「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
さわやかな挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
マリア様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。
スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。
もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。
そしてここ
リリアン女学園高等部、中庭に立つ薔薇の館の2階
紅薔薇さまこと、福沢祐巳が、ビスケットの扉を開けると、縦ロールの少女と長身で腰まである黒髪の少女が2人仲良く何かに夢中に・・・
「ごきげんよ瞳子、可南子ちゃん」
紅薔薇のつぼみこと、松平瞳子と細川可南子が振り向く。
「ごきげんよ、お姉さま。」
「ごきげんよ、祐巳さま。」
「可南子ちゃん久しぶりね。元気だった?」
「はい、祐巳さま、お久しぶりです。」
見詰め合う祐巳と可南子を見て、瞳子が軽く咳払い。
「コホン・・・お姉さま、可南子さん」
「「あ!ごめんごめん!」」
2人の声が重なり、3人がくすりと笑いあう
祐巳は、瞳子と可南子の前に置かれているパソコンを指差し、
「ところで、それパソコンよね?どうしたの?」
「優お兄様が、新しいパソコン購入したので、以前使用していたパソコンを頂いたので」
「柏木さん?・・・そう・・・!」
「古いといっても、1、2年前の物ですからまだまだ、十分使えます。」
FUJITSU LX70WN
プロセッサー :Intel(R)Core(TM)2 CPU 4300 @ 1.8GHz 900MHz
メモリ(RAM):2.00GB
システムの種類 :32ビットオペレーションシステム
Windows Vista(TM)Home Premium
Copyright C 2007 Microsoft Corporation All rights eserved
Service Pack 2
HD:500GB
「薔薇の館で使おうかと思いまして、持って参りました。先生方の許可は頂いて置きましたので・・・お姉さま?」
柏木さん・・・
「あ!ごめんごめん!」
「ところで、瞳子と可南子ちゃんはパソコンが使えるのね?」
「・・・お姉さま?優お兄様がなにか?」
「ううん!何でも無いから気にしないで。」
「そ、そうですか?」
柏木と聞いて、祐巳は、はふぅ、と物憂いげにため息をひとつついた。
「と、ところで、今何をしていたの?」
訝しげに瞳子は、祐巳を見た。
「・・・」
「が○ゃが○ゃSS掲示板に投稿しようと思っていたのですが・・・」
可南子が瞳子の言葉をうけて。
「祐巳さま、エラーが出て、投稿出来なくて・・・。」
が○ゃが○ゃSS掲示板
※エラーが発生しました※
【エラー】投稿制限されています。心当たりのない方は管理人に問い合わせて下さい。
「タグを付けなければ投稿出来るのですが・・・」
はてな?顔の祐巳を見て、瞳子が、
「管理人さんに、メールで問い合わせしていた所です。」
「そう?ところで、何を投稿しようとしてたの?」
可南子が、瞳子をちらっ見て
「瞳子さんが、祐巳さまとの・・・」
「げふんげふん!可南子さん!」
「失礼しました、瞳子さん・・・くすくす。」
薔薇の館、そんな放課後の出来事・・・。