【No:3605】の続き
次の日、菜々が見舞いにきた。
「お久しぶりです令さま」
「久しぶり。折角きてくれたけど由乃は眠ってるんだ」
「知ってます。リトルグレイにあんなことをして命があるのは彼らが大人の対応をしてくださってるからだと思います」
涙で語る菜々の苦労が忍ばれる。
それと由乃、何をやった。
その時窓の外がオレンジに光ってUFOが現れドアを家の壁に当てる。
「しっかりしろ馬鹿野郎!」
「すいません!」
「三日目なんだから慣れようよ!」
令のツッコミに満足気なヤマダ登場。
「ごきげんよう。おや、菜々もおそろいで。今日こそ笑わせてくださいよ」
菜々は事情を知っているらしく説明を求めなかった。
「姉の不始末は妹がなんとかします」
そして菜々はヤマダに語る。
「私の話を聞いてください。先日、夢の中に志摩子さまのお父さまが出てきました。シチュエーションとしては小寓寺で会うというものだったのですが、ただお会いしたなら話しません。小寓寺に到着すると志摩子さまに案内され、佐藤聖さまによく似た美しいお姉さまを紹介されました。『こちらが父です』と。念のために説明しますがもちろんお父さまは男性です。学園祭でヤクザな格好はするかもしれませんが女装趣味はないはずです。エキゾチックでショートの似合う美人のお姉さまだなんて聞いたことがありません。年齢も二、三倍はいってるはずです。突っ込み所過積載もいいところです。しかし夢ゆえに私は突っ込みどころか何の疑問も抱かずにその美人を、エキゾチックでショートの似合うそのお姉さまを、志摩子さまのお父さまとして受け入れちゃって、あまつさえ『お父さま、女性なんだ〜』なんて思っちゃったんです」
「ぶっ!」
吹き出したのはヤマダではなく令だった。
次の瞬間。
ドカッ!!×2
お約束の金ダライが二人に降ってきた。
「また明日きます」
引き上げて行くヤマダ。
「令さま、もう一息だったのに吹いたら台無しじゃないですか!」
「ごめん」
令は謝りながら笑い続けたのであった。
【No:3608】へ続く