【368】 無の境地青田買い同好会  (まつのめ 2005-08-15 21:58:26)


No329の続き 2タイトルとレアな再会を果たしたのでこれは書かないわけにはいきません。



前回のあらすじ
一年生でも妹が欲しい! そんな同士が集って発足した青田買い同好会(非公認)は某黄薔薇のつぼみがつばつけてた青田を誤って刈り取ろうとし(比喩的表現)青田ならぬ青信号の逆鱗に触れ廃止の憂き目に遭った。
しかし、元会員達の青田買いにかける闘志は衰えることが無く、再び同士を集めた元同好会員は地下にもぐり、今もリリアン内で秘密裏に暗躍しているのである!!

「というわけで乃梨子さん、青田買いへGOですわ」
「なにがというわけだっ!」
「乃梨子さん、妹は欲しくないのですか?」
「そうですわ可愛らしい天使のような妹を今のうちのゲットしておくのですわ」
 一年椿組の教室で乃梨子は瞳子、敦子、美幸トリオに囲まれていた。
「っていうか、やり取りが前回と同じじゃない!!」

「違います、白薔薇のつぼみさま」
「って中学生のあなたが何でここにいるのよ!」
 なぜか先日の中学生まで乃梨子の隣に居た。
「実は、会長さまに誘われまして」
「会長って、可南子? っていうかそれ以前に廃止じゃなかったの?」
「はい」
「ひぃ!」
 いきなり頭の上のから声が聞こえてきた。
「か、可南子……」
 気配が無かったぞ。
「はい、可南子です。確かに青田買い同好会は廃止になりました。ですから今は地下活動です」
「ずいぶんおおっぴらな地下活動だな。おい」
「会長さまは私には素質があるとおっしゃいまして」
「素質? いったい何のよ!?」
 とりあえず可南子に振る。
「いえ、彼女には私との共通点が」
「なんか落ちが読めてきたよ」
「おでこ繋がりで」
「やっぱりそれかっ!」


「で、今日は何をするつもり?」
「あら乃梨子さん、気乗りがしなさそうな顔で」
「私は行かないからね」
 前回は迂闊に誘いにのってひどい目に会ったのだから。
「結構です。今日の活動はここで行いますから」
「さよなら」
 乃梨子は鞄を持って立ち上がった。
「大丈夫ですわ」
「なにが大丈夫か!」
「乃梨子さん、私達が付いてますわ」
「心配なさらないで」
「だからワケわからないって!」
 また三人に羽交い絞めにされた。
 というかこの中坊もなにわくわくした目で見てるんだか。

「今日は折角あなたが来てるんだから」
「菜々です」
「そういえば名前知らなかったわね」
 菜々というらしい。
「そう007ちゃん」
「いきなりニックネーム!?」
「はい」
「いいんかい!」
「じゃあセブンに協力してもらって声をかける実習よ」
「名前が違うっ!」
「それではセッちゃんこちらにいらして」
「省略すなっ! もう原形留めてないし!」

 どうやらこの子を使って中学生を口説く練習をするらしいんだけど……
「ど、どうしたの?」
 なぜがみんなの視線が突っ込みで息を切らしてる乃梨子に集まっていた。

「乃梨子さま、私感動しました」
 菜々が瞳をキラキラ輝かしていた。
「な、なに?」
「流石、白薔薇のつぼみですわ」
 自慢のドリルを揺らして唸る瞳子。
「逸材ですわ」
「乃梨子さん、素晴らしいですわ」
 敦子と美幸もなんか目を輝かしてる?
 そして、一見まじめだけど一番油断のならない可南子が静かに言った。
「とても律儀な突っ込みぶり感服しましたわ」
「つ、突っ込み?」
 たしかに乃梨子以外はボケキャラばかりだけど。

「では新しい会の名前は『乃梨子さんに突っ込まれ隊』ということで」
「意義なーし」
「意義ありませんわ」
「意義ありませんわ」
「意義ありませんわ」

「ちょ、ちょっと……」

 こうして怪しげな会がまた一つ発足されるのであった。


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