【No:3600】で呼ばれたので呼んでみた。
忘年会前。
「折り入ってお話が」
乃梨子が江利子さまと蓉子さまに話しかけていた。
「私、隠し芸でお姉さま方に失礼な振る舞いをいたしますので、こちらで殴っていただけませんでしょうか」
「それ失礼ってわかっててあえてやるんだ」
「いっておくけど、私は容赦しないわよ」
「もちろんです。ストレス解消にぜひ」
用意してきたハリセン、一斗缶、ビール瓶などから得物を選ばせる。
「ゴタゴタして後から渡せないでしょうから」
プラス迷惑料兼感謝料のクッキーを渡し、今度は令さまを呼び止める。こうして今日参加されるお姉さま方ほぼ全員に根回しをしていた。
本番。
乃梨子はハゲヅラにチョビ髭、親父スーツ、酔っ払いメイクで登場した。
「セクハラおじさんだぞう! おじさんはセクハラしちゃうぞう!」
と言いながら江利子さまに突進。
「キレイなねえちゃん見つけ。おじさん、セクハラしちゃうぞ!」
江利子さまは乃梨子のバカ顔にプッと吹きビール瓶を振り下ろす。
「きひひ。キレイな顔してやるねえ。おっ、こっちにもキレイなねえちゃんがいるじゃねえか!」
満面の笑みで標的を変更する。
乃梨子の迫り方が面白いのもあるが、根回しの効果でお姉さま方は嫌がらない。聖さまは乃梨子の胸を揉み返していたし、祥子さまですら笑いながらハゲヅラをボコボコ叩いている。
そして乃梨子は志摩子さまに抱きついた。
「セクハラしちゃうぞう!」
志摩子さまの胸やお尻を揉みしだく乃梨子。
全く聞いてないらしい志摩子さまは真っ赤になって声も出ない。
止め役のお姉さま方は仕込みと信じているようで「いけいけ」「押し倒せ」とはやし立てる。
衆人の前でお姉さまにセクハラプレイ、恐ろしい子!
しかし、知能犯乃梨子の完全犯罪は成立しなかった。
志摩子さまのすぐ横にあるのは隠し芸で使ったマスケット銃。
なんていうか。
マスケット銃に弾が入ってなくてよかったね。
横にあったのが黄薔薇の真剣じゃなくてよかったね。