【3364】 桃と太郎と召喚獣聖さまハーレムエンドが  (bqex 2010-11-04 01:13:20)


 むかーし、昔。その昔。
 あるところに佐藤聖がいました。

聖「おいおい、名指しかい」

 聖が十七歳になったクリスマス、枕元の靴下にプレゼントが入っていました。

『聖ちゃんへ

Happy Birthday!
Merry Christmas!
Happy New Year!

プレゼントとして
こいつらをくれてやる
ありがたく使いなさい
だからこれ以上は
おねだりすんなよ

by父ちゃん母ちゃん』

聖「いや、ウチの親、こんな事は言いませんて」

 靴下の中に入っていたのは銘刀『太郎』と桃が三つと取扱説明書でした。

聖「え〜と、なになに? 『BQEX謹製召喚獣セット』嫌な予感しかしないな。……『よい子のみんなへ。このモモカプセルを40℃で あたためると かっこいい しょうかんじゅうが 生まれるよ! ―対象年齢五歳以上―』……って、確かに五歳以上だけどさ、こんなのいらないって」

 ぽいと捨てたら、部屋が汚かったので何かが発酵している熱で桃カプセルが話の進行に都合よく40℃で温まりました。

聖「だからさ、部屋は汚くないって言ってるでしょ? 【No:2926】のネタじゃん。懐かしいけど、本当に汚くないから部屋」

 桃のカプセルから召喚獣が生まれました。
 一匹目。
 それは賢そうな犬でした。

蓉子「わお〜ん!」

聖「ちょ……(爆笑して喋れなくなっている)」

蓉子「失礼ね。与えられた役は豚だろうか犬だろうがやり抜くのが水野蓉子クオリティ! 今日の私は忠犬蓉子。台詞も言えない奴は身をもって諌めるのが忠犬の役目って、ことで『バーチカルアロー』!」

 蓉子の必殺技が炸裂しました!

聖「ぐふあっ!! どっかから引っ張ってきたのかよくわからない必殺技はやめて!」

蓉子「『ストレートスライサー』!」

【しばらくお待ちください】

聖「もう抵抗しないから攻撃はやめてっ! 次に進めさせて」

蓉子「わん!」

聖(くっ、駄目だ。蓉子が台詞言う度に、吹く)

 桃のカプセルから召喚獣が生まれました。
 二匹目。
 それは俊敏そうな猿でした。

祐巳「う、うき〜」

聖「……ええと」

祐巳「ち、違いましたか? 今日は私が猿なんですけど『うき〜』じゃなかったですか?」

聖「猿なんだ。犬と猿逆の方が――」

蓉子「がるるるるる……」

聖「(急にわざとらしく)なんて、思ってるわけないじゃないっ!」

祐巳「あ、あの。『うき〜』でいいでしょうか?」

聖「いいよ。祐巳ちゃん可愛いから」

蓉子「がるるるるる……」

聖「ちょっと。今の何が不満なの?」

蓉子「『スピンフォール』!」

 蓉子の必殺技が炸裂しました!

聖「ぐえええっ!!」

【しばらくお待ちください】

聖「暴れないでっ! 次っ! 次っ!」

蓉子「わん!」

祐巳「うき〜」

聖(くっ、蓉子にボケを担当させたら容赦ないから怖い……)

 桃のカプセルから召喚獣が生まれました。
 三匹目。
 それは華麗な雉でした。

志摩子「ケーン!」

聖「何それ」

志摩子「(顔を赤らめ)き、雉です……普段、ウサギしかやらされたことがないので、慣れてないのでこうなりました」

聖「まあ、雉をやりなれてる高校生なんて普通いないから」

志摩子「(目をうるませて)ご、ご迷惑でしたか?」

聖「そんなことはないよ」

蓉子「がるるるるる……」

聖「普通に妹と会話して何が悪い!?」

蓉子「美女を泣かせるのは禁止!」

祐巳「蓉子さま、面食いですからね〜。私はどうなってもいいんですよね〜(いじけモード)」

蓉子「そ、そんなことないわよ、祐巳ちゃんは祐巳ちゃんで抱き心地がいいし、可愛いもの」

 蓉子は祐巳の肩を優しく抱きました。

祐巳「ホントですか?」

蓉子「(祐巳の耳元で小声で)でも、祥子利権で抜け駆けは許さないから」

聖(こ、怖い……)

聖の母「あら、聖ちゃん。召喚獣が生まれたのね。じゃあ、吉備団子あげるから、とっとと鬼退治をしてらっしゃい」

 聖は母から吉備団子を三つもらいました。

聖「ちょっと待った。展開が早いっていうか、保護者なら子供が危ないことをやろうとしてるんだから、止めて」

蓉子「桃太郎役を止めるバカな親がどこにいるの?」

祐巳「ここでコントだけで終わったらそれはそれで『私得』ですけどね」

志摩子「あの、雉ってどうやって鬼を倒せばいいんですか?」

蓉子「現場についたら指示があるから、適当でいいわよ、適当で」

聖「ひどい! 負けたら桃太郎の責任になるのに」

蓉子「あなたは『佐藤聖』だからそこまで期待されてないから大丈夫よ」

聖「本当に今日の蓉子は鬼畜だ!」

蓉子「違う。『犬畜生』」

聖「だ、誰がうまいことを――」

 そんなこんなで鬼が島につきました。

聖「移動も宣言してないのに、早っ!!」

 判定のいらない移動は『○○に移動しました』で移動可能なのはお約束です。

聖「はあ。ところで、鬼はどこ?」

景「来たな! 桃太郎め!」

聖「はっ! 鬼に見つかった! 水鉄砲攻撃!」

 それは【No:3331】のネタです。

静「そんなもの、効きません! 『旋風棍』!!」

 静の必殺技が炸裂しました!

聖「がふっ!!」

栞「『疾風拳』!!」

 栞の必殺技が炸裂しました!

聖「がはっ!!」

景「『グリフォンアッパー』!!」

 景の必殺技が炸裂しました!

聖「ぎゃううっ!!」

景「桃太郎、あっけなかったわね」

聖「ちょ、ちょっと待った。犬と猿と雉は何をしてるわけ? 私、ボコボコにやられてますけど」

蓉子「何言ってるのよ。私たちは召喚獣なんだから、呼んでくれなきゃ活躍できないわよ」

聖「あんなに露出してるのに一々戦闘の時は呼び出さなきゃいけないってどんだけ不便なんだよ、召喚獣!」

蓉子「で、呼び出すの? 呼び出さないの?」

聖「呼ぶ! 呼びます! って、いうか、助けてください!」

 聖は犬、猿、雉を召喚しました。

蓉子「フン、雑魚が。名乗らせる前に片づけてやるわよ!」

静「ちょっと待ってください! ゲストで呼ばれてるんだから、名乗らせてくださいよっ!」

景「うわーっ、どっちが鬼だかわからないっ!!」

栞「非道! 正に非道!」

 台詞の前に名前は出てますが(笑)

蓉子「行くわよ、祐巳ちゃん! 志摩子!」

祐巳「うき〜!」

志摩子「ケーン!」

蓉子「わんわん!」

聖「ストーップ!! 蓉子、さっきの必殺技は? 私のこと沈めたどっかから引っ張ってきた技があったよね? なんで鬼に使わないの?」

蓉子「使ってほしいの?」

聖「そりゃそうでしょう」

蓉子「仕方ないわね。『M・スプラッシュローズ』!!」

聖「って、私に使うなああぁっ!! (コテ)」

 聖は倒れました。

志摩子「おっ、お姉さま……いやあっ!! お姉さまが死んでしまったわっ!!」

聖「いや、生きてますけど」

志摩子「草葉の陰から見守っててください、お姉さま! 敵を討たせていただきますっ!!」

聖「だから、死んでない、死んでない。それに攻撃したのは鬼じゃないし。(いや、鬼より怖いけど)」

志摩子「『花蝶扇』! 『陽炎の舞』! 『真・花嵐』!!」

 志摩子の必殺技が炸裂しました!

静「そ、そんな連続技、卑怯よ! (コテ)」

 静は倒れました。

景「ゲージを無視するとは…… (コテ)」

 景は倒れました。

栞「ガードしたから大丈夫」

 栞はまだ立っています。

祐巳「じゃあ、しゃがみパンチキャンセル『クラックシュート』!」

 祐巳の攻撃が炸裂しました!

栞「マニアの技を使わないで〜っ! (コテ)」

 栞は倒れました。
 鬼を全滅させました。

聖「勝ったからめでたしめでたしでいいよね」

蓉子「何言ってるのよ。桃太郎といえば財宝でしょう?」

聖「財宝って、この鬼は財宝持ってるの?」

志摩子「……お姉さま、財布を漁ってみましたが、それぞれ、二千円、千円、五百円でした」

聖「不良中学生のカツアゲみたいな真似はやめなさいっ!!」

 聖は慌ててお金を戻しました。

蓉子「ちょっと、タダ働きさせるわけ?」

祐巳「うう、なんてひどい雇用主なんでしょう。雇用契約違反で裁判所に訴え出ていいでしょうか」

蓉子「優秀な弁護士の先輩を紹介するわ」

聖「人聞きの悪いことを言うな! みんな召喚獣でしょう」

蓉子「何言ってるのよ。今どき無償でご主人さまに尽くすなんて幻想もいいところだわ」

聖「うっ」

志摩子「お姉さま、刑務所に入ることがあったら慰問に行きますね」

聖「そこまで話は進んでるのかっ! ……いや、待った。大事なことを忘れていた」

 聖は召喚獣に吉備団子を一つずつ差し出しました。

蓉子「仕方ないわね。いいわ。今回はこれで勘弁してあげる」

祐巳「じゃあ、お姉さまのところへ戻ろうっと」

志摩子「乃梨子が待ってるから行かないと」

 召喚獣は帰っていきました。

聖「ふー、なんとか助かった」

 聖がほっと一息ついたときでした。

栞「……うう」

景「あ〜、ひどい目にあった」

静「ま、まだまだやれるわ」

 なんということでしょう。
 逃げ遅れた佐藤聖と復活した鬼の目があいました。

聖「ちょ、ちょっと待った」

栞・静・景「はあっ!?」

 その後、聖がどうなったのかは伝わっていません。
 これで、この物語は終わりです。

蓉子「きっと聖のことだから、ハーレムエンドにでもなってるわよ」

祐巳「主人公補正ってどこにでもありますからね」

志摩子「いいわ。私には乃梨子がいるから」

 現実。

栞「聖、今日の夜はシチューが食べたい」

静「私は豚の生姜焼きがいいんだけど」

景「ちょっと、まだ洗濯終わってなかったの!?」

聖「しくしくしくしく」

 こき使われてました。

BAD END


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