【322】 祥子さま残念!  (OZ 2005-08-07 20:39:45)


293の続きです。
 

『すみません、とても失礼な質問とは思いますが、あなた様は、いったい私とはどのような関係なのでしょう?』


祐巳のお母様の言葉もあり、少しは心の準備ができていたはずなのだが、この言葉にはさすがにショックを受けた。
「祐巳、あなた、自分のことはわかって?」
「はい、一応・・・」
「私のことは?」
「すみません、わかりません。」
「そ、それじゃあ。祐巳の覚えていることを、とりあえず教えて頂戴。」 あらためて、へこむわ。
「ええと、」

その後、祐巳の話したことは次ようなこと。

自分は、リリアン女学園の2年生で、名前は 福沢祐巳。弟が1人いて、両親も健在、成績も平均、容姿も平均(この時はちょっと言いよどんでいたが)でも、自分がどんな生活をしていたのか、どんな友達が居たのかは分からないようだ。

基本的なことは覚えているらしい、でも、完全に、今の祐巳の中では姉妹制度、及び山百合会のことなどはすっぽり抜け落ちているようだ。
なので、私は、とりあえずリリアンの姉妹制度、山百合会、祐巳の立場、そして、自分との関係をゆっくりと話した。


「と、言うことは、ええと、あの・・・ 」
「祥子よ。」
「そ、そうです、祥子さんは私のお姉さまで、私はその、山百合会という生徒会の、言わば副会長的な人なんですか?」
「まあ、そうなるわね」なんか違うような気もしたが。
「全然実感が湧きません、でも、」
「でも、なにかしら?」
「あの、その、 こんな美人な祥子さんが私のお姉さま、なんと言うか、その、あの・・・ すごく照れくさいというか、もったいないと言うか。 なんか、嬉しいような、すごく複雑な気分です。」 顔を真っ赤にしている祐巳、なんて可愛いの!! たまらなく可愛い!! どうしましょう。


私の心の中に、天使と悪魔が出てきた(善悪の葛藤を表すなんとも古臭い表現だが)

悪魔祥子が囁いた、『ねえ、この際 記憶なんてどうでもいいじゃない、邪魔者も居ないし、このまま祐巳を落として私だけのモノにしましょうよ? ね?』
天使祥子が囁いた、『いいアイデアね、このチャンスに乗じて、このまま祐巳を頂いてしまいましょう。』
おしまい、まったく葛藤なし。


「祐巳、今のあなたは覚えてないかもしれないけど、姉妹(スール)制度にはもう一つ、重要な約束事があるの。」
「重要な、約束事ですか? それは何でしょうか?」
「約束事というか、そうね、 いいえ、言ってみれば、これはリリアンに伝わる魂の盟約なのよ 『スールの契りを交した者達はキスをもって婚姻の儀とする』これは誰にも抗えない事実なのよ。」
「へ? キス? 婚姻? ええええええ〜〜〜〜〜 」祐巳はかなり混乱している、そりゃそうだ。今私が作ったのだから。
「私と祐巳はスールの契りを済ませている、だから、婚姻の儀式をするのは当然でしょう。」
「ほ、ほ、本当なんですか!! 婚姻って!! 結婚のことですよね!! で、でも、私たち女の子同士ですよ!? 」
「愛に性別は関係ないわ!!さあ、観念なさい!!」
「観念しろと言われても、その、心の準備が・・・」

ドサッ
私は祐巳に覆いかぶさった。
祐巳は、身体をぎゅっと、固めた、でも私が触れると恐る恐る身を任せるように力を抜いていった。

「今のあなたには訳の分からないことばかりでしょうね、 本来なら祐巳の記憶が戻る、戻らない、ということが一番重要なことなのは判っているの、でもね、ごめんなさい、私にはそんなことどうでも良い、私のことを一生忘れていたって構わない、ただ、今、あなたは私の腕の中で動いている、そして、私と会話している、それだけで、それだけで、本当に嬉しいの、祐巳の体温を感じられる、それだけで・・・本当に幸せなの。 あなたが生きている、それだけで満足なの。」

「祥子さんは、そんなにも私のことを思っていてくれたのですね。すごく、嬉しいです、幸せです。」 祐巳の頬には涙の線ができていた。
オッシャーッ!! 貰った!!  まてまて、落ち着け私。

「お姉さま、とは、言ってくれないの?・・・ 」
「お、おね・・え・さ・ま・・・ 」
「キス、  してもいいかしら?」
「は、はい、お、お姉さま、 お、お受けします。」目を瞑る祐巳、 ドキドキ  

 ゆっくりと2人の唇が近づいていく、 10cm、5cm、1cm 

   其の時
 『バンッ』と 激しく扉が開かれた。 
 「わ〜〜い、祐巳ちゃ〜〜〜ん、ごきげんよう!!」と、聖様。
 私は光のごとき速さで祐巳から離れた。 ドキドキ!!
 「はいはい、お邪魔しますわよ。」こちらは、江利子様。
 「んもう! 聖も江利子も遊んでないで、真剣に考えてよ!! 祐巳ちゃんの一大事なのよ、」私のお姉様である容子様

 「あの、さち、いえ、お姉さま、この方たちと私はどのような関係なのでしょうか?」
 私は深呼吸をして祐巳に言った。
 「祐巳、気を付けなさい、油断したら、遊ばれるわよ・・・」
 「ふえ? 一緒に遊んでくれるなら、別に良いのではないですか?」のほほんと答える祐巳。
 その言葉を聴いて、私は深いため息をついた。


 「ところで、祥子、さっきなんだか面白いこと話していなかったかしら、 結婚がどうとか、 姉である私にはきちんと説明してくれるわよね?」
 「そうそう、その件については、私たちも興味あるわ、ねえ、聖。」
 「まさか祥子ちゃんは、この期に乗じて可愛い可愛い祐巳ちゃんを、独り占めしようなんて考えて な・い・わ・よ・ね〜〜〜 」

 やばい!!やばすぎったらありゃしない!!

 「え、その、あの、 あ、あははは・・・はは・・ な、何のことでしょう? 祥子、わかんな〜〜い えへ。」いやな汗がどんどん出てきた。

 3人から物凄いオーラが立ち上るのが感じられた

 「「「 さ・ち・こ・〜〜〜〜〜 !! 」」」


 
 未だ、祐巳の記憶は戻らない・・・






まだ、続きます・・・


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