【3241】 偶然ではない、必然だ  (福沢家の人々 2010-08-05 19:15:50)


「花寺の憂鬱」


 時系列的には、マリア様がみてる19巻

「マリア様がみてる 特別でないただの一日」

 山百合会主催の学園祭舞台劇の演目終了直後



「ごきげんよう」

「ごきげんよう」

 さわやかな挨拶が、澄みきった青空にこだまする。

 マリア様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。

 汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。

 スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。

 もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。




 そして




 リリアン女学園高等部、敷地内に建つ体育館舞台裏

 山百合会主催の学園祭舞台劇「とりかえばや物語」控え室。




 リリアン女学園高等部文化祭当日、山百合会主催の学園祭舞台劇の演目が終了

「とりかえばや物語」控え室に出演者が着替えを終えて集まっていた。




 集まった出演者を前に、紅薔薇さまこと小笠原祥子が最後の挨拶を・・・。

「山百合会主催の舞台劇、とりかえばや物語が無事終了しました。」

 深々と頭を下げながら

「皆さん本当にありがとうございました。」




 出演者から拍手が起こる

「私は脚本と舞台監督させて頂いたことを誇りに思います。」

「さて、人生には三つの大切な袋と言う物がありまして・・・。」




 黄薔薇さまこと支倉令が、左手で額を押さえながら祥子の前に立ち

「祥子。」




 祥子さまの挨拶を遮り。

「え〜挨拶も長くなると嫌われますので」

「ちょ、令!」

「祥子、いいから」

「ここは、最後に主演のお二人に席を譲って・・・ご挨拶を」

 令さまは、「ちょちょちょと令?挨拶と言えば定番でしょ」と言っている、祥子さまの手を引いてその場を離れる




 っで、急に話を振られた主演のふたり、花寺学院生徒会長であり、祐巳の年子の弟、福沢祐麒

「え〜」




 こほん、一度咳払いをして

「本日はこのような舞台劇、とりかえばや物語に姉共々主演させて頂き、無事・・・。」

「まあ、いろいろハプニングもありましたが、」




 あははと皆が一笑い

「大成功に終わりました、花寺およびリリアンの各出演者の皆さんにありがとうございました」




 祐麒に押し出されるように、紅薔薇のつぼみこと福沢祐巳

「ほえ〜」

「こ、コホン、えへ」




 笑いが起きる・・・なぜか?小さなガッツポーズをとる祐巳・・・どや顔で

「え〜と、男子校の花寺の皆さんは、リリアンの女生徒に囲まれて おったった でしょう。」




 一瞬で場内がシーンとする。

 リリアンの生徒達が花寺の生徒達を、道端のゲロを見るような目で見て、ひそひそ・・・。

 花寺の生徒達は何気に赤面するなか




 祐巳が少々慌てながら。

「え?・・・か、壁側に用意してあるのは、リリアンの生徒たちが むしやしない にと思って・・・フ、フランクフルトとやきそばをご用意してあります」

「と、とりあえず、その辺にでも えっちかって 食べて下さいね。」




 皆が お! の口で固まるが、お構えなしの祐巳

「お、お茶も入れてありますからどうぞ」




 右手でお茶の置いてある方を示し

「あ!入れたばかりなので ちんちこちん ですから、気をつけて下さい」




 え!って顔の花寺の生徒達と、ま!の口のまま固まるリリアン生徒達

「あ、ありがとうございました。」




 なぜか?大爆笑・・・。祐巳は困惑の表情・・・。




 少し落ち着いたのか祐巳は祐麒を見て・・・話しかける

「も〜祐麒 だんこちんこ になってるよ。」




 祐麒は慌てて下を向いて確認

「あ!ほんとだ、ありがとう祐巳。」




 フランクフルトや、やきそばを頬張っていた生徒達が一斉に祐巳と祐麒の方を見た

「祐麒は、フランクフルトとかやきそばは?」

「ああ大丈夫、今は はらがふとい から」




 みんなが、祐麒のお腹あたりを見て首を傾げる

「そう」

「じゃあ、袋に容れておくから持って帰ってね」

「ちゃんと、袋の口は、とちんこ に縛ってくれよ」

「判ってるわよ、も〜私の事 なめずって」




 祐麒が祐巳に声をかけるのを躊躇している、松平瞳子と細川可南子に気づき祐巳に

「瞳子さん可南子さんが話したがっているんじゃ無いかな、祐巳」

「可南子さんは、さっきから僕を睨んでるし」

「あれは、相当、ごせっぱらやげてるんじゃ。」

「あ!じゃあ、みんなのところへ行くね、帰りは気をつけて帰りなさいよ。」

 などと、お姉さんぶってバイバイって手を振りながら山百合会と瞳子ちゃん可南子ちゃんのもとへ




 祥子さまが、頬を染めながら

「祐巳、ちょっといらしゃい、少しはしたなくってよ」




 言われた祐巳はっと言うと、困惑の表情・・・。

「ほえ〜?」




















 私立リリアン女学園高等部、学園祭舞台劇控え室、今日も平和な日常であった、っておい!



















「「ごきげんよ〜」」

「由乃で〜す。プリティ菜々で〜す。2人合わせて黄薔薇シスターズで〜す。」

「プ、ププ、プリティって、菜々、どうなの?」

「い〜やん♪ありがとうございます、お姉さま」

「って、ほめてないから」




「いや〜本日のお話どうでした?お姉さま」

「え〜と、スルーかよ」

「そ〜ね、ちょっと無理やり感が否めないわね〜」

「また、方言ネタかよとか、作者さんの腕が無いとか、言ってはダメです、お姉さま」

「いやいや、言ってないし」

「失礼、中二病かよコイツ、でしたね。お姉さま」

「いやいや、ちがうから」

「またまた、ごけんそんを、お姉さま」

「いやいやいや、菜々、言葉のチョイス間違ってるから」




「ところで、どれぐらい方言が入っていたか判りましたか?お姉さま」

「え〜と?」

「そうです。九つですね、お姉さま」

「いや、まだ答えてないから、って、スルーかよ」




「まずは、祥子さまの三つの袋ですね、挨拶の定番ですが」

「ああ〜って、それ、方言じゃないから」




「まず、1つ目は」

「って、また、スルーかよ」

「え〜と、男子校の・・・女生徒に囲まれて おったった でしょう。」

「ですね、これはだいたい、想像が付いたのでは? もちろん花寺の殿方のピーなところがピーな状態とかって事ではないですよ、お姉さま」

「そ、そんな事、思っていないわよ」ポ!

「いま、何か想像して、ポ!ってしました?」

「し、してないわよ・・・プイ」

「青森県の方言で おったった=つかれた ですね」

「花寺の皆さんは、女生徒に囲まれて つかれた でしょう、です。」




「次は、2つ目」

「リリアンの生徒たちが むしやしない にと思って・・・」

「大阪の方言で、むしやしない=軽い食事 ですね、むしおさえ って言った方が有名ですかね?お姉さま」

「あ〜むしおさえね」




「3つ目」

「・・・その辺にでも えっちかって・・・」

「Hが勝つてる訳じゃないですよ、お姉さま」

「は、はい・・・。」

「栃木県の方言ですね、えっちかる=座る ですね」




「4つ目」

「ちんちこちん=とても・ものすごく、熱い様子ですね、ちんちんに熱いの上位だそうですよ、お姉さま」

「決して、殿方の・・・。何ですかお姉さま期待に目をきらきらさせて」

「いや、させてないから」




「5つ目」

「・・・だんこちんこ・・・」

「富山県の方言だそうです、たがいちがい・だんちがい ですね」

「あ、それでYシャツのボタンを直していたのね」


「6つ目」

「・・・はらがふとい・・・」

「山口県の方言、お腹がいっぱい、また、逆にお腹がすいたことを はらがほそる って言うそうですよ、お姉さま?もう、飽きたんですか?」




「7つ目」

「・・・とちんこ・・・」

「愛知県三河地方の方言で、きつい・かたい って事ですね、この場合は、袋の口は、きつく縛ってです。」




「8つ目」

「・・・なめずって・・・」

「佐賀県の方言で、ばっかにする です。決して祐麒さんが祐巳・・・。って事では無いですよ。お姉さま?」

「お姉さま?そんなところで、のの字を書いていないでください。」

「だって、菜々が、かま」

「って、おい!また、スルーですか、そうですか。」




「9つ目」

「・・・ごせっぱらやげる・・・」

「福島県の方言、はらがたつ・はらわたが煮えくりかえる ですね」




「え、お姉さま何ですか?」

「え〜と?なに」

「ちょっと!PCの前で、解説のほうがながじゃないかって、言ってんじゃないわよ。ですか?」

「いやいやいや、そんなこと言って無いから」




「って、言う事で、それではみなさま、またの機会に、ばい〜なら」

「ば、ばいならって、ふ、ふるい」

「ちょ、ちょっと!菜々?菜々?菜々ちゃん〜置いてかないで〜」











一つ戻る   一つ進む