【388】 リコたんそれなりに波瀾万丈  (高見屋 2005-08-19 01:18:09)


「ふふふ、やっぱり思ったとおり、ノリコには白い首輪が似合うわ……あ、ノリコ。檀家さんからお饅頭をいただいたのよ。ノリコも食べるでしょう?……まぁ、ノリコったらそんなに勢いづいて……大丈夫よ、誰も取りはしないわ。よほどお腹が空いていたのかしら?ふふ。あ……ノリコったら、こちらに上がってはダメよ。私たちがどれだけ親密な間柄だとしてもケジメはしっかりつけないと。ね、ノリコ」
「……」
「……あら!まぁまぁ、困るわノリコったら、そんなところで粗相をして……もう、はしたないわ、ノリコ。きちんと二人で約束したでしょう、ノリコ?いくらかわいいノリコでもやっていいことと悪いことがあるのよノリコ。めっ」
「…………」
「あっ、ノリコ、そんなところ舐めないで。やっ、くすぐったいわノリコ」
「……志摩子さん」
「ああ、もうノリコったら……怒るに怒れなくなってしまったわ。本当にいけない子ね、ノリコは」
「……お姉さま」
「ノリコ。二人きりなら良いけれど、人前ではダメよ?本当に恥ずかしいのだから……わかった、ノリコ?」
「…………藤堂志摩子さ〜んっ!!」
「あら、どうしたの乃梨子?」
「お、お、お願いだから、その犬の名前、変えて〜〜〜っ!!!」
「だって……この黒い艶やかな毛並みとつぶらな瞳が、とっても乃梨子っぽかったんだもん」
「……がはっ。『もん』って!その口調と仕草で思わずうやむやのまま昇天しそうになっちゃったけれど!そういう問題じゃなくってぇ!!」
「ああ、それにしても本当に良い天気ね。そうだ、乃梨子。お散歩に行きましょう。ね?」
「え?うんっ」「ワンッ」
「あら。ふふふ、なんだか……本当の姉妹みたいだわ」


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