【3150】 お姉さま、事件です  (bqex 2010-03-26 00:18:46)


宣伝SS、見参!!

 薔薇の館。

「お姉さまっ! お姉さまっ!」

 祐巳が叫びながら駆けこんでくる。

「どうしたっていうの? 落ち着きなさい」

 読んでいた文庫本から祥子はちらりと視線をあげて、妹をたしなめる。

「落ち着いてなんかいられません! 本日更新された(うp間に合わなくて、昨日になっちゃった、ごめん、祐巳)webコバルトの『コバルトさろん』によると、『マリア様がみてる』が2010年の秋、実写映画化されるそうです」

 祐巳は言った。

 ──ガタン!

「えっ!?」

 祥子が声を上げるより早く、志摩子と乃梨子ちゃんが揃って声をあげていた。
 そして、その二人が声を上げるより早く、令と由乃ちゃんは思わず立ち上がっていた。

「ちょっと待ってください」

 そう言いながら、部屋に入ってきたのは瞳子ちゃんと菜々ちゃんだった。

「ねえ、今聞いたところなのだけど、『マリみて』実写映画になるんですって!?」

 続いて江利子さまが入ってきた。

「『パクリ』でも『パロディ』でもなく、公式でやるの!?」

 聖さままで登場する。

「『マリア様がみてる』実写映画化を聞きつけて集まる山百合の皆さんの表情、いただきます!」

 蔦子さんが写真を撮りまくる。

「その件に関しては、まだ、映画化がされるという情報のみが伝わってきているだけですが、今後、公式発表を待ちながらサポートしていきます。では、皆さまに現在の心境を……」

 真美さん、日出実さんがインタビューの準備を開始する。

「こ、この件はぜひリリアンかわら版が一つかませていただきたいわ!」

 三奈子さんも興奮している。

「……す」

 祐巳が口を開いた。

「ストーップ!」

 全員がピタリと止まった。

「まだ、実写映画化が発表された段階です。誰が出るとは一言も書いていません」

 全員がはっとする。

「そうですよ。もっとも始めに物語化された『銀杏の中の桜』がメインかもしれませんし」

 乃梨子ちゃんが割って入る。

「それはない。それより、無印か『レイニーブルー』かもしれないし」

 祐巳が主張する。

「あら、短編なら、私たちの方がやりやすいのではないかしら?」

 不意に声がすると思ったら、百&環の『私の巣』コンビが入口のところに立っていた。

「主役は私よ!」

「私!」

「私よ!」

 どの場面を映画化するかによって出番が大きく左右される一同。
 そんな中、由乃ちゃんがこう言った。

「みんな、わかってない。わかってないよ。実写でしょう? それなら私が主役になるにきまってるよ」

「どうして?」

 全員が由乃ちゃんの方を見る。

「私の中の人は、原作者がテレビを見てて、『あれ、こんなところに由乃が出てる』って決まったんだもの。島津由乃は実在するんです。だから、それで決定です」

「それだけはないっ!」

 全員が声をそろえて突っ込んだ。

「黄薔薇が主役なわけないでしょう?」

「黄薔薇よ、黄薔薇なんだからさ」

 黄薔薇ファミリーは泣いた。

「何よっ! 『私の巣』といい【No:3141】といい、最近扱いひどいわよっ!」

 いつの間にか竹刀を持っていた黄薔薇ファミリーが暴れ出した。
 全員が応戦する。
 そのごたごたにまぎれて現れた人達もいた。

「会わない方がいいって思ってたあの人と映画で会えるんですか?」

「イタリアから帰国しなくてはいけないんですか?」

「あの、私、クレジットにやっぱり名字なしですか?」

 ちょっとずつしか出ていない人から、日頃忘れ去られがちな人までが、夢を見る実写化、しかし。

「アニメが人気ありすぎると、実写化ってコケる率高いわよね。私はアニメの方がいいし、今さらって感じ。出番だって期待してないわ」

 と言ってのける毒舌な人がいた。

「ね、祥子はどう思うの?」

 と、その毒舌なお姉さま、蓉子さまが祥子の顔を覗き込む。

「ただただ驚いているばかりで、何といいますか……」

「ああ、また『躾』のシーンが出来るからいいっていうのね。AVでパロだって出てるし、どうってことない、と」

「お、お姉さまっ!?」

 一体この先どうなるのだろう、不安な気持ちで祥子は空を見上げるのであった。
 続く……かもしれないし、続けないかも。

 ところで。

「黄薔薇の出番を全力で見逃すのはやめろおっ!」

 まだやってた。


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