【3118】 禁断の黄色死ぬまで攻める  (bqex 2010-01-12 00:21:10)


もしも桂さんが勇者だったら

 最初から【No:3054】
->セーブしたところから【No:3060】【No:3063】【No:3070】【No:3073】【No:3081】【No:3085】【No:3098】【No:3104】【No:3114】【No:3116】

【これまでのあらすじ】
 桂は勇者として、蔦子、真美、ちさととともにリリアンを救うため山百合会と戦う事になった。
 レベル40に達した桂たちはいよいよつぼみ(ブゥトン)と対決できるようになった。

->黄薔薇編【これ】
 白薔薇編【No:3119】
 紅薔薇編【No:3120】

「やっぱ、対戦するなら黄薔薇のつぼみからでしょう。相手は一年生だし」

「菜々ちゃんって、剣道強いの?」

 桂は聞いた。

「剣道の腕前とこっちのスキルは関係ないわよ。関係あったら一生倒せないかも」

 ちさとが笑って答える。

「集団でいるとたぶんまだ倒せないような気がするから、この際上級生のプライドはかなぐり捨てて、一人でいるところを『不意打ち』そして、一気に倒す!」

 作戦がまとまった。
 四人は万全の状態であることを確認すると移動し、隠れた。

「菜々ちゃんは確か今日は向こうの掃除担当だから、この辺で隠れていれば……」

「あっ、きたよ」

 四人の間に緊張が流れる。
 目の前を一人の下級生が通っていく。
 目的の人物、有馬菜々ちゃんだった。
 四人は一斉に『不意打ち』を開始した!

「『並薔薇ポイント』を使って攻撃!」

「『スマッシュ』!」

「『ブライトアロー』+『マジックサークル』!」

「『伊舎那』!」

 四人の『不意打ち』に対し、菜々ちゃんは。

「『体育館のトイレ前』。これは『不意打ち』への回避にプラスの修正を得られるスキルです」

 と解説しながら回避を成功させた。

「それから……おや、もう気付かれたようです」

 四人が体勢を立て直す間もなく、地面に×印が現れて『薔薇のシャープ』を持って登場した人物がいた。
 黄薔薇さまこと島津由乃さんだった。

「ごきげんよう。勇者さま」

 不敵な笑みを浮かべて由乃さんは菜々ちゃんの隣に立って桂たちと対峙した。

「アラ? 挨拶もしてくれないの?」

「ご、ごきげんよう」

 結構、というように軽く由乃さんは手を上げる。

「桂さん、前回瑞絵ちゃんの虎耳虎シッポ取ったでしょう?」

 口元に笑みを含んで由乃さんは言った。

「前回? 由乃愛の話?」

「それは他の人のSSじゃあっ!! 普通、前回と言えば【No:3116】に決まってるでしょうっ!!」

 由乃さんは力いっぱい突っ込んだ。

「力いっぱいボケちゃってからに。もう、容赦しないわ!」

 BGMがボスっぽいものに変わった。

「戦闘前の特殊スキル『黄薔薇真剣勝負』発動! このバトルは『相手の全滅』以外は敗北という扱いになるけど、私たちは攻撃力+10にあがるわね」

 由乃さんがスキルを発動した。


「『エネミー識別』!」

 蔦子がエネミー識別をした結果が以下のものである。




ロサ・フェティダIII
レベル:97
クラス:黄薔薇さま
HP318MP266筋力:59器用:59敏捷:50精神:35知力:1黄薔薇:45
特殊能力:
『黄薔薇さま』黄薔薇スキルと薔薇さま専用スキルを全てSL10で使用できる。
『薔薇の館の住人』リリアンエディション、花寺エディションのスキルを習得した時のペナルティを受けない。
スキル(数字はスキルレベル):(スレイヤー)スマッシュ8/コンバットマスター8/バーサーカー1/ストライクフォース8/リアルバウト7/ウォーロード8/クールファイト1/トライブレード1/ご贈答用ハム4
(モンク)地蔵8/文殊8/清廉1
(ガンマン)ファーストブレイク1
(サモナー)サモンピグマリオン8/スラッシュ8/マスカレイド1/サモンマスター8/ガーディアン1/ギャンビット1/バーストブレイク1/二人は由令1/今すぐお茶を1/みんなで送辞1
(姉妹)可愛い菜々が側にいる1/袴競争1
アイテム:
銘刀・梅鶯毒:攻撃力+80
 補足:竹刀に『梅鶯毒』って書いてあるだけで、毒を与える効果はない(笑)

ロサ・フェティダ・アン・ブゥトンIII
レベル:69
クラス:黄薔薇のつぼみ
HP:286MP:186筋力:40器用:40敏捷:41精神:25知力:1黄薔薇:30
特殊能力:
『黄薔薇のつぼみ』黄薔薇スキルを全てSL10で使用できる。
『薔薇の館の住人』
スキル:(スレイヤー)スマッシュ8/コンバットマスター8/バーサーカー1/ストライクフォース8/ディフェンサー8/グランディア1/カバーリング1/ご贈答用ハム4
(モンク)地蔵8/文殊8/清廉1
(ガンマン)ファーストブレイク1
(アルケミスト)改造手術3/ツインウェポン3/ラピス4
(姉妹)妹は支え1/袴競争1
アイテム:
銘刀・河豚毒:攻撃力+80
 補足:やっぱり竹刀に『河豚毒』って書いてあるだけで毒を与える効果はない(笑)
田中の鎧:防御力+80
 補足:黄薔薇なのに防具? っていうな。
黄薔薇のロザリオ:攻撃力+50
 補足:緑の石のついた、一回由乃が叩き返した、卒業式でいっちょあがりでかけられた、あれだ。




「うわっ! さすがに強いわ」

「黄薔薇スキルに薔薇さま専用スキルまで使いこなすか」

「当たり前でしょう?」

 由乃さんは何をいまさらというように言い返す。

「『サモン・ピグマリオン』!」

 由乃さんのスキルで令さまそっくりの従者が現れた。
 ちさとはよろめいた。

「どうしたの?」

「い、いやあ、久し振りに『立体』を見たもので。やばい、鼻血が……」

 ちさとは『支倉病』だった。

「写真で我慢してたのね」

「個人的に作った『令さま写真集』もおかげで三冊になりました」

 高城典さんの『松平病』が笑えない人がここにいた。
 じっとりとした目で桂はちさとを見てしまった。

「黄薔薇スキル『なんちゃって侍』をちさとさまの武器に発動!」

 菜々ちゃんがスキルを発動する。

「え? 武器の場合ってどうやって抵抗すればいいの?」

「器用値で対決することになります」

「あー、駄目だー」

 対決に勝利したため、菜々はちさとの武器『銘刀・桜塚伝説』の『塚伝説』の部分をマジックで消して、『黄』を書き足した。

「ちょ、ちょっと! 『黄桜』に失礼でしょう!?」

「『銘刀・黄桜』は名酒・黄桜を飲んでいる時は特殊効果で攻撃力が+90となりますが、シラフだと攻撃力が+1になります。でも、リリアンの学生が、剣道部を背負い立つ人間が、まさか、そんな法律違反の不祥事なんかしませんよね」

「あ、当たり前でしょう? ……ちっ」

 ちさとの武器は大幅にパワーダウンした。

「こっちのターンね。『シャドウ』+『サプライズ』で隠密攻撃!」

 桂は隠密状態になって由乃を攻撃する。

「あ、失敗した。菜々、お願い」

「『カバーリング』!」

 菜々ちゃんがかばってダメージなしとなる。

「『スマッシュ』+『バーサーカー』!」

 ちさとが全体攻撃を繰り出す。

「あらら、また失敗」

「お姉さま、またですか?」

 菜々ちゃんはクリティカルで回避し、再び由乃さんを『カバーリング』する。
 ちなみに従者令さまもクリティカルで回避していた。
 菜々ちゃんは防具の防御力でダメージを食い止める。

「『ファイアウェポン』+『マジックサークル』+『ブラスト』!」

 なんと蔦子の武器強化スキル発動判定がファンブル(自動失敗)となる。

「あ、あれ!? 『リバース』でやり直し!」

 貴重な判定やり直しスキルを使って発動判定をやり直す。ところが。

「またファンブルっ!? も、もう一回『リバース』」

 ようやく発動判定に成功し、50Pを上乗せする。

「由乃さんに『伊舎那』!」

 真美がクリティカルを出す。

「仕方がない。強さの証『黄薔薇ポイント』1P使用。クリティカルで回避」

 あっさり避けられる。

「次は令ちゃんの番ね。スキルは共有だから『黄薔薇注意報』で全体攻撃」

 強い全体攻撃が宣言される。
 クリティカルになった。
 全体攻撃では『隠密状態』でもダメージを食らってしまうので、桂も回避しなくてはならない。

「クリティカルなんて『並薔薇』使っても出ないよ! 誰か成功した?」

「はい!」

 真美だけが回避に成功する。

「62Pしかいかない? 仕方ないから『黄薔薇パニック』乗せて追加ダメージ……追加が51P? 絶不調だわ」

 「私の巣の動揺が」と由乃さんはつぶやく。何の事だかわからない。

「でも、1Pでもダメージが通れば『混乱』を与えられますよ」

 菜々ちゃんが慰めるように言う。
 混乱と聞いて勇者パーティーに緊張が走った。

「ど、どうする?」

「混乱はスキルで消すとして、ダメージは……いや、混乱はやっぱりやばい。桂さん!」

「『お蔵入りパン事件』! 『黄薔薇パニック』はなかったことに!」

 桂はスキルを打ち消すスキルで混乱状態になるのを回避する。
 そして、真美のダメージ軽減スキル『プロテクト』で蔦子へのダメージを止める。
 桂は残りHP48、ちさとはHP164になる。
 続けて由乃さんが攻撃する。

「では『ウォーロード』で攻撃力をあげて、でも『クールファイト』で防御力は落とさない。で、『黄薔薇注意報』。ターンの最初になるから『先手必勝』で倍。成功したら『二人は由令』で更に倍になるわね。その上命中に『黄薔薇ポイント』5P使用!」

「うわあ!! なんという鬼島津!」

「蔦子さん!」

「『リベンジ』で桂さんの『お蔵入りパン事件』を復活させる!」

 それを受け桂が宣言する。

「『お蔵入りパン事件』で『黄薔薇注意報』をなかったことに!」

 それを受け更に菜々ちゃんが宣言する。

「『黄薔薇☆絵日記』で『お蔵入りパン事件』をなかったことに!」

「な、なんですって!?」

「『黄薔薇☆絵日記』は直接ダメージを与えないスキルを取り消す事が出来るのです」

 どうだ、というように菜々ちゃんは胸を張る。
 由乃さんの攻撃がクリティカルに決まった。

「全員『並薔薇』で回避を!」

 桂、蔦子、ちさとが残りの並薔薇ポイントを全部使い、真美が半分残して何とか回避を成功させる。

「『黄薔薇注意報』!」

 菜々ちゃんがまた全体攻撃で桂たちに襲いかかる。

「まだ使ってくるのっ!?」

「まだって、私は今日初めてですよ?」

 そうこう言っている間に菜々ちゃんの攻撃がクリティカルに決まる。

「もう、『並薔薇ポイント』なんてないよ〜」

 全員回避できない。

「命中したら『黄薔薇パニック』!」

 容赦ない追い打ちスキルが使われる。
 197Pのダメージが襲いかかる。

「残りの『並薔薇ポイント』全部使用! 『守りの指輪』の効果で勇者パーティー全員に『プロテクト』!!」

 真美が残りのリソースをすべてつぎ込む。
 90Pまでダメージを軽減する。
 ちさとが動いた。

「真美さんを『カバーリング』!」

「ええっ!? それじゃあ真美さんしか生き残らないよ?」

「ここで真美さんが『混乱』になったら、状態異常回復アイテム買い忘れたから全員『混乱』のままぼこぼこにされるだけだもの」

「ああああ! 本当だ!!」

「もっと早く気付くんだった!」

 全然万全じゃなかった勇者パーティー。
 桂、蔦子、ちさとは戦闘不能になった。

「アラ、さみしくなったこと」

 由乃さんが笑う。

「『レイズ』でちさとさんを復活! 『号外』でちさとさんに再行動してもらう!」

 と、真美がスキルを使おうとすると由乃さんが止めた。

「待った! まだ令ちゃんが残ってる!」

 ちさとが復活し、従者令さまの番となる。

「令ちゃんは『スマッシュ』でちさとさんを攻撃!」

 かわせなかった。

「令さま……がくっ」

 ちさと、戦闘不能となる。

「改めて『号外』で再行動! 蔦子さんを『レイズ』で復活させる!」

 蔦子が復活する。
 何故かこれがクリティカルに決まり、蔦子はHPが30Pでの復活となった。

「復活して喜んでる場合じゃないわよ。今度は『黄薔薇革命』で二人に5連続攻撃!」

「ひっ!!」

 由乃さんは竹刀を構えた。

「ひとォつ!!」

 真美はかわせなかった。
 由乃さんが竹刀を振るとトランプのクラブのキングの幻影が浮かんだ。
 真美は42Pのダメージ!

「ふたァつ!!」

 真美はかわせなかった。
 由乃さんが竹刀を振るとトランプのダイヤのキングの幻影が浮かんだ。
 真美は68Pのダメージ!

「みィっつ!!」

 真美はかわせなかった。
 由乃さんが竹刀を振るとトランプのハートのキングの幻影が浮かんだ。

「『プロテクト』!」

 真美はダメージ軽減スキルで対抗する。
 30Pのダメージ!

「よォっつ!!」

 クリティカル!
 真美はかわせなかった。
 由乃さんが竹刀を振るとトランプのスペードのキングの幻影が浮かんだ。
 真美は98Pのダメージ!
 真美は戦闘不能になった。

「いつゥつ!!」

 蔦子はかわせなかった。
 由乃さんが竹刀を振るとトランプのジョーカーの幻影が浮かんだ。
 トランプを合わせると大貧民の『革命』という役になった。
 60Pのダメージ!
 蔦子のHPは0になった!

「『推理小説同好会』発動! 『四つ葉のクローバー』で『ハートの鍵穴』使用! 60Pのダメージに『マジックサークル』+『ブラスト』!!」

 一矢報いるために蔦子は反撃スキルを使った。

「『ギャンビット』!!」

 従者令さまが由乃さんを守るように間に入ってダメージを受けて、そのまま消滅した。
 菜々ちゃんはダメージを食らったが、戦闘は黄薔薇姉妹の勝利となった。

「こ、こういう時こそ『降誕祭の──』」

「おっと、強制セーブ!」

 由乃さんが強制セーブしたおかげで、桂たちはやり直す事が出来なくなった。
 向こうからやってくる人が見えた。

「……祐巳さん」

 祐巳さんと瞳子ちゃんの紅薔薇姉妹だった。

「由乃さん。ご苦労さま。あとは私が」

「そう。じゃあ、頼んだわ」

 由乃さんと菜々ちゃんは立ち去る。

「さて、桂さんたちは山百合会の幹部に負けたので『ペナルティ』だね。まあ、『前』の『忘れる』っていう『ペナルティ』でどうして私たちに勝てなかったのかまで忘れちゃったみたいだけど──」

 前?
 忘れる?
 一体何を言っているんだ、祐巳さんは。

「今回は、う〜ん。そうだ。二度と逆らえないくらいの『ペナルティ』にしようか」

 何かとてもヤバそうなことを言っている。
 なんとかしないとマズイことになる。
 わかってはいるが、桂たちはもう何も出来ないのだ。
 祐巳さんがスキルか何かを使っている気配がする。
 その時だった。

「アイテム『紅いカード』発動!!」

 瞳子ちゃんだった。
 目の前が真っ赤になって。
 そして、何もかもわからなくなった。

->何が起こったんだあっ!!【No:3124】
 いや、もう、興味ないし


一つ戻る   一つ進む