【371】 ○○と三賢者  (joker 2005-08-16 00:33:21)


 私は賢者蓉子。三賢者(通称Magi)のうちの一人、赤の賢者(マギ・キネンシス)で…………

江:「蓉子、どうしたのよ?何時ものプロローグがまだ途中じゃない。」
蓉:「……もう毎日が不幸の連続で嫌になってきたのよ……」
江:「何かあったかしら?」
蓉:「……忘れたとは言わせないわよ、このデコ!前回私を聖に売ったでしょ!!……あれから私、私………」
江:「ああ、そんな事もあったわね。それにしても大袈裟ねぇ。ただ少しセクハラされただけじゃない。」
蓉:「なにが『少し』よ!胸揉まれたのよ!?……もうオヨメに行けない………。」
聖:「……蓉子、大丈夫よ。私が貰ってあげるからさ♪(蓉子に抱きつく)」
蓉:「(ブチッ)うっさいバーカ!!触るな!このセクハラ星人!!」
江:「…たくましくなったわね、蓉子」



「そろそろ本題に戻るけど、良い?お二方。」
「(聖を縛りつけながら)良いわよ。それで何よ、江利子」
「キリストの生まれる村に着いたんだけど。」
「……そう。遂に私の苦労の旅も終るのね。」
「まあね。何せ『ファイナル』だし。」
「…?何を言ってるのよ、デコ」
「……で、注意事項があるわ。」
「注意事項?例えば聖がマリアに手を出さないようにするとか?」
 ぐるぐるに縛りつけられた聖を持ち上げて蓉子が尋ねる。
「それもあるけれど、まず、キリストの生誕を祝いに来たということは絶対に内緒にする事。私達はあくまで旅行者で、子供が生まれるのに偶然立ち寄っただけ。」
「「…………はあ?」」
 流石の二人も訳の分からない江利子の言葉に、開いた口が塞がらない。
「……なんでよ?江利子。」
 いち早く復帰した蓉子が尋ねる。
「だって、キリストはまだ、ただの赤ちゃんだもの。確かにキリストは後々、神が宿るけど、今はただの人間なの。それなのに、私達が敬ったりしたら向こうの人達を無駄に混乱させるだけだからよ。」
「……じゃあ、何で、私達は、こんなに、苦労して、ここまで、来たのよ!!」
「だって、ここの羊毛、かなり質がいいのよ。夏に駆った物は最高なのよねー。でもね、大体1ヶ月で売り切れるのよ。」
「……それで、キリストの生誕日とはどう関係あるの?」
「キリストが生まれる時期に羊の毛を刈って売り始めるのよ。」
「……で、それを買う為に…?」
「当ったりー☆」
「当たりで済むかぁーーー!!」

 江利子に振り回される三賢者(主に蓉子)。
 哀れである。


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