化石を掘り起こしてきました。
No.157→No.169→No.178→No.184は、No.205へと進化(15禁チック)→No.210→No.213→No.220→No.237と読むとよろしいかと。
また、No.210 くにぃさま、と、No.213 春霞さま、以上2点は外伝です。
・・・・・卒業旅行 第7話・・・・・
「…………ふぅぅ……」
「…のさん……し…さん……由乃さん」
「………ほぇ?」
「由乃さん!!」
「わ〜〜〜〜っ?! もおぉ〜おどかさないでよ祐巳さん、なに? どうしたの?」
「どうしたじゃないよ、由乃さん。 湯船に沈みかけてるよ」
「ありゃ?」
もう少しでほんとに水没しそうだった姿勢を立て直して温泉に浸かりなおす。
ここは伊豆市のペンション『グリーン・ウッド』、露天風呂と猪肉料理がご自慢なんだとか。 修善寺駅で落ち合った後、祐麒と私の乗ってきたレンタカーをいったん返却して8人乗りのミニバンを借りなおした。 それから浄連の滝へ行って少し遊んでから今日宿泊するここにチェックインしたのだった。
ま、この卒業旅行はリリアンの山百合会……のOGの私達3人と、花寺学院の生徒会OBの合同旅行なのです。
誰が言い出したかは不明。 たぶん私を引っ掛けようと考え付いたとき、祐巳さんが小林君あたりと話をつけ協力を要請した時に『どうせ同じコースだし一緒に回ろう』と言うことになったんだろう。
「どうしたのよ。 もう……まだ怒ってるの?」
「え? それはないよ……むしろ機会を与えてくれて感謝しているくらい。 付き合っているわけだからいずれ……まぁ…そうなったんだろうけど、思い出に残る初体験でした『。』(まる)」
「……ということは、楽しいんだよね? でもなんか、楽しくなさそうなのはなんで?」
「そうね、部屋割りを発表したときからよね」
本日の部屋割りは、祐巳さん、志摩子さん、私で3人部屋。 祐麒、高田君で2人部屋。 小林君、アリスで2人部屋。 そう、今夜は別々の部屋……分かっていましたけど、でも………なんか右側が寂しい……。
「やっぱり、祐麒と一緒がいいの?」
「え? う〜〜ん……いいわ、今夜は〜祐巳に代役してもらおうかしら〜?」
「え〜〜〜〜〜っ?!」
祐巳さんの肩に寄り添ってみたりする。 あははは、あわててるあわててる。 ほぼ同じ顔と言われている祐巳さんと祐麒、でもね……やっぱり違うんだって実感させられる。 祐麒は華奢な様でいて筋肉が有ってたくましい。
「でも、今日見ていて思ったのだけれど、『ほとんど新婚さん』ね」
「そ、そんな風に見えた?……」
「あ、それは私も思った。 もう2人で行動するのは当たり前だし」
「車では祐麒さんが運転する時、さも当然のように助手席に座っていたわよね」
「その時さ〜、イチゴ食べさせてたじゃない、それはいいわよ。 でもね〜祐麒が半分かじったイチゴの残りを由乃さんが食べるってなに?」
「浄連の滝では滝を見に行くとき手を組んでいたわね。 それはいいのだけれど、滝を見ている時後ろに立っていた祐麒さんに寄り添ってコートの中でうっとりしていたし……」
「そ〜〜いえば、夕食の時も。 祐麒に猪鍋をよそってたけど、箸でお肉をつまんで『あ……』って? 『あ〜〜ん』って言いたかったのかなぁ?」
「よ、よく見てるわね………」
「そりゃそうよ、男子校と女子校、生徒会同士、その中での奇跡的に生まれたカップル。 シングルばっかりの中で2人でいちゃつかれれば、いやでも目立つわ」
「……けしかけたのは誰よ?」
「それでも今まで一定の距離感みたいなものは感じてたんだけど…」
「もしも〜〜し聞いてますか〜〜?」
「いまではもう、腕を組むのは当たり前という感じだし…」
「もぉ〜〜、たった2日で、ここまでメロメロにしちゃうなんて、祐麒なにしたんだろ」
「メロメロっていつの言葉使ってんのよ。 それにたった2日じゃないでしょ、私と祐麒が付き合い始めて1年ちょっとになるんだから………」
「これはもうどんなことをされたのか聞きだしたいわね」
「あ、志摩子さんも?」
「後学の為にぜひ聞いておきたいわ」
「そうよね〜貴重な生のサンプルだもんね」
2人で両手をつないで向き合って、喫茶店へパフェを食べに行く相談がまとまった見たいな雰囲気。 話
している内容は不穏当だけど私にとって。 2人そろってクリッと私の方を見る。 顔は笑顔なんだけど、
目が笑っていなかった。
3対1。 2人とも基本的にボケ、だけど1年間薔薇さまをやってきたわけだし、志摩子さんは2年だけ
ど。 その2人がタッグを組んでいる。
負けましたよ悔しいけれど………。
〜〜告白大会になりつつある夜はまだ始まったばかりです。 祐麒……大丈夫?