるの?」
「隠しクラスとかもあるから、正確にはわからないわ」
全員が首を振った。
「じゃあ、行きましょうか」
その後、トラップ探知をしながら進んだが、今日はそれ以外のトラップにはぶつからなかった。
「着いたわ」
典さんが演劇部の部室の前で立ち止まる。
「助っ人って演劇部の人?」
「演劇部じゃないわ。お隣さんよ」
と言いながら典さんは隣の部室をノックした。
そこは漫画研究部──
「どなた? ああ、典さん」
登場したのは水奏さんだった。
「水奏さん。実はお願いがあってきたのよ」
典さんはこれまでの経緯を水奏さんに語った。
「前回うちの部員との戦いを見て、私もなんとかした方がいいなって思ってたのよ。いいわ。私も手伝う」
水奏さんはあっさり了承した。
「買い物はいいの? ふーん。じゃあ、このまま体育館に直行しましょうか」
六人で体育館に向かう。
体育館ではバスケ部が練習試合をしていた。
「さて、どうやって倒しましょうか」
蔦子が使い捨てカメラのシャッターを押しながら聞く。
「勇者の特権で無理やり呼び出す?」
「不意打ちをかける?」
「どなたにですか?」
「どなたにって……」
聞き覚えのない声に振り向くと、バスケ部の部員が二人立っていた。
一人は目的の人物、細川可南子さんだった。
「ごきげんよう、勇者さま」
と、可南子ちゃんとのバトルになるのだが、それは次回。
ここで敵となった山百合会メンバーに触れておかないわけにはいかない。
時間を巻き戻して、まずは桂が勇者として山村先生に見いだされ、学園長から勇者のしるしを受け取ったあの翌日の事。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
桂は普通に登校して、普通に三年藤組のクラスメイトと挨拶を交わした。
いつものように机に一回カバンを置いて、後ろのロッカーに部活で使う道具などを入れて、席に戻ってカバンの中から教科書を出したりしていた。
「ごきげんよう」
隣の席から挨拶される。
藤堂志摩子さんだった。
「ごきげんよう」
「桂さん、勇者になったんですって?」
桂は前のめりにこけそうなのを堪えた。
志摩子さんは「桂さんが今日はパン当番なんですって?」とか「桂さん、休んだ間にクラス委員になったんですって?」と言うように普通に聞いてきたのだ。
「し、志摩子さん!?」
桂は前日に薔薇の館に乗り込んで志摩子さんの妹の二条乃梨子ちゃんと勇者について話をして、スキルとやらも見せてもらった。だから、志摩子さんが知っていたとしても不思議ではないのだが、まさか真面目な志摩子さんまでが参加しているとは思わなかった。
「何かしら?」
「まさか、本気?」
「あら、桂さんが勇者のしるしを学園長から受け取ったのはみんな知っていることよ」
前日、保健室で桂は栄子先生から衝撃の事実を聞かされた。
敵は山百合会メンバー。
目の前にいる、この西洋人形のようなふわりとした巻き髪、色白でキメの細かい肌、整った顔立ち。普段はふわりとしているけれど芯はしっかりしている生徒会長。清楚で可憐な微笑みが加わると同性でも魅了されてしまう、リリアン女学園の誇るアイドル白薔薇さまこと志摩子さんも勇者桂の敵なのだ。
しかも向こうのレベルは97もある。
この時、桂はやっと3になったばかり。
まずい、非常にまずい。瞬殺される。
「あ、安心して。私たちは勇者の活動期間以外に活動しないし、授業中はもちろん、授業の間や昼休みは襲撃しないから」
「そ、それはどうも……」
本来ならば別の事を言った方がいいのだろうが、つい桂はそう返してしまった。
「でも、桂さんが昼休みや休日も活動したいというのであれば、こちらも襲撃するよう前向きに善処するわ」
「そんなの、善処じゃないっ」
あらあら、と志摩子さんは呟くように言った。
「でも、志摩子さん、いいの? 私と志摩子さんは敵同士なんだよ」
こそっと、桂は志摩子さんにささやいた。
「いいも悪いも。例えば体育の時間にバレーボールで対戦して、チーム分けで敵になったり味方になったりするでしょう? それと一緒よ。勇者とその敵になったとしても、私たちの関係は変わらないわ」
そんなことを言って微笑む志摩子さんに、桂はどうしていいかわからなかったが、志摩子さんは言葉の通り、二人はそれから毎日仲良く隣の席同士で授業を受けたりした。
しかし、勇者の話はそれ以来二人の間で話題には上らなかった。
更に、漫画研究部部員Aと対戦した翌日の放課後。
「ごきげんよう」
桂はテニス部の仲間に用があって三年菊組を訪れた。
用が済んでふと見ると、入口の側に数人のグループがいた。
その数人はちさとを始めとした剣道部の部員で、黄薔薇さまこと島津由乃さんの姿もあった。
「よ、由乃さん!?」
「あら、桂さん。私にご用?」
由乃さんは桂に聞き返す。
「ううん。特に」
「あ、そう」
と、由乃さんはちさとたちと再び会話を始めた。
ちさとと由乃さんはじゃれあうように言い争ったかと思ったら、急に静かになって真面目に話しあったりしている。
ふと、ちさとが顔を上げる。
「あれ、桂さんもしかして私に用だった?」
ちさとがなかなか立ち去らない桂に気づいてそう言った。
「え、あ、いや……」
桂はしどろもどろになる。
「……ねえ、もしかして私たちが一緒にいるのがそんなにおかしい?」
由乃さんがずばりと踏み込むように聞いた。桂は答えられなかった。
「あのね、今、私たちは剣道部の田沼部長と島津副部長として夏の合宿についての話し合いをしてるわけ。勇者とかなんとかは全然違う次元の話なんだから、そんなに驚かないでちょうだい」
ぴしゃりと由乃さんは言うとそれきり桂には目もくれずにちさとと話し合いを再開した。
桂は教室を離れた。
教職員が全面的にバックアップしている勇者、なのに、その敵は教職員に簡単に見逃され、普通に生活している。そして、普通に桂の周りで桂の友人として過ごしている。
なにか違和感を覚える。
悶々とした桂が廊下を歩いていると向こうから紅薔薇さまこと福沢祐巳さんが歩いてきた。
「あれ? 桂さん。何かあったの?」
桂の暗い表情を見て心配そうに聞いてくる。
「……祐巳さんは私の敵なの?」
ぽつりと桂が言う。
「敵って……お互いに立場があって、その立場で活動していたらたまたま反対勢力になっちゃうって事だってあるじゃない? それを『敵』って呼ぶんだったら敵になるのかも」
ちょっと考えながら祐巳さんは言う。
「みんな割り切ってるのね。志摩子さんも似たような事言ってたし、由乃さんも全然次元が違うって言ってたし」
桂はため息をついた。
「ねえ、祐巳さんはどうして勇者の敵なの? 勇者の敵ってリリアンをどうにかこうにかしちゃうの? それってやめられないの?」
桂は次々と祐巳さんに質問をぶつけた。
「うーん、順番に答えると、私たちは勇者の敵になる。勇者の敵はリリアンの敵だけど、山百合会メンバーは通常は普通の生徒会として生徒のために活動してる。最後の質問はノーコメントで」
祐巳さんは桂の矢継ぎ早の質問に答えた。
「ええっ、最後のはなんとかしてよ。祐巳さんたちが省みてリリアンの敵をやめたら全て解決するんじゃないの?」
桂は唇を尖らせた。
「桂さん、そうやって簡単にやめられたら勇者はいらないのよ」
祐巳さんはフッと笑った。いつもの祐巳さんのやわらかくてあたたかいエンジェルスマイルじゃなくって、ちょっと影のある言外に意を含んだ笑いだった。
「でも、桂さんに何かしてあげた方がいいみたいね」
「い、いやっ! 何もしなくていい!」
ろくな事がない、レベルアップでとった『シックスセンス』(探知能力スキル)の賜物か、桂の第六感は全力でそう叫んでいた。
「わかった。じゃあ、ね」
祐巳さんは意味あり気に笑うと去っていった。
桂たちが可南子ちゃんと対峙していた頃の薔薇の館。
紅薔薇さま、黄薔薇さま、白薔薇さまはつぼみたちの入れた紅茶を口にしていた。
「さて、今日は勇者さまの活動日。誰を刺客に送る?」
紅薔薇さまが切り出した。
「まだレベル4にしかなってないのでしょう? 今の手ゴマでは簡単に倒せてしまうわ」
白薔薇さまがそう言った。
「難しいわよね。レベル30ぐらいになってくれたらガンガン襲撃出来るのにさ。思えば周りにレベルの低い人ってのも少なくなったよね」
黄薔薇さまがリストを見て言う。
「仕方ないな。レベルの低い新入生でも取り込む?」
紅薔薇さまがリストを叩く。
「お言葉ですが、私も新入生ですけど」
そっと黄薔薇のつぼみが手を上げた。
「菜々ちゃんはレベル60あるじゃない。もう、別格よ」
白薔薇さまが黄薔薇のつぼみに微笑みかける。
「それはお姉さま方がパワーレベリングをしてくださったおかげです」
「乃梨子ちゃんみたいに入学当初にレベル50なんて反則な子もいるからねえ」
黄薔薇さまが白薔薇のつぼみをちらりと見て言う。
「反則って……それを言うなら瞳子では?」
「そういえば、紅薔薇のつぼみは?」
階段をギシギシいわせて紅薔薇のつぼみが来た。
「勇者パーティーが典さま、水奏さまとともにバスケ部を襲撃しました」
紅薔薇のつぼみが報告する。
「なるほど。向こうもパワーレベリングする気ね」
「ねえ、こういうのはどう?」
黄薔薇さまが紅薔薇さまと白薔薇さまに耳打ちをする。
「なるほど」
「それはいいわね」
薔薇さまたちはつぼみに向きなおって命じた。
「写真部の笙子ちゃん、新聞部の日出実ちゃん、あと、テニス部で桂さんの妹の瑞絵ちゃんと戦ってきなさい」
つぼみたちは頷いた。
->とりあえずセーブして【No:3081】へ
ここでやめる