※恒例の宣伝SSです。
ネタバレ注意!!
薔薇の館。
「事件です」
「ごきげんよう」抜きに部屋に飛び込んできた乃梨子がそう言った。
「おおっ、乃梨子ちゃんがこの台詞でここに来たって事は――」
中にいたメンバーはいい加減わかっているので盛り上がる。
「集英社BOOKNAVIにて2010年12月28日『マリア様がみてる ステップ』が発売されることがが告知されました」
乃梨子の台詞を聞いて全員がキタ――――(・∀・)――――ッ! と叫ぶ。
【うp主からの忠告】
ここから先はデンジャラスゾーンです。
勘のいい人は2010年12月28日発売の『マリア様がみてる ステップ』がどういう話かわかってしまったり、そのギミックに気づく可能性が高くなりますので、お引き取りください。
「それは、今年のコバルト7月号で載っていた短編だね」
祐巳が確認する。
「はい。短編は『私の巣』のように読み切りから展開した長編になるか、もしくは類似のテーマの書き下ろしを含んだ『バラエティギフト』になりますので、どちらかと見ていいでしょう」
「じゃあ、また環さんや百さんのようなニューキャラで展開していくの? 黄薔薇の出番はあるのかしらね」
由乃がため息をつく。
「えっ」
乃梨子は息を飲み、そして目を伏せた。
「乃梨子、どうしたの」
志摩子が乃梨子の様子を見て尋ねる。
「ええと、皆さん雑誌はお読みには――」
「私は文庫本が発売されるまでは読まないけど」
瞳子が答える。
「私もです」
菜々が相槌を打つ。
「私は主人公特権で自分が出てないCDも貰った」
「それは中の人のネタじゃないですか!」
祐巳の中の人は自分の出てないコバルトの全プレのCDをもらったことがあるらしいです。
「私は雑誌も読むわよ」
「私も」
と答えたのは志摩子と由乃だった。
「ま、待ってください。これ以上は『ステップ』を読む楽しみとギミックを台無しにしてしまうほどの強烈なネタバレになってしまう可能性が――」
「どうして?」
志摩子は微笑んで聞く。
「ええと、ですから、その――」
「コバルト7月号の『ステップ』を読んだけど、何がどうしてネタバレになってしまうのかしら?」
「ええっ!!」
乃梨子はうろたえた。
(読んだはずなのに『気づいて』ない人もいる。って、いうか、ここにいる人で『気づいて』いるのはおそらく私一人。私さえ口をつぐんでしまえばネタバレは起こらない……しかし、『ステップ』は『マリみて』主要登場人物に密接に関係のある話で、その人物のファンには絶対に買ってほしい、読んで欲しい物語……駄目だ、やっぱり言えない……○○が☆☆の◇◇だなんて)
「そういえば、このうp主さんブログにコバルト7月号の感想書いてたわよね」
瞳子が思い出す。
「馬鹿っ! そんなことは思い出しちゃいけないっ!! あれは『気づいた』ら面白さが半減するのにっ!!」
いつもと違う乃梨子の強い口調に全員が驚く。
「あ、あのう。乃梨子さまは一体何をご存知なんですか?」
「……」
「乃梨子。正直に言って頂戴。一体何が起きたの?」
志摩子に問い詰められ、乃梨子は差しさわりのないことを語ることにした。
「このうp主さんはある主要キャラクターの周辺人物としか今は言えない人物二人を使ってSSを書いていました。ところが、『ステップ』が発表され、うp主さんは驚いたそうです」
「回りくどい言い方ね。で、何がどうして驚いたわけ?」
由乃が促す。
「なんと『ステップ』はそのうp主さんが書いていた二人の登場人物を彷彿とさせる二人のエピソードで、うp主はいくつかのキーワードによって前半で『気づいて』しまいました。そして、後半の盛り上がり部分は正に『志村ーっ、後ろーっ!!』状態だった、と。うp主はショックのあまりネタバレと称して作者が特定していない書き方なのに○○が☆☆の◇◇だと自らのブログに曝したそうです」
「乃梨子ちゃん、これってうp主のサイトの宣伝?」
祐巳が突っ込む。
「違います! 2010年12月28日『マリア様がみてる ステップ』が発売されるという宣伝SSです!」
「ええと、それで何がどうネタバレなの?」
「『気づいて』なければいいんです。ええ。『気づいて』ない方が幸せなこともありますから」
乃梨子もまた『気づいて』しまった一人であった。
「ええと、よくわからないけれど、ネタバレにならないように2010年12月28日『マリア様がみてる ステップ』発売って連呼すればいいだけだったんじゃないの?」
由乃が突っ込む。
「そ、それはそうですけど……」
「もう、そんなわけのわからないうp主の愚痴なんて放っておいて、みんなが出られるかどうかの予想を立てましょう」
皆に由乃が話題を振るが。
「うわわわわわっ!!」
乃梨子は動揺する。
「だから、乃梨子はどうしちゃったの?」
瞳子が乃梨子を押さえつける。
「お願いです。今日はどうしてもこれ以上は2010年12月28日『マリア様がみてる ステップ』発売の話はやめてください」
「乃梨子さま、どうなさったんですか。2010年12月28日『マリア様がみてる ステップ』発売の宣伝SSで2010年12月28日『マリア様がみてる ステップ』発売の話題をやめろだなんて」
菜々が呆れる。
「乃梨子がそこまで言うのであれば、一度棚上げしましょう」
志摩子がため息をついてそう言った。乃梨子は泣きそうになっていた。
「仕方ない。『お釈迦様もみてる』の話題でもするか」
「そういえば、前回由乃さんが『お釈迦様もみてる』で祐麒と電話で会話してたよね」
祐巳が話題を振った。
「ええ。そっちが来るかと思って、実は用意していたらしいわ。お姉さまの誕生日と発売を記念して……その……わ、私が超時空シンデレラとして、お姉さまに『星間飛行』を歌って踊るというSSだったらしいけど、見事にお蔵入りしたそうよ」
内心ほっとしたように志摩子が言う。
「まあ、『お釈迦様もみてる S-キンシップ』もフタを開けたら家族がテーマで『私の巣』を意識したような話だったじゃない?」
「うわわわわわわわわっ!!」
乃梨子がまた叫ぶ。
「ど、どうしたの?」
由乃が聞く。
「もう、やめてくださいっ!!」
乃梨子がなぜ醜態を曝しているのか。
それは、今の時点では雑誌で『ステップ』を読んで『気づいて』しまった人にしかわからない話だったが、もし、あなたが2010年12月28日発売の『マリア様がみてる ステップ』を読み、『気づいて』しまうか、作者がご親切に○○は☆☆の◇◇と教えてくれると納得します。