【3495】 パエリアの物まねを  (bqex 2011-04-26 23:08:58)


【これ】【No:3502】【No:3507】【No:3514】【No:3522】【No:3542】
■『パエリア』って入ってるキーが多い件■


青田三津夫(以下、青田先生)「ごきげんよう」

水野蓉子(以下、蓉子)「ごきげんよう」

青田先生「突然だが、ここの掲示板には『パエリア』と入っているキーが多いとは思わないかね?」

蓉子「本当に突然話題を振りましたね」

青田先生「疑問には思わないかね? 『マリア様がみてる』は東京武蔵野を舞台にした話で、スペインとは縁もゆかりもないのになぜこんなに『パエリア』というキーが入っているのだろうと」

蓉子「何個入っているか数えたんですか?」

青田先生「ランダムで出てくるシステムなので数えたわけではないが、以前『パエリア』を含むキーが3つ揃ってね。うp主は『これは書かねば』と張り切って押さえたのだそうだよ」

蓉子「お言葉ですが、こちらの作者の作品に今まで『パエリア』を含むタイトルのものはありませんが」

青田先生「押さえたまではよかったのだが、何を書こうか思案している間に発売情報を得てしまい、恒例のアレを書くためにキーを流したそうだ」

蓉子「では、これはリベンジということなんですか?」

青田先生「いや、そこまでの思い入れはない」

蓉子「嘘でもあるって言ってくださいよ」

青田先生「そのときは何を書けばいいのか漠然としか思い描けなかったから流しても仕方あるまいくらいに思っていたらしい」

蓉子「あの、嫌な予感しかしないんですが、話が進まないのではっきりさせましょう。この話はどこへ向かうんですか?」

青田先生「この話はB級SSの書き方を紹介するもので、あわよくばシリーズ化しようという野望を持っているそうだ。実におこがましいだろう?」

蓉子「『パエリア』関係ないじゃないですか。そんな需要のないSSを上げて貴重な容量を削るのはやめるべきです」

青田先生「不評だったら『シリーズ化? 何のことかな』と忘却の彼方へ消し去るつもりだ。この掲示板に思わせぶりな連載SSが数多うpされ、中断のまま作者自身とも連絡が取れなくなってしまったというケースが多いので紛れさせてしまえば気付かれないだろう」

蓉子「他人さまの中断云々の前にこの作者こそ自分の連載を終わらせてください! そもそも、B級ってなんなんですか。どうせならもっと上手い人のコツを知りたいと皆さんお思いですよ」

青田先生「うp主がどうあがいてもせいぜいB級レベルなのだからそこは妥協してもらいたい。プロの作家のようなS級、上げるSSは必ず大ヒットのA級レベルの皆さんには邪魔で仕方がないものだろうが、まあ、そこは生暖かい目で」

蓉子「どうせ私が止めたってこのうp主はやっちゃうときにはやっちゃう人ですから、もうそれは諦めています。ですが、どうして私が呼ばれなくてはならないんですか?」

青田先生「何を言っているんだ。水野君は中等部の頃一斉クラブで文芸部に所属していただろう」

蓉子「そ、それはどこかに必ず所属しなければならなかったからでして――」

青田先生「読書部もあるのに、わざわざ書く方の文芸部に所属していたのは事実。『イン ライブラリー』の『桜組伝説』や単行本未収録の短編を読めば文芸部が文芸作品を書き発表する部であることが充分に理解できることぐらい、君ならよく理解しているはずだ」

蓉子「……若気の至りということにしていただけませんか?」

青田先生「では、君が若気の至りで俗にいう『BL小説』を書いていた中等部の頃のことを思い出しつつB級SSの書き方を紹介しよう」

蓉子「勝手に変な設定を付け加えないでくださいっ! これをお読みの皆さん、私水野蓉子は『BL』なんてものには手を出してはいません! この作者によるでっち上げですから信じないで〜」

青田先生「おやおや。君が『BLには手を出していない』と原作で述べられていないのに否定するのかね?」

蓉子「だから勝手に私をBL好きに仕立て上げるのはやめてください!!」

青田先生「まあ、BL好きかどうかはこれをお読みの皆さんの判断に委ねるとして、準備にとりかかろう」

蓉子「良識あるがちゃS住民の皆さんは私を信じてくれてると思いたいわ。変な派生作なんてあげたら許さないわよ!」



■話を書く下準備■


青田先生「まず、用意するものとして、パソコン。なかったらスマートフォンでも携帯電話でも構わないがとにかくwebでSSが発表できるようにする」

蓉子「そこからですか! 『手作りチョコを作るからカカオの木を育てろ』というノリですよ」

青田先生「次に用意すべきは日本語変換ソフト」

蓉子「日本国内で買えばどれもほぼ標準でついてますっ。そんな心配なさらないでください」

青田先生「7x64を導入したのだが、web上で『マイクロソフトのIMEはバージョンダウンしてる』と揶揄されていたとおりで、まさかあんなじゃじゃ馬だとは思わなかった。ATOKはいい変換をしてくれるが、親切すぎて書き手独特の味が削がれてしまう。やむを得ずgoogleIMEを導入したが、一般的に多い勘違い変換が多くて閉口している。Japanistは7x64環境では手に入らないのだろうか」

蓉子「このSSの作者の感想は結構です」

青田先生「最後に用意するのはテキストエディタ。これは全体を見直すのに便利である上、置換や検索機能などもついているので修正作業が楽である。万が一ブラウザからセーブデータが読み込めなくなっても媒体に保存しておけば書き上げたSSが失われるリスクを回避できる。こういったソフトで書き上げてからテキストコピーし、入力欄に張り付けて、確認後うpするのがうp主流なのだよ」

蓉子「その割にはこのSSの作者、誤字脱字が目立ちますが」

青田先生「こそっと修正しているのはここだけの話」

蓉子「堂々と語らないでください」

青田先生「一方、携帯電話の場合だが、メール入力モードかメモ機能を活用して書いておくと携帯本体にセーブできるのでそちらを活用する。がちゃSに投稿する場合はテキストコピーか引用を使って貼り付ければいい」

蓉子「お言葉ですが、某社の携帯電話はこちらに限らず掲示板などに書きこむときは1000文字程度で限界になりませんか?」

青田先生「そういう場合は1000文字でなんとかしている。例えばこのように」





例1

 ある日乃梨子が志摩子に聞いた。

「志摩子さん、今希望してることってある?」

「乃梨子が幸せなことかしらね」

 志摩子が微笑んで答えると、乃梨子は困惑したように言った。

「いや、もうすぐ姉妹になって一年でしょう? だから、何かしようかなって、思ったんだけど」

 すると志摩子は切り出した。

「その件なら父の知り合いのお寺の秘仏を観に誘おうと思っていたのよ」

「わっ、嬉しい! 行く行く!」

 興奮する乃梨子を見ながら志摩子は言った。

「ふふ、私も私の希望がかなって嬉しいわ」

 乃梨子にとって薔薇の館の空気の暖かさがよくわかる春の日になった。





蓉子「これをSSと言い張りますか」

青田先生「B級だから仕方がない。さて、web投稿環境が整ったら今度は具体的にどういう内容の話を書くかを決めていく。しかし、媒体によって話の向き、不向きがあるので注意が必要だ」

蓉子「あるんですか?」

青田先生「字数制限がなかったとしても、携帯電話やスマートフォンでの文字入力は細かい作業なので大量の文字を入力するには骨が折れる。そういった媒体で説明を要する設定のあるパラレルものやフォローが必要なネタはその分だけ字数を割いてしまい入力しているだけで大変だ。ところが、そういう説明がほどんどいらない補完ものや小話は内容に字数を割り当てられる」

蓉子「たしかに『幻想曲シリーズ』(【No:2956】から)の『※注意事項※登場人物が天に召される描写があります。パラレルワールドを題材にしています。』の注意書きは煩わしいものがありましたよね」

青田先生「煩わしいは言い過ぎではないのかね。うp主が泣いているようだが」

蓉子「そのまま泣かせておきます。撤回しません」

青田先生「まあ、それはさておき。先程も触れたが字数制限のある媒体しかない場合は限られた字数内で書く。必要な部分と不必要な部分との取捨選択や展開のペース配分などに気を使えば意外と書けるものだ」

蓉子「ここのSSの作者は書けることは書けますが、中身は面白くないじゃないですか」

青田先生「水野君、それくらいにしておかないとうp主が倒れてしまうぞ――」

蓉子「それでいいです」

青田先生「では、うp主は放置の方向で。なんとなく方向性がまとまったら、実際に書く前に世界観にまつわる設定を決める。これは長い短いに関係がなくしっかりとやっておくべきことだ。例えばゴロンタが『僕と契約して魔法少女になってよ』と当たり前に言い出す世界であれば魔法で何でも解決できるので医者も警察も軍隊もマギー司郎もいらないという設定になる」

蓉子「いつもいつも旬を過ぎてから使うのやめてくださいっ! それと何故最後に実在の人名が出てるんですかっ!」

青田先生「マギー審司の方がよかったのかね?」

蓉子「論点がずれてます」

青田先生「とにかく、設定はしっかりと決めておく。本編の設定をそのまま利用する場合は自分できちんと把握できているかを表にまとめたり、箇条書きにしておく。『水野君は佐藤君の嫁』などがそれに当たる」

蓉子「それは二次創作の設定です! 有名になりすぎて大変なことになっているんですから自重してください」

青田先生「照れずとも――」

蓉子「照れてるわけじゃありません! 話を戻してください!」

青田先生「チッ……本編の設定とは違う、例えばパラレルやクロスオーバーなどで説明を要するものは設定を変えたことにより受ける影響がどうなっているかをよく考えてチェックする。作中には出なくても、きちんと設定出来ていないと言動が曖昧になったり矛盾してしまうからだ。例えば『幻想曲シリーズ』では、『支倉君がいない卒業式で小笠原君が送辞で号泣したとき、誰がどのような行動をとったか』や『福沢君が一年生で次期薔薇さまになった時にバレンタインイベントはどうなったか』が実は設定されている」

蓉子「そんなもの作中には全く登場しませんでしたよね?」

青田先生「読者が読みたいのは設定ではなくあくまでストーリーなので、披露できない設定があっても当然と割りきって載せないもののほうが多い。『もしも桂さんが勇者だったら』では作中で設定を延々と語ってみたが、冗長になって面白くなかった。(【No:3054】)つまり『マリア様の野球娘。』の【No:3182】、【No:3195】のズロースの話は必然だったと――」

蓉子「いきなり懐かしい話の言い訳はやめてくださいよ! どう考えたってあれはネタじゃないですかっ!」

青田先生「うp主が入院寸前だ」

蓉子「このSSが書き続けられてるってことはピンピンしてますから!」

青田先生「世界観の設定が終わったので、続いて登場人物の設定を行う。登場人物というが、人間以外のゴロンタでもなんでも意思を持つものであれば『登場人物』という用語で表現する」

蓉子「キャラクターといえばいいんじゃないですか?」

青田先生「まあ、そのキャラだが、長編で展開して大人数になったとしても主要キャラというのは自然と決まってしまい、残りはゲストか空気扱いになってしまう」

蓉子「最近、本編で出番が……うう」

青田先生「大人数になると読者は覚えきれないので、設定は必要なキャラのみにする。だから、今回は鳥居江利子君のことは忘れたまえ」

蓉子「いくらこのSSの作者のブログでやってる人気投票で未だに一票ももらってないとはいえわざわざここでそんな風に名前だしちゃ可哀想じゃないですか!」

青田先生「人気投票には『青田三津夫』を追加でよろしく頼むよ」

蓉子「何の宣伝をしてるんですかっ。宣伝は新刊が出た時ぐらいにしてくださいよっ」

青田先生「なにはともあれ、キャラは重要な要素の一つ。本編とは違う設定になる場合はきちんと確認して覚書する」

蓉子「宣伝の件は流しますか」

青田先生「設定をそのまま使うときであっても話を作る前にキャラの整理をしておく。整理と言っても鳥居君をどこかへ捨ててくるという意味ではない」

蓉子「誰もそんな意味に取りませんよっ! 江利子ネタを引っ張るのやめてくださいっ!」

青田先生「整理とは具体的にはどんな性格なのか、どんな肩書きでどんなポジションなのかというものを書きだしたりして把握することであり、『マリみて』の主要キャラならばこうだ」





福沢祐巳    百面相子ダヌキ
小笠原祥子   ヒステリーお譲さま
島津由乃    イケイケ青信号
藤堂志摩子   ギンナン天然ボケ
佐藤聖     セクハラ親父
水野蓉子    堅物ツッコミ係
二条乃梨子   仏像ガチ百合
松平瞳子    ツンデレドリル
有馬菜々    冒険剣道娘
武嶋蔦子    カメラメガネ
細川可南子   ストーカー
蟹名静     歌う黒薔薇
青田三津夫   尊敬に値する中等部の教師





蓉子「案の定江利子と令を外しましたね! 全体にひどすぎます! カメラメガネ辺りは適当すぎるじゃないですか! 私のことを堅物ツッコミ係って何だと思ってるんですか! 最もひどいのはどうして先生が主要キャラに入っていて、『ミッフィーちゃん』ではなく『尊敬に値する中等部の教師』になってるんですか!?」

青田先生「いや、本当はもうちょっと詳しく整理してあるのだが、お見せできないほど残念な内容だからね」

蓉子「このSSの作者はどれだけスカポンタンな発想の持ち主なんですか!」

青田先生「……知りたいのかね?」

蓉子「触れないほうが賢明なのはなんとなくわかります。私のところには『紅薔薇仮面』って紅で書いてありそうな気がしますから」

青田先生「水野君の続きの記述は『多分着痩せするタイプ。ダメダメな男に引っかかりそうで将来が不安』と書いてある」

蓉子「今までのこの作者のSSでその記述の何がどう生きてるんですか!」

青田先生「鳥居君なんか『凸』しか書かれてないんだ。こんなに書いてもらって不平を言うのは贅沢というものだろう」

蓉子「だから、江利子ネタはもう引っ張らないでくださいよ! この話はいいから、さっさと次をお願いします」

青田先生「青田三津夫は『中等部――』」

蓉子「いい加減にしてくださいっ!」



■いざ、書こう■


青田先生「いろいろな設定を確認し、書きたいことを思い描けたらたら実際に執筆する」

蓉子「ようやくですね」

青田先生「このうp主は最後の着地点を決めてからどういう展開にするかを思い描く。今回は『姉妹仲良く』という着地点を決め、そこに向かって展開していく」

蓉子「ややこしいですね」

青田先生「水野君、君は『Aメロ』『Bメロ』『サビ』という言葉を知っているかな?」

蓉子「あの、音楽用語ですよね。失礼ですが作品をお間違えではありませんか?」

青田先生「いや、間違ってはいない。音楽では俗に『Aメロ』、『Bメロ』、『サビ』といわれているものがあり、組み合わさって構成されている」

蓉子「文学の世界でも『序破急』といいますが――」

青田先生「そんなプロのようなきちんとしたものが書けるようであればもうB級ではない。B級らしく『Aメロ』を【A】、『Bメロ』を【B】、『サビ』を【ヤマ】として説明する。そうすると着地点から決めるというのは『サビ』を決めるようなものなのだ」

蓉子「なんとなくわかるような、わからないような感じですね」

青田先生「ここで例2を見て欲しい」





例2

【A1】

 ある日乃梨子が志摩子に聞いた。

「志摩子さん、今希望してることってある?」

「乃梨子が幸せなことかしらね」

 志摩子が微笑んで答えると、乃梨子は困惑したように言った。

「いや、もうすぐ姉妹になって一年でしょう? だから、何かしようかなって、思ったんだけど」

 すると志摩子は切り出した。

「その件なら父の知り合いのお寺の秘仏を観に誘おうと思っていたのよ」

「わっ、嬉しい! 行く行く!」

 興奮する乃梨子を見ながら志摩子は言った。

「ふふ、私も私の希望がかなって嬉しいわ」

 乃梨子にとって薔薇の館の空気の暖かさがよくわかる春の日になった。

【A2】

 ある日瞳子が祐巳に聞いた。

「お姉さま、なにかしてほしいことはありませんか?」

「特にないけど。どうして?」

 祐巳が聞き返すと瞳子はちょっと怒ったように返した。

「お姉さまは鈍すぎです。お姉さまのお誕生日に何かプレゼントしようと思ったのに、察してくださらないと」

 すると祐巳はこう提案する。

「そういうことなら遊園地でデートしよう」

「おっ、お姉さまがそれでよろしいなら」

 頬を染めて照れる妹に祐巳は答えた。

「もちろん、いいに決まってるじゃないの」

 瞳子にとって薔薇の館の空気が夏のように暑く感じられる日になった。

【B】

 ある日菜々が由乃に聞いた。

「お姉さま、なにか欲しい物はありませんか?」

「『鬼平犯科帳』のDVDBOX」

 由乃にとって薔薇の館の空気が黄薔薇革命の起こった初冬の日を思わせるものとなった。

【ヤマ】

 妹の異変を察知した由乃は尋ねた。

「ちょっと、どうしたっていうわけ。『欲しい物があるか?』って聞かれたことにちゃんと答えたじゃない。何が不満なの?」

 すると、菜々は始め小声でぶつぶつと言っていたが、意を決し、向き直った。

「お姉さまは意地悪です。『鬼平犯科帳』のDVDBOXだなんて誰だって用意できるじゃないですか」

 その言葉でおおよそのことを察した由乃は菜々の肩を抱いて言う。

「それは失礼したわ。でも、ただ『欲しい物があるか?』だけ聞くあなたも悪いのよ。そういう時は『私から』ってちゃんと付け加えなさいね」

「そ、それは……その……そういう事くらいお姉さまならおわかりかと……」

 いつもと違う展開にしどろもどろとなる妹を見て満足気に由乃は呟いた。

「もう、充分もらったわ」

 菜々にとって薔薇の館の空気が春の盛りと思えるものになった。





青田先生「【A1】を雛形に【A2】と繰り返して展開し【B】で一度落として【ヤマ】で締める。また、『マリみて』の特徴である『三薔薇』を対比させることにより【A1】と【A2】の展開から【ヤマ】を期待させるという展開にしてみた。これにより【A1】と【A2】とは違うアプローチになり『姉妹仲良く』という筋立てでありながら単調な三段構成であるという印象を薄めてみた。また、各パートのイントロとアウトロを対比させて同じ作品内に収めても違和感がないように努力してみた」

蓉子「【ヤマ】は短めですね」

青田先生「バランスはどこにどう重きを置くかにもよって変わってくる。次の例を見てほしい」





例3

【A1】

 薔薇の館で白薔薇姉妹がなにやら話している。どうやらデートの話らしい。

【A2】

 その隣で紅薔薇姉妹もなにやら話している。こちらもデートの計画のようだ。

【B】

 以前菜々は由乃さまに「私は、いくらでも由乃さまとデートできますもん」と言ったことがあるけれど、姉妹になってからはデートなんてすっかりご無沙汰だ。山百合会でも部活でもいつも一緒だけど、紅と白の姉妹がデートの話で盛り上がっているのを聞くとたまにはって思う。

 由乃さまの耳にも紅と白の姉妹の会話はしっかりと聞こえているはずだ。

 菜々は切り出した。

「お姉さま、なにか欲しい物はありませんか?」

「『鬼平犯科帳』のDVDBOX」

 って、即答ですか。

 紅と白の姉妹の会話をスルーしますか。

 しかも二人で一緒に行って選ぶ服とか、どこかで一緒に食べられるスイーツじゃなくて、どこにでも売ってるDVDって。

 ご自宅で令さまと一緒にご覧になる気ですか。ああ、そうですか。

【ヤマ】

「ちょっと、どうしたっていうわけ。『欲しい物があるか?』って聞かれたことにちゃんと答えたじゃない。何が不満なの?」

 異変を察知したらしく、由乃さまはそう聞いてきた。

「お姉さまは意地悪です。『鬼平犯科帳』のDVDBOXだなんて誰だって用意できるじゃないですか」

 その言葉でおおよそのことを察したらしく、由乃さまはそっと菜々の肩を抱いて言った

「それは失礼したわ。でも、ただ『欲しい物があるか?』だけ聞くあなたも悪いのよ。そういう時は『私から』ってちゃんと付け加えなさいね」

「そ、それは……その……そういう事くらいお姉さまならおわかりかと……」

 いつもと違う展開にしどろもどろとなる。

 実のない口喧嘩に慣れているせいか、そんな風にされるとどうしていいのかわからない。

 気がつくと紅と白の姉妹がこちらを見ていて、祐巳さまなんかはキャッと悲鳴を上げている

「もう、充分もらったわ」

 由乃さまの悪戯に成功したような顔を見て、悟った。

 やられた。でも、もう遅い。

 菜々の頬は桜のように染まって春真っ盛りになってしまった。





蓉子「待ってください。あれだけ引っ張ってきた白はどこへ行ったんですか?」

青田先生「書いているうちにいらなくなったので削ったまでのこと。書いているうちにこちらの方が面白いと思ったら思い切って変えてしまうのもB級ならでは。プロの作家とは違い、こういうところに自由がある」

蓉子「何を開き直ってるんですか」

青田先生「『姉妹仲良く』というところからは外れていない。例2が対比に重きが置かれているのに対し、例3は【ヤマ】担当の黄薔薇姉妹に重きをおいた。そのため三人称から有馬君視点に変更してある」

蓉子「こんな感じで脱線するから連載が滞るんですね」

青田先生「蟹名君の妹の話かね? あれは主人公姉妹以外は本編に沿って進めていくことになったため、藤堂君が活躍できない分の矛盾と主人公姉妹のための伏線と回収の折り合いが非常に難しいバランスになってしまったのだよ」

蓉子「いっそのこと、可南子ちゃんを妹にしてしまえばよかったんじゃないですか」

青田先生「原作紅薔薇好きのうp主にとって紅薔薇のパラレル姉妹は違和感があり、連載に耐えられないとの判断だからだそうだ」

蓉子「そんなに好きなら、私で遊ぶなと言いたいです!」

青田先生「以上、B級SSがどのように書かれているかの一端を紹介してみた。これが好評でかつうp主が『パエリア』を含むキーに出会えたら第二段が上がるだろう」

蓉子「黒歴史化しそうですが」

青田先生「それでは皆さん、ごきげんよう」

蓉子「皆さま、お願いですから『パエリア』キーを入れてこのSSの作者を助長させないでくださいっ!」


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