【3839】 刻の迷宮を彷徨う者嫁が3人いる吹き出してしまった  (桜庭 優 2015-01-03 15:58:35)


これはアイカツの百合小説です
*注意*
この小説は、劇場版アイカツのネタバレが含まれています
読むのでしたら、先に劇場版アイカツを見るのをお勧めします
それでも大丈夫って方はそのまま読んでください
登場伽羅は星宮 いちご、霧矢 あおい、神崎 美月、紫吹 蘭、大空 あかり、光石 織姫、花音(KANON)です
〜私にとっての美月さん
(最初はいちごの視点から書かれています)
この一か月で色々の事で色んな事があった、学園長から私が主役のスペシャルライブの事を聞かされた。
でも美月さんに私のライブが成功すると美月さんはアイドルを引退すると聞かされた時は、胸が締め付けるように痛くなった。私は、ずっと美月さんとアイカツが出来ると思っていたから…でもこの時の私は、心の奥に隠された、自分の気持ちに、気づいていなかった。
「……こんな感じだけれどもどうかな?」
花音さんが作ってくれた曲を花音さんが歌ってくれた
「これはおだやかじゃな、凄く良い曲だよ」
「ああ…良いんじゃないか?」
「……」
私は思い考えたように両手を組んで少し俯いた
「いちご…?」
「ごめん、私の曲は、気にいらなかった?」
「いえ、凄く良い曲です、でも少し物足りないって言うか…」
「物足りない?」
「それって思いを伝えたい人がファンの方だけじゃないんじゃない?例えば美月さんにとかさ」
「そうか、美月さんにも伝えたかったんだ」
「方向性は決まったみたいだね、それじゃあ、美月に伝えたい事を聞かせてくれる?」
「美月さんに伝えたい事ですか?」
「そうだよ、美月さんの事をどう思ってるかでも良いよ」
「私が美月さんの事を思ってる思い…私にとって美月さんは、アイドルの門を叩くきっかけをくれて、憧れで、ずっと私のそばにいてほしい人で、それから…美月さんが笑っていてくれると私も嬉しくて、美月さんが悲しいと私も悲しくて、美月さんが私の全てってで、私が歩む道に迷った時には、導いてくれて、美月さんには、凄く感謝しています。だから私を今まで導いてくれてありがとうって気持ちと、美月さんの進む道を少しでも照らさせてもらいますって伝えたいです。」
「それって良いよね、恋しているみたいでさ」
「私が美月さんに恋…?そうか、私は美月さんに恋してるんだ…」
「やっと自分の気持ちに気づいたね、いちご」
「あおい…」
「まったく、いちごは自分の気持ちに鈍感なんだよな」
「蘭…」
「あ、あの…神崎先輩と星宮先輩は、お似合いだと思います」
「あかりちゃん…ありがとう、三人とも」
私はあかりちゃん達に最高の笑顔を向けた
「それじゃあ、伝えたい事が決まったみたいだし、その方向で歌を作るね」
「はい、お願いします、花音さん」
「まかせてよ、私は皆に思いを伝える歌よりも、ただ一人に思いを伝える恋の歌の方が私は、得意だからね。いちごの恋が成就するようにとびっきりのラブソングを作ってあげる」
「ありがとうございます、でもあらためて言われると照れます…」
「頑張ってね、私はいちごの恋が上手くいくように応援しているから」
「はい、ありがとうございます、花音さん」
「それじゃあ、私はもう行くね」
「えっ、もう帰るのですか?」
「うん、早速、帰って曲を作りたいから、じゃあね」
「はい、さようなら、花音さん」
「さようなら、いちごの曲をお願いします」
「さようなら、花音さん」
「お疲れ様です、花音さん」
花音さんはレッスン室を出ていった
この時の私は、あかりちゃんとあおいの隠された思いに気づいてなかった
(ここからあおいの視点に変わります)
踊りのレッスンが終わると少し中庭を散歩した
「ふ〜〜〜…いちごはとうとう自分の気持ちに気づいたんだよね、いつかこの日が来ると思っていたけれども…遅い方だったかもしれないな」
私は空を見上げた
「霧矢先輩、待って下さい!」
声をした方を向くとあかねちゃんがこちらに向かって走って近づいてきた
「どうしたの、あかりちゃん?」
「その…霧矢先輩は、このままで良いんですか?」
「このままでってどういう事なのかな?」
「だって霧矢先輩は、星宮先輩の事が好きではないですか、自分の気持ちを星宮先輩に伝えないんですか?」
「あかりちゃんは、私の気持ちに気づいてたんだね」
「だって霧矢先輩達の事をずっと見ていましたから解ります」
「あかりちゃんには敵わないな…私の気持ちはいちごには言わないよ」
「なぜですか?今なら霧矢先輩の気持ちを星宮先輩は受け止めてくれるかもしれないじゃないですか!」
「あかりちゃんは、優しいね。あかりちゃんだっていちごの事が好きなのに」
「えっ、気、気づいてたんですか!?」
「そりゃあ、気づくよ、あれだけいちごに好意を表に出していたらね」
「私は、そんなに解りやすいですか?」
「うん、あかりちゃんは、素直でわかりやすいよ。でも安心していちごは気づいてはいないと思うからさ」
「そうですか…」
「でもあかりちゃんは、いちごに思いを伝えないの?」
「伝えません、私にとって星宮先輩は憧れで手に届かない高嶺の花で、私なんかと付き合うわけないって諦めています…だから私の事は良いんです」
あかりちゃんは、笑ってみせた。私は、あかりちゃんが無理してるのに気がついて優しく抱きしめた
「ど、どうしたんですか、霧矢先輩?」
「あかりちゃん、今は私しかいないだから無理しなくて辛かったら泣いても良いんだよ」
「無、無理なんかしてないです…うぅ……」
あかりちゃんの目から涙が一筋落ちると徐々に涙があふれてきてぽろぽろ涙を流した、私はあかりちゃんを優しく抱きしめたまま頭を撫でると、あかりちゃんは声を凝らして泣いた
「あかりちゃんは辛かったんだね…」
私もいちごの事を考えると自然と私の目からも涙が流れた。私はあかりちゃんに私の涙が見えないように私の顔をあかりちゃんの顔の横に持ってきた。私とあかりちゃんは、三分ぐらい涙を流して泣くと、あかりちゃんは、私から離れた。
「あ、あの…ありがとうございました。沢山泣いたおかげで気分が少し楽になりました。」
「それなら良かった。泣きたくなったらいつでも言ってね。私の胸だったら何時でも貸すよ。」
「ありがとうございます。その時は、お願いします。」
あかりちゃんは、照れながらにっこりと笑った
「その…今こんな事を聞くのも何ですが…星宮先輩と神崎先輩は、上手くいくと思いますか?」
「さあ、どうだろうね…これだけは本人しだいだからね」
「そうですか…でも上手く言ってほしいです。星宮先輩に、私と同じ失恋の気持ちを味わせたくないですから…」
「そうだね…でも今は、いちごの恋の行く末を暖かく見守ってあげよう」
「はい…」
「あかりちゃん、時間も遅くなりかけたから、そろそろ寮に戻った方が良いんじゃない?」
「えっ、もうそんな時間ですか!?時間を取らせてしまってすいませんでした。」
「気を遣わなくていいんだよ。私もあかりちゃんと話せて少し気が楽になったから。」
「それでは、失礼します。」
「うん、お疲れ様、あかりちゃん。」
あかりちゃんは、ふかふかと頭を下げると走って去って行った。
この時は、まさか物陰から私達の話を聞いている人がいるとは思ってもなかった。
(ここからはいちごの視点に変わります)
最初は、盗み聞きしようと思ったわけじゃなかった。あおいとあかりちゃんが真剣な表情で向かい合っているのを見て、悪戯心が芽生えて、二人を驚かそうと思って隠れてゆっくり近づいた、そして二人の話してるのに内容を聞いて、二人の気持ちに気づいた。私は、抱き合って泣いている二人を見ていられなくて、その場を離れるとそのまま自分の寮の部屋に戻った。
「あかりちゃんとあおいが、私の事を好きだったなんて、私、美月さんの事が好きなのに気づいて舞い上がっていて、あおいやあかりちゃんの気持ちなんか考えてなかったよ、私は、自分の事しか考えてなかったんだ、私って最低だな…」
私は、ベットに寝っころがると天井を見上げた。しばらくするとあおいが帰ってきた
「いちご、ベットに寝っころがってどうしたの?」
「ねえ、あおい、私、幸せになっていいのかな…?」
「えっ、それってどういう事?」
私はベットから起き上がるとベットに
「私が美月さんに思いを伝えていいのかなって事だよ」
「そんなの当り前だよ、でもどうして?」
「実はさっき、あおいとあかりちゃんが話してるのを聞いたんだ。二人の気持ちを知って、私は、思ったんだ。二人の前で美月さんに思いを伝えていいのかなって…」
「そうか、いちご、聞いてたんだ…ねえ、いちご、私とあかりちゃんの一番の願いは、いちごが幸せになってくれる事なんだよ。私達に気が引けるって言うなら、絶対、美月さんと幸せになって、それが私とあかりちゃんに対する罪滅ぼしだよ」
「あおい…そうだよね、ありがとう、あおい、私が間違っていたよ、絶対に美月さんと幸せになるね」
「それでこそ星宮いちごだよ。その為に必ずライブを成功させないとね。」
「うん、必ず成功させるよ。あおいも手伝ってね。」
「もちろん手伝うよ」
ライブの方向性が決まってからは、今まで以上に大忙しになった。
でもあおい達の助けがあって、ライブ当日の日を無事に迎えられた。でも美月さんから引退の事を聞かされてから、美月さんと連絡が取れてなかった。
「今日のライブは、絶対成功させよう!エイエイオーー!!」
「「「「「エイエイオーーー!!」」」」」
「ねえ、いちご、美月さんとはまだ連絡を取れないの?」
「うん、美月さんは、ライブの事を知ってると思うんだけれども、来てくれるかどうかまでは解らないよ…」
「そうなんだ…」
私の携帯のメールの受信音が鳴ったので、携帯を開いてメールを確認するとあかりちゃんからのメールだった。メールには『絶対神崎先輩を探して連れてきます、だから星宮先輩は予定通りにライブをしていてください。必ず美月さんに思いを伝えてください。』と書かれていた
「あかりちゃん、ありがとう…」
「メールは、あかりちゃんからだったの?」
「うん、あかりちゃんが美月さんを探して連れてくるから、安心してライブをしていてくださいって」
「なら今は、あかりちゃんを信じよう、あかりちゃんなら必ず美月さん連れてくるはずだから」
「そうだね」
ラストで使うプレミアドレスがぎりぎり届いたのを除けばプログラムは、順調に進んだ。
そして最後のプログラムの為にステージに立つと客席に美月さんが居た。
心の中で「あかりちゃんが美月さんを連れてきてくれたんだ…ありがとう、あかりちゃん」と思うと、私は思いを込めて美月さんの為に歌った。
コンサートが終わるとアイドルランキングが美月さんを抜いて一位になるとあおい達が祝福してくれた。
しばらくすると美月さんに呼び出された。
「今日は、ご苦労様。」
「お疲れ様です、美月さん」
「いちごの思いを受け取ったよ。私は、アイドルを引っ張って行かないと行けないと思って、トップアイドルである為に色々と努力をしたわ、そして気がついたら高見から自分では降りられなくていたの。もしかしたら誰かにトップの座を奪われたかったかもしれないわね…。でもトップの奪われた相手がいちごで本当に良かったわ」
「美月さん…」
「ねえ、いちご、もう一つの思いも受け取ったわよ」
「すいません、美月さんには迷惑だと思いましたが、このライブで、美月さんに思いをうちあけないと美月さんは何処かに行く気がしましたから…」
「謝らなくていいのよ、いちごの不安の気持ちはわかるもの、それでもいちごの思いの返事はしないといけないわね、ねえ、いちご」
「は、はい!」
「いちご、目を瞑って、そしたら返事を教えるわ」
「解りました、これでいいですか?」
「んっ…」
私は目を瞑ると美月さんは私の口にキスをした
「美、美月さん、今のはいったい!?」
「いちご、今ので、私がいちごを好きだって事を察しなさい。」
「美月さんが私を好きだなんて夢のようです…」
「夢では、ないわよ」
私は、嬉しくて涙を流すと美月さんは私を優しく抱きしめてくれた。私が泣きやむと美月さんは私を離した。
「ねえ、いちご、いちごの歌を聞いたら、アイドルを続けられる気がしてきたわ」
「良かった、アイドルを続けてくれるんですね」
「ええ、でも気を抜いたらトップの座を奪うから覚悟していてよ」
「はい、でも負けません!」
私と美月さんは見つめあった
私は、美月さんとならどんな事でもできる気がする
だって最愛の人と一緒だから
私は、この先、美月さんと一緒に歩いて行こうと思う
(ここら先はあかりの視点に変わります)
私は、神崎先輩と星宮先輩の行く末が心配で、神崎先輩と星宮先輩の後をついて行った
でも心配をよそに神崎先輩と星宮先輩は上手くいったみたいだった
「星宮先輩、本当に良かったですね…」
私はこれ以上覗き見をするが悪くて去ろうとした
「待ちなさい、あかり、あなたにも話があるのよ」
「えっ、神崎先輩、気づいてたんですか!?」
私は申し訳なさそうに神崎先輩達の元に近づいた
「その…すいません、覗き見するつもりではなかったんです、星宮先輩が心配で…」
「私もいちごもあかりが覗いてるのは気づいてたから、謝る必要はないのよ。あかりには私達の行く末を知る権利はある物、だからわざと見過ごしていたのよ。」
「そうなのですか!?すいません…」
「あかりにはお礼を言わないといけないわね、あかりに連れてきてくれなかったら、いちごの思いにも気づかなかったもの。でもあかりは優しいわね。あかりもいちごの事が好きなのに、私の為に動いてくれたものね。」
「そ、それは…はっ!あ、あの、星宮先輩、違うんです!」
「落ちつて、あかりちゃん。この前、あおいとあかりちゃんが話しているのを聞いてしまったから、二人の気持ちは知っていたのよ。だから私は、二人の気持ちをないがしろにして、私だけ幸せになれなくて、美月さんに気持ちを告白するのをやめようかと思ったんだけれでども、でもあおいに、あおいとあかりちゃんの思いを聞かされて、美月さんに思いを告白する事にしたんだよ」
「そうだったんですね…」
「だからあかりちゃんに、ごめんなさいや懺悔の言葉を言うのは、少し違うと思うんだよ。だからお礼が、言いたいんだ。私を好きになってくれてありがとう。私は、あかりちゃんの思いのおかげで美月さんに告白できたんだよ。だからお礼が言いたいんだよ。ありがとう、あかりちゃん。」
星宮先輩は、嬉しそうに微笑んでくれた
「星宮先輩…私、星宮先輩を好きになれて良かったです。今までありがとうございました。」
「うん、どういたしまして。それからあかりちゃんには、これを受け取ってもらいたいんだ。」
星宮先輩は、コンサートで使ったシルバーマイクを私に渡してくれた
「星宮先輩、こんな大切な物、私は、受け取れません!」
「うんん、あかりちゃんに受け取ってほしいんだ、だってこれは私のアイドルの思いがこもってるから、だからぜひ、あかりちゃんに受け取ってほしいんだ。その代わりに、凄く時間がかかっても、ゆっくりでもいいから私のいる所まで上がっていらっしゃい。」
私は、星宮先輩からマイクを受け取った
「わかりました、必ず、星宮先輩の立っている所まで行きます、だから待っていてください!」
「うん、あかりちゃんの事を、楽しみに待ってるからね。」
「それじゃあ、そろそろ皆の所に戻ろう、あんまり遅いと皆が心配するわよ」
「はい」
私は、神崎先輩と星宮先輩の後を追って、打ち上げ会場に戻った。
私の恋は、失恋で終わったけれども、でも好きになった相手が星宮先輩で良かったと心の底から思った。
〜終わり〜


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