【3532】 清楚可憐な突撃少女由乃どつきまわす  (イチ 2011-07-18 23:08:50)


〜放課後の薔薇の館〜

「菜々〜!!菜々は何処〜!!!」

部屋の中に居ても、由乃さんの声が聞こえてきた。
またか。
由乃さんには悪いけど、姉妹喧嘩にはノータッチが基本だ。
特に黄薔薇姉妹の場合は。
今までの経験から祐巳は学びましたとさ。
それにしても、これで何度目だろう。
瞳子も呆れ顔だ。
けど、白薔薇姉妹は何やら思案顔だった。


私が由乃さんの声はよく通るなぁと思っていると、ガチャガチャとドアをいじくる音がした。

「ちょっと、ドアの鍵を閉めたの誰よ?ちょっと、開けて‥開けなさいよ〜!!」

由乃さんは相当ご立腹らしい。
使い慣れた引きドアを、押して開けようとしているのだから。
ノータッチが基本だが、見かねた乃梨子ちゃんがドアを開けてあげた。
ホントいい子だ。

「っと」
「ごきげんよう。ロサ・フェティダお怪我はありませんか?。ちなみに、このドアは入るときは引きドアですよ」
「ごきげんよう。あっ、そっか。ありがとね、乃梨子ちゃん。って、そんな事より菜々よ。祐巳さん志摩子さん、菜々を見なかった?」
「ごきげんよう、由乃さん。見てないよ。薔薇の館にもまだだし」
「ごきげんよう。私も見てないわ」
「そう‥。瞳子ちゃん乃梨子ちゃんは?」
「ごきげんよう、ロサ・フェティダ。私達も見てないです。そうよね?乃梨子」
「えっ、ああ、はい。見てないです」

乃梨子ちゃんが明らかに動揺してる。
私が分かるくらいに。
私が分かるくらいだから由乃さんにはバレバレだった。


「ん?乃梨子ちゃん何か知ってるのね?‥吐かぬのなら、そちを市中引き回しの上、打ち首獄門の刑に処す!!」
「いや、知っているというか‥」

乃梨子ちゃんは由乃さんのボケを華麗にスルーし、一瞬チラッと志摩子さんの方を見た。
由乃さんは、興奮しているせいか気付いていなかったみたいだ。
志摩子さんは、乃梨子ちゃんの視線を受けてゆっくりと頷いた。

「えっと、先ほど見掛けました」
「えっ、どこで?どこなの??」

由乃さんはぐいっと乃梨子ちゃんに詰め寄った。

「あ、あの、近いです」
「ああ、ごめん。つい。それで?」
「えっと‥それが‥」

由乃さんと乃梨子ちゃんが押し問答をしていると、
突然、志摩子さんが立ち上がった。

「どうしたの?志摩子さん」
「落ち着いて聞いてほしいの」
「えっ?どういう事?」
「菜々ちゃんを見かけのは事実よ。だけど、落ち着いて聞いてね、由乃さん。
菜々ちゃん、江利子様とご一緒だったの」
「なっ‥なんですってぇ〜!!!」


何か雲行きが怪しい‥。


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