【3815】 後で呼び出そうテスト中におもむろにお菓子を  (冷月 2013-12-29 03:21:14)


※タイトルと関係ないです。由乃×令ちゃんです!



『由乃、いる?』


聞き慣れたアルトの声が扉の外から聞こえた。声の主はもう分かっていた。体調だって、すこぶる悪い訳じゃなかった。


でも、なんとなく今は返事をしたくなかった。随分子供っぽい考えだと笑う人もいると思うけど、ね。


ガチャリ、とドアノブを回す音が聞こえて令ちゃんは入ってきた。いつもの制服のままでいる。


『由乃、熱はあるの?体調は?』


なんて矢継ぎ早に質問するものだから、私は早くも機嫌を損ねていた。


「…もう治った。令ちゃん、」


令ちゃん、あのね。


『ん?なに?』


わたし、また元に戻っちゃうのかな。もうあの頃の自分に戻りたくないよ。怖い、令ちゃん、たすけて


言いたいことは山程あった。

令ちゃんに、大好きな従姉妹に。

大切なお姉さまに、話したい。

でもね。

「…なんでもない。大丈夫。」

あたまいたい。

こわい。

令ちゃん。

『由乃は、私が守るから。』


それだけ。お大事に、また来る。


そう言って、彼女は帰った。


…熱のせいだ。

顔が赤いのも、心があったかいのも、ぜんぶ。

熱で火照った、わたしのせい。


はやく、治りますように。




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