【3529】 12月25日がプレゼントした佐藤聖  (bqex 2011-06-25 13:03:31)


「聖、誕生日おめでとう」

「おめでとう」

「いや、明日だけど」

 「おめでとう」と祝われても何の感慨もない。
 たまたまこの日に世に出され、クリスマスとまとめて祝われるからちょっと夕食が豪華になる日ぐらいの感覚。まあ、貰える物は貰っとくけど。
 はい、と手のひらをこちらに向けて蓉子と江利子が手を差し出す。

「何か?」

「プレゼント」

「普通、こっちにくれるものじゃない?」

「何言ってるの。普段からいろいろしてあげてるんだからこっちが貰わないと」

「そうそう。こんな厄介で面倒くさいひねくれ者に付き合ってあげる奇特な人に感謝してもバチは当たらないわよ」

「あげない」

 笑いながら思い切り二人の手のひらを叩いてやる。二人とも痛がってるけど本気ではない。

「はいはい、ありがとうございます」

 と蓉子が痛さを飛ばすように手をふる。

「痛いの好きだっけ?」

「今くれたでしょう」

「何を」

「佐藤聖」

 そうきたか。

「大して欲しいものじゃないけど、捨てるのも厄介だから貰っておくわ」

 気だるそうに後ろを向く江利子。

「あの、私は」

「照れなくていいわよ」

「そろそろ誰か来たんじゃない」

 二人とももう薔薇さまモード。
 そうですか。
 こっちはお礼なんて絶対言わないよ。


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