もしも桂さんが勇者だったら
最初から【No:3054】
->セーブしたところから【No:3060】【No:3063】【No:3070】【No:3073】【No:3081】【No:3085】【No:3098】【No:3104】【No:3114】【No:3116】
【これまでのあらすじ】
桂は勇者として、蔦子、真美、ちさととともにリリアンを救うため山百合会と戦う事になった。
レベル40に達した桂たちはいよいよつぼみ(ブゥトン)と対決できるようになった。
黄薔薇編【No:3118】
白薔薇編【No:3119】
->紅薔薇編【これ】
「やっぱ、対戦するなら紅薔薇のつぼみからでしょう。一人だけノータッチなのは弱いからじゃない?」
「その逆で、めちゃくちゃ強いって事はないの?」
蔦子は聞いた。
「リアル生活の強さとこっちの強さは比例しないわよ」
真美が答える。
「集団でいるとたぶんまだ倒せないような気がするから、この際上級生のプライドはかなぐり捨てて、一人でいるところを『不意打ち』そして、一気に倒す!」
作戦がまとまった。
四人は万全の状態であることを確認すると移動し、隠れた。
「瞳子ちゃんは確か今日は向こうの掃除担当だから、この辺で隠れていれば……」
「あっ、きたよ」
四人の間に緊張が流れる。
目の前を一人の下級生が通っていく。
目的の人物、松平瞳子ちゃんだった。
四人は一斉に『不意打ち』を開始した!
「『並薔薇ポイント』を使って攻撃!」
「『スマッシュ』!」
「『ブライトアロー』+『マジックサークル』!」
「『伊舎那』!」
四人の不意打ちに対し、瞳子ちゃんはちらりと見るが、全く抵抗しない。
「ふふ、桂さん。瞳子に攻撃は通じないよ」
不意に声がして、辺りを見回すと一人の人物がいた。
紅薔薇さまこと福沢祐巳さんだった。
祐巳さんの言う通り、瞳子ちゃんに攻撃は全く通用しない。
「これは?」
「『エネミー識別』してみたら?」
「『エネミー識別』!」
蔦子がエネミー識別をした結果が以下のものである。
ロサ・キネンシスIII
レベル:139
クラス:紅薔薇さま
HP:389MP:443筋力:92器用:92敏捷:92精神:93知力:21紅薔薇:65
特殊能力:
『紅薔薇さま』紅薔薇スキルと薔薇さま専用スキルを全てSL10で使用できる。
『薔薇の館の住人』リリアンエディション、花寺エディションのスキルを習得した時のペナルティを受けない。
スキル(数字はスキルレベル):(シーフ)アヴォイドダンス8シャドウ8サプライズ8シックスセンス1リムーブドトラップ1スティール8ローグ1マスターハンド1ウァレンティーヌスの悪戯1お蔵入りパン事件1
(カマドウマ)いるっ!8飛んだっ!1でたっ!1来たっ!8来るなっ!1きもっ!4うざっ!4ぎゃっ!そんなとこ!1嫌っ!1や〜め〜て〜!8マジっ!8おおっ!8くもりガラスの向こう側1仮面のアクトレス1胸騒ぎの連弾1決まるまで仮置き1
(モンク)地蔵8文殊8薔薇の花かんむり5生徒手帳の花押1学校内合宿1友達4人1
(イリュージョニスト)リベンジ1リバース1不在者チャンス1剣道交流試合の日1chercher〜シャルシェ〜1山百合会版とりかえばや1
(プリースト)テレポート1
(スレイヤー)コンバットマスター8
(姉妹)ごきげんよう、お姉さま1姉は包んで守るもの1妹は支え1可愛い瞳子が側にいる1
アイテム:
御伽騎士・祥子(購入不可)攻撃力+20。すべてのパラメータを20P上昇させる。
補足:どう見ても白いレースのついた日傘だが、西洋槍。
赤いリボン:精神値+1。
補足:普通の赤いリボン。
ロサ・キネンシス・アン・ブゥトンIII
MP:242
スキル:妹は支え1
このエネミーはMPとスキル『妹は支え』以外のデータを所持していない。
このエネミーはロサ・キネンシスIIIを倒した場合、自動的に倒されたことになる。
「何これ! 志摩子さんより強いじゃないのっ!!」
「レベル139ってあるんだ……」
「『カマドウマ』のスキルがいっぱい」
「瞳子ちゃんって、MPタンクなの?」
「MPタンクはひどいな」
祐巳さんが言う。
「それより、桂さん。前回瑞絵ちゃんの虎耳虎シッポ取ったでしょう?」
「前回? 乃梨子ちゃんの話?」
「桂さま、上げた順に読んでるんですね」
ボソッと瞳子ちゃんが呟いた。
「だって、上げた順に書かれているもの。今度こそオチを変えるわ」
「……始めようか」
BGMがボスっぽいものに変わった。
「『いるっ!』でこのバトルフィールド全体を『カマドウマの領域』に変更」
祐巳さんはそれだけ宣言すると手番を桂に譲った。
「『シャドウ』+『サプライズ』」
「あ、『うざっ!』の効果で達成値が下がるから」
「え」
祐巳さんは余裕で桂の攻撃をかわした。
「そして、紅薔薇スキル『シンデレラ』で防御力が10P上昇」
「待機」
「私も」
ちさと、真美は蔦子の攻撃力上昇スキル『ファイアウェポン』を待って待機する。
「『ファイアウェポン』+『マジックサークル』+『ブラスト』」
予定通り蔦子がスキルを使う。
「『お蔵入りパン事件』で『マジックサークル』取り消し」
「ええっ、もう使っちゃうの、それ?」
打ち消されたことよりもそちらを驚く。『お蔵入りパン事件』はスキル打ち消しスキルで、切り札の一つである。
「じゃあ、『並薔薇』を5P使用!」
神秘の力『並薔薇ポイント』を使用し、クリティカルして47P攻撃力が上昇する。
「そして、『並薔薇』を使用して『伊舎那』で攻撃!」
待機していた真美が動く。
「『ファンブル(自動失敗)』しなければかわせるんだよね」
祐巳さんは余裕でかわす。
「『ライバルがいいの』を祐巳さんに! 『スマッシュ』! 命中に『並薔薇』5P使うわ!」
「なら、こっちも天賦の力『紅薔薇ポイント』1P使用!」
双方クリティカルとなるが、受ける側の祐巳さんが優先して攻撃をかわした。
「と、3回攻撃の対象になったから、累計30P防御力が上がっちゃった」
へへへ、と祐巳さんが笑う。
「次は私。『chercher〜シャルシェ〜』で隠密状態を解除」
「うわっ!」
桂の姿が不意に現れた。
「前に行動不能のスキル書き換えたから『chercher〜シャルシェ〜』の効果が変わったんだよね。桂さん、全然『ステルス桂の独壇場』にならないね」
「や、やかましいわね」
その桂の番になる。
「『並薔薇』を6P使って攻撃! 『ダイレクトヒット』狙いで!」
桂の攻撃!
「『紅薔薇』を1P使用」
祐巳さんは軽くかわす。
「『スマッシュ』! 『並薔薇』4P!」
ちさとの攻撃!
「『紅薔薇』を1P使用」
また軽くかわされる。
「『伊舎那』! 『並薔薇』4P!」
真美の攻撃!
「『紅薔薇』を1P使用」
またまた軽くかわされる。
「『ブライトアロー』+『マジックサークル』! そして、『不在者チャンス』で祐巳さんに『ウィズダム』使用! 回避を知力判定でやってもらうわ!」
蔦子の攻撃!
クリティカル!
「『不在者チャンス』で『嫌っ!』使用。防御属性を『ブライトアロー』に強い『光』に変更! そうだ、これは『カマドウマの領域』内なら何人でも有効だからみんなも『光』に変えておこうっと」
「そんな!」
祐巳さんは回避に失敗したが、ダメージを5Pにとどめた。
「これで防御力が累計70Pアップね」
「それ、どうやってダメージ与えればいいのよっ!」
「物理防御力だから。魔法防御力は変化してないからその辺で」
勇者パーティーで魔法で攻撃が出来るのは蔦子だけだった。
「『ぎゃっ、そんなとこ!』で私の攻撃属性を『闇』に変更。そして、攻撃は『マジっ!』の効果がある『来たっ』で16回連続攻撃! 攻撃対象は『カマドウマの領域』内の任意の敵だから、『チョコレートコート』は使えないわよ」
「えええっ!」
「やることを読まれてるっ!」
「更に、1回でも攻撃がクリティカルでヒットしたら『仮面のアクトレス』でファンブルするまでずっと私のターン。そして、攻撃が当たる度に『胸騒ぎの連弾』の効果で攻撃力が+5される」
「鬼っ!」
「赤い悪魔めっ!」
「なんとでもおっしゃいな。始めのターゲットは蔦子さん」
「いやああ!!」
「クリティカルしやすいように『紅薔薇ポイント』8P使用!」
「もう勘弁してっ!! 『並薔薇ポイント』1P使用!」
祐巳さんの攻撃はクリティカルしたが、蔦子の回避もクリティカルした。
「あら、じゃあもう一回『紅薔薇ポイント』8P使用!」
「いい加減にしてっ!! 『並薔薇ポイント』1P使用!」
祐巳さんの攻撃はまたクリティカルだったが、蔦子はクリティカルではなかった。
80Pのダメージ!
蔦子はHPが0になった。
「『推理小説同好会』でHP0行動! 薔薇さまスキル使用の『四つ葉のクローバー』でダメージを返す『ハートの鍵穴』使用! そして、タイミングの違うスキル使用スキルの『不在者チャンス』で『マジックサークル』を使って強化!」
「紅薔薇スキル『イン ライブラリー』で習得していないスキルを使用! 『羊の中の狼』でダメージをなかったことに!」
蔦子の反撃はかき消された。
蔦子は戦闘不能になった。
「紅薔薇スキル『ハロー グッバイ』の効果で一人を戦闘不能にすることで+10P攻撃力が上昇! 次は真美さん! 『紅薔薇ポイント』1P使用!」
「うう、やっぱり! 『並薔薇ポイント』1P使用で回避!」
回避できず、真美は77Pのダメージを食らう。
「また真美さんに攻撃。『紅薔薇ポイント』1P使用!」
「また『並薔薇ポイント』1P使用で回避!」
クリティカルで回避。
「またまた真美さんに攻撃。『紅薔薇ポイント』1P使用!」
「またまた『並薔薇ポイント』1P使用で回避!」
クリティカルで回避。
「またまたまた真美さんに攻撃。『紅薔薇ポイント』1P使用!」
「またまたまた『並薔薇ポイント』1P使用で回避!」
クリティカルで回避。
「またまたまたまた真美さんに攻撃。『紅薔薇ポイント』1P使用!」
「またまたまたまた『並薔薇ポイント』1P使用で回避!」
避けられなかった。
「『プロテクト』」
真美はダメージを軽減して64Pに抑える。
「はてしなく真美さんに攻撃。『紅薔薇ポイント』1P使用!」
「はてしなく『並薔薇ポイント』1P使用で回避!」
祐巳さんの攻撃がクリティカルした。
137Pのダメージ!
真美は戦闘不能になった。
「次はちさとさん。『紅薔薇ポイント』2P使用!」
「『並薔薇ポイント』1P使用!」
ちさとは避けられなかった。
「そこで『や〜め〜て〜!』発動! 『カマドウマの領域』は失われてしまうけど、追加ダメージを与えられる! 念のため『紅薔薇ポイント』を10P追加」
「そんなっ! もう回復役もいないのにっ!」
348Pダメージ!
ちさとは戦闘不能になった。
「次は桂さんの番だよ」
祐巳さんの口元が笑っている。
桂にはもう、どうする事も出来ないと知っているのだ。
「『シャドウ』+『サプライズ』で残りの『並薔薇ポイント』を全部使う!」
クリティカルした。
祐巳さんは特に『紅薔薇ポイント』を使ってこなかった。
「『ダイレクトヒット』! 『略してOK大作戦(仮)』も使用!」
135Pの大ダメージだが、現在の祐巳さんの防御力は70Pだから、65Pにしかならない。それでも現在の桂の全力の攻撃だった。
祐巳さんはそのダメージを受けた。
そして、祐巳さんの番になった。
「桂さん。この『御伽騎士・祥子』には特殊効果があってね、こんな事が出来るの」
「何?」
「竜撃砲、発射!」
『御伽騎士・祥子』は1日1回だけ、300Pのダメージを与える「竜撃砲」という特殊攻撃を持ったガンランスだった。
桂は戦闘不能になった。
戦闘は祐巳さんの勝利となった。
「こ、こういう時こそ『降誕祭の──』」
「ここで、強制セーブ!」
祐巳さんが強制セーブしたおかげで、桂たちはやり直す事が出来なくなった。
「……祐巳さん」
「さて、桂さんたちは山百合会の幹部に負けたので『ペナルティ』だね。まあ、『前』の『忘れる』っていう『ペナルティ』でどうして私たちに勝てなかったのかまで忘れちゃったみたいだけど──」
前?
忘れる?
一体何を言っているんだ、祐巳さんは。
「今回は、う〜ん。そうだ。二度と逆らえないくらいの『ペナルティ』にしようか」
何かとてもヤバそうなことを言っている。
なんとかしないとマズイことになる。
わかってはいるが、桂たちはもう何も出来ないのだ。
祐巳さんがスキルか何かを使っている気配がする。
その時だった。
「アイテム『紅いカード』発動!!」
瞳子ちゃんだった。
目の前が真っ赤になって。
そして、何もかもわからなくなった。
->一体、何が起こったんだあっ!!【No:3124】
いや、もう、興味ないし