【No:3611】の続き。
運命の日。
窓の外がオレンジに光りUFOのドアが壁にぶつかりついに外れる。
「どうするんだ馬鹿野郎!」
「すいません」
「様式美は大事だけどここまでやっちゃダメでしょ!」
ヤマダ登場、に続いて四人のリトルグレイが現れる。
四人の背中が割れ、祐巳、志摩子、乃梨子、瞳子が出てくる。
「何事!?」
「ごきげんよう、令さま。ヤマダさんが地球最後の日だって言うから記念に乗せてもらったんです」
何か違う意味に取ったようだ。
「みんな最強だね。由乃のせいで謹慎したって聞いていたから心配してたのに」
「皆さまが署名を集めてくれたので処分撤回になりました」
微笑む志摩子。
「その代わり由乃さんは明日学園長からお話があるそうです」
目を逸らす祐巳。
「何をやったんだーっ!?」
「知らぬが仏です」
志摩子に返され令は言葉を失った。
「ヤマダさん、ドアは大丈夫ですか?」
「ちょっと修理にかかりそうですね」
「じゃあ、私たちとお茶でも」
「祐巳ちゃん、宇宙人にお茶は――」
「ひどい令さま! 生まれや肌の色で決めつけるなんて!」
「うわっ、至極真っ当な批判だけど釈然としない!」
「ヤマダさんに謝ってください」
「ごめんなさい。お詫びにお茶をご馳走します」
「令さま、宇宙人が我々と同じ食習慣かどうか確認してから勧めましょうよ」
「さっきはスルーだったのに、私になぜツッコむの!」
「乃梨子ちゃん、令さまは由乃さんの件で情緒不安定気味だからそっとしてあげて」
「そうじゃない!」
ヤマダはお茶を断り、お喋りに付き合う事になった。
「……お姉さまが『うんうん』って返事してたら『祐巳に話してるんじゃないわ』って言うので見たら祥子さまは携帯電話で別の方とお話ししてたんですよ」
「ここで言うのやめてよ。恥ずかしいじゃない」
祐巳たちはヤマダを親友のように扱い楽しく談笑する。
「船長、直りました」
「わかりました。……皆さま名残惜しいですが地球で我々が活動できる期限になりました。最後に笑わせてくれてありがとう。由乃は起こしていきます。それではごきげんよう」
「ヤマダさん、ごきげんよう」
見送られ帰るヤマダ。
こうして由乃と地球は救われた。しかし。
令の元には大量の金ダライとAmazonからのその料金請求が残されたのだった。
-終-