【3846】 まさにプロの仕業全然嬉しくない教えてあ・げ・る☆  (bqex 2015-02-02 23:07:29)


※作中に登場する商品は実在していますが、『マリア様がみてる』とは何の関係もなく、関係あるかのような描写はねつ造にすぎませんのでご安心ください。……って、こんなもの関係あってたまるかあっ!




「嘘、でしょ?」

 乃梨子はPCの前で驚愕した。
 気になるタイトルの記事があり、クリックしたら別サイトに飛ばされて、そこでもっと気になるタイトルの記事を見つけてしまったのだ。
 そのタイトル、とは。

『女性の手をかたどったスマホスタンド「ユミの手」の使い方』
(GIZM○D○で配信された記事です)

 考えるより先にクリックしていた。
 そこに出てきた写真は女性の手首から先。
 本当に『手』だった。
 記事によるとスマホスタンドのようで、発売元のサイトに行けるようになっていた。
 ここまできたらもうね、行くしかないわーとばかりに乃梨子はクリックした。(実際には乃梨子じゃなくてうp主だろなんてツッコミは受け付けません)

 商品名は本当に「ユミの手」(くどいようですが実在します)
 以下発売元のHameeストラップヤのサイトからの一部抜粋です。(ついに『マリみて』と縁もゆかりもないサイト名出しやがった)


一部で大人気の手シリーズに「ユミの手」のスタンドが仲間入り。
華奢で守ってあげたくなる手、けな気にスマホを支える姿が愛くるしい。

日本の食品サンプル職人が何を血迷ったか、本気で作ったクオリティ。
本物の女性の手を型抜いて作っているので、シワ、指紋、ツメの先まで、どこから見ても本物にしか見えない!
プニプ二気持ちイイ感触は、忘れかけていた女性のぬくもりを思い出させてくれそう。

手しかないから、好き勝手に妄想して、自分だけのユミちゃんを生み出したり、
大好きなアイドルや隣の席のあの子を重ねてみたり、ユミの手が持つ可能性は無限大!


 ――サイトは実在してるので気になる人はご自身でお確かめください。by bqex

 乃梨子の場合身近にユミという人物がいるのでどう考えてもあの人しか浮かばなくなってしまった。
 見てはいけないものを見た、と乃梨子はそっとブラウザバックした。



 翌朝。
 新聞部の日出実さんに非常階段のところに呼び出された。

「昨日こんなネットニュース見たんだけど」

 彼女が見せた印刷物はは昨夜乃梨子が見たサイトをプリントしたものだった。

「なにそれ、知らないなあ」

 全力で『初見デス、ワタシ』というふりをしてとぼける乃梨子。

「瞳子さんから何か聞いてない?」

「さ、さあ?」

「じゃあ、祥子さまの様子はどう?」

「ご本人にお尋ねになったらどうかしら? じゃあ、私はこれで」

 あー、世間ではお金持ち姉妹のどちらか(あるいは両方)が勢いで作っちゃったと思ってるのね。
 でも、あの二人の性格からして仮に作っちゃったとしても内緒にするだろうに。

 乃梨子は『サイト』『ネット』『手』という言葉にビクビクしながら午前中を過ごし、昼休みに薔薇の館に逃げ込んだ。
 逃げ込んだつもりだったが、そこは安全地帯ではなかった。
 テーブルの上には今朝見たのと同じプリントが。別ルートで誰かが入手してしまったらしい。
 うつむいて小刻みに震えている菜々ちゃん。
 烈火のごとく怒る由乃さま。
 気にすることないわ、偶然じゃないと微笑む志摩子さん。
 無表情でフリーズしている瞳子。
 そして。

「……私の手だ」

 とんでもないことを呟く御当人――って!?

「えええっ!?」

 薔薇の館に乙女とは思えぬ驚愕の叫びが響く。

「江利子さまったら、課題って言ってたのになあ……」

「な、なんですってえぇーっ!!」

 扉が開くと同時に現れたのはお隣の大学に通う祥子さま。

「お、お姉さま! 何故ここに!?」

 祐巳さまは目を白黒させて驚いた。

「新聞部の子が昼休みにわざわざ訪ねてきてこれを渡すから、確かめようと――」

 祥子さまの手に握られていたのはテーブルの上にあったのと同じプリントである。

「うわぁ」

 そう呟いたのは誰だろう。
 お美しい祥子さまがその形相を般若のように変えているのだ。さあ、一荒れくるか、と身構えているとおもむろに祥子さまは電話をかけ始め。

「もしもし? かくかくしかじかという訳でこの『ユミの手』を市場から買い占めてなきものにしてちょうだい! ……えっ、もう売切れたってどういうこと!?」

 もしや、と思い乃梨子は瞳子の方を見た。
 よ〜くみるとウェアラブル端末で何かやっていた。
 さっきから無表情だったのは……
 いや、私は何も見なかった。
 私は何も知らないのだ。
 そう言い聞かせて舞い散る祥子さまのハンカチを見ながら乃梨子は昼食の弁当の蓋を開け、食べ始めたのだった。


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