あの日生まれた、キミへ。
なにはともあれ、おめでとう。
あの日はね、お母さんは大きな揺れを感じて、そのあとしばらくしたら陣痛が……。
なんて話は、これから一生さんざん聞かされるだろうから、やめとくね。
キミは、何かある度に運命の子って言われるかもしれない。
そうね、ひょっとすると、お誕生日のお祝いをするのもしばらくは大変かもしれないね。
でもだからって、何かの使命を背負って生まれてきた、なんて思わないでほしいんだ。
だって、ボクらにとってはキミが健やかでいてくれるだけで、充分希望なんだから。
そうだよ、キミのおかげで、来年の三月十一日には、おめでとうって言えるんだから。
ごきげんよう、この世へようこそ。よろしくね。