※タイトルと関係ないです。由乃×令ちゃんです!
『由乃、いる?』
聞き慣れたアルトの声が扉の外から聞こえた。声の主はもう分かっていた。体調だって、すこぶる悪い訳じゃなかった。
でも、なんとなく今は返事をしたくなかった。随分子供っぽい考えだと笑う人もいると思うけど、ね。
ガチャリ、とドアノブを回す音が聞こえて令ちゃんは入ってきた。いつもの制服のままでいる。
『由乃、熱はあるの?体調は?』
なんて矢継ぎ早に質問するものだから、私は早くも機嫌を損ねていた。
「…もう治った。令ちゃん、」
令ちゃん、あのね。
『ん?なに?』
わたし、また元に戻っちゃうのかな。もうあの頃の自分に戻りたくないよ。怖い、令ちゃん、たすけて
言いたいことは山程あった。
令ちゃんに、大好きな従姉妹に。
大切なお姉さまに、話したい。
でもね。
「…なんでもない。大丈夫。」
あたまいたい。
こわい。
令ちゃん。
『由乃は、私が守るから。』
それだけ。お大事に、また来る。
そう言って、彼女は帰った。
…熱のせいだ。
顔が赤いのも、心があったかいのも、ぜんぶ。
熱で火照った、わたしのせい。
はやく、治りますように。