【3359】 吸血鬼な祐巳さん  (弥生 2010-11-03 08:41:51)


ごきげんよう、お姉さま方。
×××
ふっふっふ。今日はハロウィン♪コスプレが出来るのだ♪吸血鬼のコスプレ♪

これで誰一人私が吸血鬼と疑う者は居ない。これで血は吸い放題。♪私はハッピー♪

誰から吸ってやろうかな〜♪お姉さま?瞳子?意外なところで由乃さんも良いかもな〜♪

と思いながらも、今日もマリア様にお祈りする。

(今日は腹一杯に血が吸えますように♪そしてバレませんように♪)

お前はメスの蚊か?とツッコミを入れたくなるが、ほっとこう。

カシャ

突然シャッター音とフラッシュが眩しい。

「ごきげんよう、祐巳さん。気合い入ってるわね〜。吸血鬼?」
「そうだよ。蔦子さん。似合う?」

と言って、マントを広げて一回転。

「うーん、あんまり似合わないわね。祐巳さんは吸血鬼と言うより、タヌキのコスプレの方が似合ってるわ」

グサッと、蔦子の言葉が突き刺さり、崩れ落ちた。

「あ、死んだ。一枚ゲット」
とシャッターチャンスとばかりに写真を撮った。

「じゃあね、祐巳さん。頑張って良い写真撮らせてね〜」
と言い残し、蔦子は居なくなった。

「いいもん。どうせタヌキだもん」
と言いながら、のの字を描いた。

「はぁ〜い、祐巳さん」

次に声をかけて来たのは真美さんだった。
「ううっ、聞いてよ、真美さん」
「何?祐巳さん」
「せっかく吸血鬼のコスプレしてるのに、蔦子さんがタヌキの方が似合うって言うの」

祐巳は半泣きで、両手を振りながら真美に訴える。

「酷いわね、蔦子さん」
「そうでしょ、そうでしょ」
「私だったら祐巳さんに似合うと思うのは…」
「思うのは?」

祐巳は目を輝かせながら真美を見た。

「ぶんぶく茶釜…かな?」

祐巳は再び崩れ落ちた。

「じゃあね、祐巳さん。頑張って良い記事書かせてね〜」
と言い残し、真美は居なくなった。

「ふふっ…ぶんぶく…茶釜…か…更に悪くなってるけど、いずれにしてもタヌキなのね…」

祐巳は目に光るものを浮かべながら、笑うしかなかった。所詮、タヌキなのだ、と。

いつまでも落ち込んでいる場合ではない。今日は血を吸うのが目的、凹まされることが目的ではない。次に来た者を無差別に襲い掛かることにした。

「ごきげんよう、祐巳さん」
次は由乃だった。
「ごきげんよう、由乃さん」
「あら、吸血鬼」
「そうなの。定番のセリフ言うよ」
「うん」
「悪い子はいないか〜」
「それ、なまはげ」


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