ごきげんよう、お姉さま方。
×××
………その少女は、ベッドで目を覚ます。
だが、そこは少女の部屋ではない…
「…夢…違うか…夢だったらどんなに良かったか…」
少女は独り言を言った。返事はおろか話し声さえ、ここには無い。
少女はベッドから起き上がり、テーブルに向かった。
テーブルには弁当箱があり、触ると少し暖かかった
「…暖かい…」
少女は誰が作ったか解らない弁当を食べることにした。
「今日のは、昨日より美味しくない…」
不満を言っても仕方がない。与えられるもの以外は、食べ物がないからだ。
少女は次に冷蔵庫を開けた。
常に補充され、飲み物にも困らなかった。だが、いつも同じものしか入っていないので飽きてきた。
少女は一応、満足すると『館』の外に出た。外と言っても、日の光は存在しなかった。
少女は日課となってしまった花の世話をする。
いつになれば終わるのか、また、いつになればここから出られるのか、色々考えるが意味などなかった。
ここには、まったく人が来ない訳ではなく、少女に会いに来る者はいる。だが『待ち人』ではない。
少女は、来る日も来る日も『待ち人』を待つが、中々来ない。
愛しき人とは何度も語り合い、愛し合った。それはそれで満足のいく生活だった。
少女はこの『施設』に監禁されているわけではなく、自分の意志で逃げ出すことも出来た。だが、愛しき人を思うと出来なかった。
少女は愛しき人の為に『罪』を犯した。大人達は許さなかった。只一人を除いて。
少女は条件付の『罰』として、『待ち人』を待つこととなった。
今日も『待ち人』は来ない…明日は来るだろうか…
少女はいつか来る『待ち人』を夢見て、今日も眠りにつく…
……壊れゆく私……何時になったら……赦されるのだろうか……私は…ただ…愛しい人といたかっただけなのに……