※全力で宣伝と称するネタ話です。ごめんなさい。
某所。
久保栞がとあるサイトの記事を読んでいる。
『マリア様がみてる』全国順次ロードショー中。
「まだやってたんだ。ふうん」
なんとな〜くリンクが張ってあったのでクリックしてみた。
「これは……」
2/19から小田原、山形、福井、小倉で上演するらしい。
「あれ。東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、北海道、福岡だけじゃなかったの?」
栞は慌てて実写映画オフィシャルサイトに飛んだ。
東京終了
千葉終了
埼玉終了
茨城終了
群馬終了
愛知終了
岐阜終了
大阪終了
佐賀終了
北海道終了
静岡上映中
兵庫上映中
(2/6現在の情報です)
「うわ、いける所の終わってるじゃないの〜」
ガクッ、と栞は机に突っ伏した。
「あ、でも。福岡は一回上映終了した後小倉で2/19からやるって事は一回終わっても希望があるって事……いや、それでも小倉は遠いわ〜」
突っ伏したままグリグリと首を左右に振ってしまった。これは痛い。
「いたたたた……でも、上映やってるなら宣伝担当の人もちゃんと言ってほしいのに、どうしてサボるわけ? そんなに私に聖の姿を見せたくないわけ?」
しばし考えていた栞だが、意を決したように立ち上がった。
「宣伝の人に会いに行こう」
某SS収録スタジオの薔薇の館のセット。
「では、次のシーンお願いします」
「はーい」
薔薇の館の会議室で静と乃梨子、祐巳、由乃が、扉の向こうで祥子がスタンバイしている。
「すみませ〜ん」
そこに栞が乱入し、収録は中断した。
「こ、困りますよ。出演予定のない人が来られても」
祐巳が慌てる。
「宣伝担当の方、いらっしゃいますか?」
無視して栞が言うと全員が乃梨子を見た。
「なんで私が宣伝担当になってるんですか? 出てない時だってありますよ」
乃梨子は反論するが、栞は続ける。
「前回【No:3285】の映画の話はあなたとその妹さんでしょう?」
「たしかにそれは否定しませんが――」
「どうして今も上映が続いていて、うちの近くに来ているって教えてくれなかったの。おかげで見逃したじゃないの」
「待ってください。栞さまって今どちらにお住まいなんですか?」
「由乃さん、そこは今触れるべきところじゃないと思う」
由乃の質問を祐巳が取り下げた。
「私は渡された台本通りやり遂げたのに何故責められなくてはならないのです」
意味がわからない、というように乃梨子は首をかしげる。
「あの、私普段はイタリアだから事情がイマイチ呑み込めないのだけど、ロードショーとは大都市などで先に公開して好評だったら地方で順次公開するって意味でしょう? 何がどう問題なの?」
静が突っ込んだ。
「宣伝担当なのにヒドイ! 自分は地方都市に住んでてちゃっかり去年の公開直後に見たからって地方公開情報は手を抜くだなんて」
「手を抜くとは聞き捨てならないわね」
扉を開けて祥子が乱入してきた。
「本気で宣伝する気なら方々でアフィリエイトのタグ貼りながら書いた方が率がいいに決まってるでしょう。これはある程度はネタとして皆さまと盛り上がろうという趣旨でやってるのよ。掲示板っていうのは多くの人と交流して楽しむものなの。無双状態なんてつまらないとは思わなくって?」
自重できない性格で本当に申し訳ありません。
「だから、ロードショーの情報は各自でオフィシャルサイトを小まめにチェックしてって【No:3285】もそういう趣旨だったはずでしょう?」
書き方が悪かったんです。ごめんなさい。
「とにかく言うべきことだけは言っておくわ。『マリア様がみてる』実写映画はまだまだ全国ロードショーが続いています。上映館の情報や日時はオフィシャルサイト及び上映映画館でお確かめの上お運びください」
「お願いしまーす」
と祥子と祐巳は締めくくった。
「と、いうわけでこれから収録があるからお引き取りを」
「ううっ、私がチェックしてないのが悪いみたいじゃないの〜! ヒド〜イ!!」
泣きながら栞は立ち去った。
「……という事があったのよ、ひどい話でしょう? ヒック」
ヤケ酒ならぬヤケ甘酒をあおって栞は言う。
「ま、まあ。普通にうpしてもしばらく後に読まれることも結構あるのでもう気になさらない方がいいのではないでしょうか」
愚痴を聞く志摩子は優しく栞をなだめる。
「うわ〜ん、聖見たかったのに〜っ!!」
(どうしましょう、この方)
まだ寒さが続く今日、ヤケ甘酒を片手に愚痴る栞を志摩子はそっと抱きしめ慰めるのであった。