【3377】 壊れゆく私  (弥生 2010-11-08 00:32:17)


ごきげんよう、お姉さま方。
×××

………その少女は、ベッドで目を覚ます。

だが、そこは少女の部屋ではない…

「…夢…違うか…夢だったらどんなに良かったか…」

少女は独り言を言った。返事はおろか話し声さえ、ここには無い。

少女はベッドから起き上がり、テーブルに向かった。

テーブルには弁当箱があり、触ると少し暖かかった

「…暖かい…」
少女は誰が作ったか解らない弁当を食べることにした。

「今日のは、昨日より美味しくない…」

不満を言っても仕方がない。与えられるもの以外は、食べ物がないからだ。

少女は次に冷蔵庫を開けた。

常に補充され、飲み物にも困らなかった。だが、いつも同じものしか入っていないので飽きてきた。

少女は一応、満足すると『館』の外に出た。外と言っても、日の光は存在しなかった。

少女は日課となってしまった花の世話をする。

いつになれば終わるのか、また、いつになればここから出られるのか、色々考えるが意味などなかった。

ここには、まったく人が来ない訳ではなく、少女に会いに来る者はいる。だが『待ち人』ではない。

少女は、来る日も来る日も『待ち人』を待つが、中々来ない。

愛しき人とは何度も語り合い、愛し合った。それはそれで満足のいく生活だった。

少女はこの『施設』に監禁されているわけではなく、自分の意志で逃げ出すことも出来た。だが、愛しき人を思うと出来なかった。

少女は愛しき人の為に『罪』を犯した。大人達は許さなかった。只一人を除いて。

少女は条件付の『罰』として、『待ち人』を待つこととなった。

今日も『待ち人』は来ない…明日は来るだろうか…


少女はいつか来る『待ち人』を夢見て、今日も眠りにつく…





……壊れゆく私……何時になったら……赦されるのだろうか……私は…ただ…愛しい人といたかっただけなのに……


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