【3229】 予想の斜め上を行く  (福沢家の人々 2010-07-29 22:46:29)


「ごきげんよう」

「ごきげんよう」

 さわやかな挨拶が、澄みきった青空にこだまする。

 マリア様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。

 汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。

 スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。

 もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。


 そしてここ


 リリアン女学園高等部、中庭に立つ薔薇の館の2階

 紅薔薇さまこと、福沢祐巳が、ビスケットの扉を開けると、縦ロールの少女と長身で腰まである黒髪の少女が2人仲良く何かに夢中に・・・


「ごきげんよ瞳子、可南子ちゃん」


 紅薔薇のつぼみこと、松平瞳子と細川可南子が振り向く。


「ごきげんよ、お姉さま。」

「ごきげんよ、祐巳さま。」

「可南子ちゃん久しぶりね。元気だった?」

「はい、祐巳さま、お久しぶりです。」


 見詰め合う祐巳と可南子を見て、瞳子が軽く咳払い。


「コホン・・・お姉さま、可南子さん」

「「あ!ごめんごめん!」」


 2人の声が重なり、3人がくすりと笑いあう

 祐巳は、瞳子と可南子の前に置かれているパソコンを指差し、


「ところで、それパソコンよね?どうしたの?」

「優お兄様が、新しいパソコン購入したので、以前使用していたパソコンを頂いたので」

「柏木さん?・・・そう・・・!」

「古いといっても、1、2年前の物ですからまだまだ、十分使えます。」


 FUJITSU LX70WN

 プロセッサー :Intel(R)Core(TM)2 CPU 4300 @ 1.8GHz 900MHz

 メモリ(RAM):2.00GB

 システムの種類 :32ビットオペレーションシステム

 Windows Vista(TM)Home Premium

 Copyright C 2007 Microsoft Corporation All rights eserved

 Service Pack 2

 HD:500GB


「薔薇の館で使おうかと思いまして、持って参りました。先生方の許可は頂いて置きましたので・・・お姉さま?」


 柏木さん・・・


「あ!ごめんごめん!」

「ところで、瞳子と可南子ちゃんはパソコンが使えるのね?」

「・・・お姉さま?優お兄様がなにか?」

「ううん!何でも無いから気にしないで。」

「そ、そうですか?」


 柏木と聞いて、祐巳は、はふぅ、と物憂いげにため息をひとつついた。

「と、ところで、今何をしていたの?」


 訝しげに瞳子は、祐巳を見た。


「・・・」


「が○ゃが○ゃSS掲示板に投稿しようと思っていたのですが・・・」


 可南子が瞳子の言葉をうけて。


「祐巳さま、エラーが出て、投稿出来なくて・・・。」




 が○ゃが○ゃSS掲示板


※エラーが発生しました※

【エラー】投稿制限されています。心当たりのない方は管理人に問い合わせて下さい。




「タグを付けなければ投稿出来るのですが・・・」


 はてな?顔の祐巳を見て、瞳子が、


「管理人さんに、メールで問い合わせしていた所です。」


「そう?ところで、何を投稿しようとしてたの?」


 可南子が、瞳子をちらっ見て


「瞳子さんが、祐巳さまとの・・・」


「げふんげふん!可南子さん!」


「失礼しました、瞳子さん・・・くすくす。」




 薔薇の館、そんな放課後の出来事・・・。




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